「また同じ言葉を使ってしまった……」
「文章が単調に見える」
「語彙力がないと思われそうで不安」
こんな悩みがある人に必要なのは、難しい言葉を覚えることよりも、同じ内容を別の形で言える力を身につけることです。
言い換え力があると、文章は読みやすくなります。
会話でも「伝わる人」という印象になりやすく、説明・感想・依頼・発信のすべてがスムーズになります。
この記事では、初心者でも続けやすいように、同じ言葉を繰り返さないための考え方・練習法・言い換え例をまとめました。
そのまま実践できる形で解説するので、今日から少しずつ使ってみてください。
言い換え力がある人は何が違うのか
言い換え力とは、ただ類語をたくさん知っていることではありません。
相手や場面に合わせて、意味を保ちながら表現を選び直せる力のことです。
言いたいことを細かく言い分けられる
たとえば「すごい」という一語だけで済ませる人と、
- 完成度が高い
- 予想以上だった
- 反応が大きかった
- 印象に残った
と言い分けられる人では、伝わる情報量がかなり変わります。
同じ「良かった」でも、
何が、どう良かったのかまで言える人の文章は、自然と説得力が出ます。
読みやすく、幼く見えにくい
同じ名詞や同じ語尾が何度も続くと、内容が悪くなくても単調に見えます。
たとえば次のような文です。
修正前
この本は初心者におすすめの本です。この本は説明がわかりやすい本で、この本を読めば基本が学べます。
修正後
この本は初心者向けの一冊です。説明がわかりやすく、読めば基本をひと通り学べます。
後者のほうが、すっきり読めます。
言い換え力は、読み手の負担を減らす力でもあります。
ただし無理な言い換えは逆効果
ここは大事です。
言い換え力を鍛えたいからといって、何でも別の言葉に変えればよいわけではありません。
キーワードや主題まで毎回変えると、かえってわかりにくくなります。
大切なのは、
変えるべき言葉と、あえて残す言葉を見分けることです。
同じ言葉を繰り返してしまう原因
「語彙力がないから」と思いがちですが、原因はそれだけではありません。
思いついた言葉をそのまま使い続けている
書き始めに思いついた表現は、いちばん使いやすい言葉です。
そのため、見直しをしないと同じ語が何度も出てきます。
特に繰り返しやすいのは、次のような言葉です。
- すごい
- 良い
- 大変
- ちゃんと
- いろいろ
- わかりやすい
- 気になる
- 思う
便利ですが、便利な言葉ほど重なりやすいです。
抽象的な言葉に頼っている
抽象語は使いやすい反面、内容がぼやけます。
たとえば、
- 大変だった
- 良かった
- ちゃんとしている
- いろいろ学べる
だけでは、読み手は具体像をつかみにくいです。
その結果、説明を足そうとして、また同じ抽象語を繰り返してしまいます。
書きながら見直していない
言い換えは、書く力だけでなく直す力でもあります。
最初から完璧に書こうとすると進みません。
まずは書いて、そのあとで
- 同じ単語が続いていないか
- 同じ意味を重ねていないか
- 別の角度から言えないか
を確認するほうが、上達しやすいです。
言い換え力を鍛える3つの基本原則
練習に入る前に、まずは土台を押さえましょう。
1. 言い換えるより先に、具体化する
言い換えが苦手な人は、最初から類語を探そうとしがちです。
でも実際は、別の単語を探すより、中身を具体化するほうが早いことが多いです。
たとえば、
- すごい店
→ 行列ができる店
→ 接客が丁寧な店
→ 料理の見た目が華やかな店 - わかりやすい説明
→ 手順が順番どおりに整理されている説明
→ 例が多い説明
→ 初心者向けの言葉で書かれた説明
このように、抽象語を具体語に分解すると、自然に言い換えられます。
2. 置き換えだけでなく、省略とまとめも使う
同じ言葉を繰り返さない方法は、類語に置き換えることだけではありません。
有効なのは次の3つです。
- 置き換える
例:初心者向けの本 → 入門書 - 省略する
例:私は〜と思います。私は〜と感じました。
→ 後半の「私は」を省く - まとめる
例:動画編集、画像編集、音声編集
→ 編集作業
この3つを使い分けると、文章がかなりすっきりします。
3. 大事なキーワードはむやみに変えない
ブログや説明文では、中心となる言葉を統一することも大切です。
たとえば、この記事の主題は「言い換え力」です。
これを毎回
- 表現力
- 語彙力
- 言葉選びの技術
- パラフレーズ能力
のように変えすぎると、読み手が迷います。
ポイントは、
主役の言葉は残す、脇役の言葉を調整することです。
同じ言葉を繰り返さない練習法7選
ここからは、実際に鍛える方法を紹介します。
全部やる必要はありません。続けやすいものから始めれば十分です。
1. 一語三案メモを作る
一つの言葉に対して、3通りの言い方を出す練習です。
たとえば「良い」なら、
- 使いやすい
- 満足度が高い
- 負担が少ない
「大変」なら、
- 作業量が多い
- 時間がかかる
- 調整が難しい
この練習のコツは、似た言葉を並べるだけで終わらせないことです。
できるだけ、見える角度を変えてください。
2. 5W1Hを足して具体化する
抽象語に困ったら、5W1Hを足します。
- いつ
- どこで
- 誰が
- 何を
- なぜ
- どうやって
たとえば「いろいろ準備した」は、次のように変えられます。
- 発表前に資料を作り直した
- 会場の確認と配布物の印刷を済ませた
- 質疑応答を想定して回答を用意した
言い換えに見えて、実は説明の精度を上げているのがポイントです。
3. 品詞をずらして言い換える
言い換えは、同じ品詞どうしで考えなくても大丈夫です。
たとえば、
- 説明がわかりやすい
→ 説明が整理されている
→ わかりやすく説明している
→ 要点が伝わる - 成長した
→ 成長が見られた
→ できることが増えた
→ 前より安定した
名詞・動詞・形容詞をずらすと、表現の幅が広がります。
4. 上位語と下位語で言い換える
言葉は、広くも狭くもできます。
たとえば、
- スマホ、パソコン、タブレット
→ デジタル機器 - 連絡、相談、報告
→ やり取り - 動画編集、画像調整、音声処理
→ 制作作業
逆に、広すぎる言葉を細かくするのも有効です。
- 勉強した
→ 単語を覚えた
→ 英文を音読した
→ 問題集を2ページ進めた
大きく言う・細かく言うの往復が、言い換え力を鍛えます。
5. 主語を入れ替えて書き直す
同じ名詞が何回も続くときは、主語を変えるだけで読みやすくなることがあります。
修正前
この講座は初心者向けの講座です。この講座は動画で学べる講座で、この講座は質問もしやすい講座です。
修正後
この講座は初心者向けです。動画で学べるうえ、質問もしやすいのが特長です。
主語を毎回立てず、特長や内容を前に出すと自然になります。
6. 音読して引っかかりを拾う
目で読むと見逃しても、声に出すと不自然さに気づきやすくなります。
次のような箇所は、音読で見つけやすいです。
- 同じ語尾が3回続く
- 同じ単語が近い場所にある
- 一文が長すぎる
- まわりくどい
「読みにくい」と感じた場所は、ほぼ直しどころです。
7. 自分のクセ語を検索する
これはかなり効果があります。
文章を書いたあとに、よく使う言葉を検索してみてください。
たとえば、
- すごい
- 良い
- と思う
- しっかり
- ちゃんと
- いろいろ
- できる
これらが多い人は、そこが伸びしろです。
自分の文章のクセを見つけることが、言い換え上達の近道です。
すぐ使える言い換え例一覧
ここでは、使いがちな言葉を、実際に言い換えてみます。
曖昧な言葉を具体化する
| 使いがちな言葉 | 言い換え例 | どう変えるとよいか |
|---|---|---|
| すごい | 完成度が高い / 反応が大きい / 予想以上だ | 程度・結果・印象に分ける |
| 良い | 使いやすい / 効率的 / 満足度が高い | どこが良いかを示す |
| 大変 | 手間がかかる / 調整が難しい / 作業量が多い | 苦労の中身を書く |
| ちゃんと | 手順どおりに / 期限内に / 抜けなく | 行動を具体化する |
| いろいろ | 価格・機能・注意点 / 複数の方法 / 幅広い例 | 中身を列挙する |
| わかりやすい | 要点が整理されている / 手順が明確 / 例が具体的 | 理由を足す |
| 気になる | 不安がある / 興味がある / 判断に迷う | 感情の方向を明確にする |
| 思う | 感じる / 判断する / 見ている / 考えている | 根拠のある言い方にする |
文章をすっきりさせる言い換え
次のような表現は、短くできることが多いです。
- 利用することができる → 利用できる
- 調査を実施した → 調査した
- 約20名くらい → 約20名
- まず最初に → まず / 最初に
- 違和感を感じる → 違和感がある / 違和感を覚える
長く見えている文は、別の言葉に変えるより、削るほうが早い場合もあります。
言い換えで失敗しやすいポイント
練習するときに、よくある失敗も知っておきましょう。
難しい言葉に変えすぎる
言い換えようとして、急に堅い言葉にすると不自然になります。
たとえば、
- すごくうれしい
→ 欣快である
これは日常文では浮きます。
読みやすさを上げたいなら、難語化より自然化を優先してください。
意味までずらしてしまう
「気になる」を何でも「心配だ」に変えるのは危険です。
- 興味がある
- 気がかりだ
- 注意を向けている
- 判断を迷っている
など、近いけれど意味は違います。
言い換えは、似た言葉探しではなく、意味の調整です。
同じ意味を重ねてしまう
言い換えのつもりで、同じ意味を足してしまうこともあります。
- 頭痛が痛い
- まず最初に
- 約20名くらい
- 違和感を感じる
こうした表現は、くどく見えやすいです。
会話と文章を同じノリで書く
会話では自然でも、文章では繰り返しが目立つことがあります。
たとえば話し言葉では、
- なんか
- けっこう
- すごい
- たぶん
を多めに使っても流れで伝わります。
でも文章では、これらが重なると軽く見えやすいです。
書き言葉では、少しだけ丁寧に整えましょう。
1週間で言い換え力を鍛える練習メニュー
「方法はわかったけれど、結局続かない」という人向けに、1週間メニューを用意しました。
1日10分で十分です。
毎日10分で回せる手順
1日目:クセ語を見つける
自分の文章を1本読み返し、「よく使う言葉」を3つ探します。
2日目:一語三案メモ
クセ語それぞれに、言い換えを3つずつ書きます。
3日目:抽象語を具体化する
「良い」「大変」「いろいろ」などを、具体的な行動や状態に変えます。
4日目:一文を書き直す
過去に書いた文章から、同じ単語が2回以上出る一文を3つ直します。
5日目:要約してまとめる
並列になっている語を、上位語でまとめる練習をします。
6日目:音読チェック
自分の文章を声に出して読み、引っかかる場所を直します。
7日目:短文を書く
「今日は大変だった」のような短文を、3パターンで書き換えます。
たとえば、
- 予定が詰まっていて慌ただしかった
- 修正が多く、思ったより時間がかかった
- 対応することが多く、気が抜けなかった
このように練習すると、一つの言葉に頼らず表現を広げる感覚がつかめます。
まとめ
言い換え力を鍛えるコツは、難しい言葉を増やすことではありません。
大切なのは、次の4つです。
- 抽象語を具体化する
- 置き換えだけでなく、省略とまとめを使う
- 主役の言葉は残し、脇役の言葉を調整する
- 書いたあとに見直して、自分のクセ語を減らす
同じ言葉を繰り返さない文章は、背伸びした文章ではありません。
読み手に負担をかけない文章です。
最初はうまく言い換えられなくても大丈夫です。
一語三案メモと音読チェックだけでも、文章はかなり変わります。
「また同じ言葉を使ってしまった」と気づけるようになれば、もう上達は始まっています。
まずは今日、自分の文章の中からよく使う一語を見つけるところから始めてみてください。
