「丁寧に書いたつもりなのに、なぜか伝わりにくい」
「やわらかく言おうとして、かえって回りくどくなる」
そんな悩みがある人は少なくありません。
回りくどい文章は、言葉が多いこと自体が問題ではありません。
本当に困るのは、要点にたどり着くまでが長いこと、そして読み手が何を受け取ればいいのか分かりにくいことです。
回りくどくない言い換えを身につけると、文章はただ短くなるのではなく、相手に届く日本語に変わります。
この記事では、回りくどい表現を「伝わる日本語」に直すための考え方と、すぐ使える言い換え例をまとめて紹介します。
回りくどい言い方とは何か
回りくどい言い方とは、必要以上に遠回りをしている表現のことです。
たとえば、次のような文章です。
- この件につきましては、今後検討を進めていく必要があるということになります。
- 本日ご連絡を差し上げた理由といたしましては、日程調整の件についてご相談したいと考えているためです。
意味は通じますが、読む側は少し疲れます。
なぜなら、言いたいことが見えるまでに時間がかかるからです。
これを直すと、こうなります。
- この件は、今後検討が必要です。
- 本日は、日程調整のご相談で連絡しました。
内容はほとんど同じです。
それでも、後者のほうが早く、正確に、自然に伝わります。
回りくどい文章が読みにくくなる3つの理由
要点が後ろにある
前置きが長いと、読み手は「結局何が言いたいのか」を探しながら読むことになります。
その時点で、理解の負担が増えます。
なくてもいい言葉が多い
「ということ」「において」「させていただく」「〜のような形」などは、場面によって必要ですが、毎回入れると文章が重くなります。
曖昧さを入れすぎている
やわらかくしようとして、
- 〜ではないでしょうか
- 〜かと思います
- 〜のように感じます
- 〜という形になります
を重ねると、かえって意図がぼやけます。
やさしさと曖昧さは別物です。
伝わる文章は、やわらかくても芯があります。
回りくどくない言い換えの基本ルール
回りくどさを減らすときは、単に短くするだけでは不十分です。
大事なのは、読み手が一回で意味を取れる形にすることです。
結論から書く
まずは、何を伝えたいのかを先に置きます。
例
× ご説明をさせていただきますと、今回の変更の背景には、業務効率化を目的とした見直しがあるためです。
〇 今回の変更は、業務効率化のためです。
一文に一つの要点を入れる
一文の中に情報を詰め込みすぎると、主語と述語の関係が見えにくくなります。
例
× 会議で出た意見を踏まえ、今後の方針について社内で再検討する必要があるため、来週までに各部署から意見を集めたいと考えています。
〇 会議で出た意見を踏まえ、今後の方針を社内で再検討します。
〇 そのため、来週までに各部署の意見を集めます。
名詞ではなく動詞で書く
名詞を重ねると、文章が固く長くなりやすいです。
動詞に戻すと、すっきりします。
- 検討を行う → 検討する
- 確認を実施する → 確認する
- 説明を行う → 説明する
- 利用が可能です → 利用できます
二重否定を避ける
二重否定は、意味をつかみにくくする代表例です。
- 悪くないわけではない → やや問題がある
- 必要ないわけではありません → 必要です
- 行けないことはないです → 行けます / 行ける可能性があります
指示語を使いすぎない
「これ」「それ」「その件」「このようなこと」が多いと、何を指しているのか分からなくなります。
- その件について確認します → 申込期限について確認します
- これを改善します → 返信の遅さを改善します
回りくどい表現を短くする言い換え一覧
よくある表現を、まずはこの表で押さえておくと便利です。
| 回りくどい表現 | 言い換え | ポイント |
|---|---|---|
| 〜することができます | 〜できます | 文末を短くする |
| 〜ということです | 〜です | 余分な名詞を削る |
| 〜において | 〜で | 固さを減らす |
| 〜に関して | 〜について / 〜を | 文脈に合う形にする |
| 〜させていただきます | 〜します | 必要以上のへりくだりを避ける |
| 〜のような形になります | 〜になります | あいまいさを減らす |
| まず最初に | まず / はじめに | 重複をなくす |
| 約100人ほど | 約100人 / 100人ほど | 二重表現を避ける |
| 〜ないわけではありません | 〜です / 〜こともあります | 二重否定を直す |
| ご確認いただけますでしょうか | ご確認ください / ご確認いただけますか | 長い敬語を整える |
迷ったら、「削っても意味が変わらない言葉は削る」と考えると判断しやすくなります。
伝わる日本語に直す5つの手順
回りくどさは、思いつきで直すより、順番を決めたほうが整えやすいです。
1. いちばん言いたいことに線を引く
最初に、「この文で本当に伝えたいこと」を一つに絞ります。
たとえば、
「今回ご連絡を差し上げたのは、先日ご相談いただいた件について、こちらでも確認を進めた結果、日程の変更が必要になったためです。」
この文でいちばん言いたいことは、日程変更が必要になったことです。
ならば、それを前に出します。
「確認の結果、日程変更が必要になりました。」
2. 飾り言葉を削る
次の言葉は、入れすぎると回りくどくなりやすいです。
- 基本的に
- ある意味
- いわば
- そのために
- といった
- という形で
- 〜かと思います
- 〜させていただきます
全部が悪いわけではありません。
ただ、なくても意味が通るなら、削る価値があります。
3. 一文を二つに分ける
「長いけれど丁寧」ではなく、短く分けても丁寧に書けます。
例
× 来週の会議ですが、参加人数の確認がまだ十分に取れていない状況であり、資料準備の都合もあるため、できれば本日中にご返信をいただけますと幸いです。
〇 来週の会議について、参加人数を確認しています。資料準備のため、本日中にご返信いただけると助かります。
4. 抽象語を具体語に変える
抽象語が多いと、分かった気はするのに内容が残りません。
- 適切に対応する → 24時間以内に返信する
- 必要な準備を行う → 資料を3部印刷する
- 状況を共有する → 納期が2日遅れると伝える
5. 声に出して読む
声に出してつかえる文は、読んでもつかえやすい文です。
特にチェックしたいのは次の3点です。
- 同じ語尾が続いていないか
- 一息で読めない長さになっていないか
- 主語と述語が離れすぎていないか
場面別|回りくどくない言い換え例
ここからは、実際に使いやすい形で見ていきましょう。
ビジネスメールでの言い換え
例1:依頼
× ご確認をしていただけますでしょうか。
〇 ご確認ください。
〇 ご確認いただけますか。
「ください」だけでは強く感じる相手には、「いただけますか」が使いやすいです。
例2:連絡の目的
× 本メールをお送りした理由といたしましては、打ち合わせの日程についてご相談したいためです。
〇 打ち合わせの日程についてご相談したく、ご連絡しました。
例3:お礼
× ご対応をしていただきまして、誠にありがとうございました。
〇 ご対応ありがとうございました。
短くしても失礼ではありません。
むしろ自然です。
会議・報告での言い換え
例1:結論が遅い報告
× さまざまな観点から検討を進めた結果として、現時点では見送りが妥当ではないかと考えています。
〇 検討の結果、現時点では見送りが妥当です。
例2:ぼんやりした表現
× 今後、前向きに対応していく予定です。
〇 来週中に修正版を提出します。
「前向きに」は便利ですが、具体性がありません。
報告文では、行動や期限まで書くと伝わります。
依頼・お願いでの言い換え
例1:遠慮しすぎる依頼
× もし可能であれば、できましたらご対応をご検討いただけますと幸いです。
〇 可能でしたら、ご対応をお願いします。
例2:期限の伝え方
× なるべくお早めにご返信いただけますと幸いです。
〇 5月10日までにご返信ください。
〇 5月10日までにご返信いただけると助かります。
やわらかさを残すなら、曖昧にするのではなく、期限を明確にしたうえで言い方をやわらげるのがコツです。
指摘・修正依頼での言い換え
例1:回りくどい注意
× 少し気になった点がありまして、場合によっては見直していただいたほうがよいかもしれません。
〇 この部分は見直しをお願いします。
例2:きつく見せたくない場合
× この書き方はだめです。
〇 この書き方だと意図が伝わりにくいため、表現を変えましょう。
短くすることときつくすることは同じではありません。
理由を添えるだけで、文章はかなり受け入れやすくなります。
回りくどくないのに冷たく見えない伝え方
「短くすると冷たく見えそう」と不安になる人も多いです。
ここでは、伝わりやすさとやわらかさを両立するコツを紹介します。
クッション言葉は一つで十分
- 恐れ入りますが
- お手数ですが
- 申し訳ありませんが
こうした言葉は便利ですが、重ねすぎるとくどくなります。
例
× 恐れ入りますが、お手数ですが、ご確認いただけますでしょうか。
〇 お手数ですが、ご確認ください。
〇 恐れ入りますが、ご確認をお願いします。
否定より改善案を先に出す
× 分かりにくいです。
〇 主語を入れると、さらに分かりやすくなります。
× この表現は適切ではありません。
〇 この場面では、こちらの表現のほうが自然です。
相手に配慮したいときは、だめ出しではなく修正の方向を示すと伝わりやすくなります。
断定が強いときは、理由を添える
- 修正してください。
- 修正してください。意味が重複しているためです。
後者のほうが受け入れられやすいのは、命令ではなく説明になっているからです。
書いたあとに使えるセルフチェックリスト
文章を書いたら、公開前に次の項目を見直してみてください。
- 結論が一文目か二文目にあるか
- 一文が長すぎないか
- 「ということ」「することができる」が続いていないか
- 二重否定になっていないか
- 「の」が連続しすぎていないか
- 指示語ばかりで内容がぼやけていないか
- 抽象語のままで終わっていないか
- 敬語が長すぎて不自然になっていないか
- 読んだ瞬間に行動が分かるか
- 声に出して自然に読めるか
このチェックだけでも、文章の見え方はかなり変わります。
まとめ
回りくどくない言い換えのコツは、難しくありません。
意識することは、次の3つです。
- 先に結論を書く
- 一文を短くする
- 曖昧な言い回しを減らす
つまり、伝わる日本語とは、ただ短い日本語ではなく、相手が迷わず受け取れる日本語です。
丁寧にしたいからこそ長くなる。
やさしくしたいからこそ曖昧になる。
これは多くの人がつまずくところです。
だからこそ、まずは次の言い換えから始めてみてください。
- 〜することができます → 〜できます
- 〜ということです → 〜です
- 〜ないわけではありません → 〜です / 〜こともあります
- 〜させていただきます → 〜します
小さな修正でも、文章は一気に読みやすくなります。
「丁寧なのに伝わる文章」を目指すなら、足すより先に、削ることを意識してみてください。
