このたびは「この度」?「このたび」?ビジネスで自然な表記を解説

「このたびは、ありがとうございます」と書くとき、迷いやすいのが 「この度」「このたび」 の表記です。

結論からいうと、ビジネスメールや挨拶文では「この度」が自然です。
ただし、「このたび」も間違いではなく、やわらかく読みやすい表記として使えます。

大切なのは、どちらが絶対に正しいかではなく、相手・文章の目的・媒体に合わせて統一することです。

目次

「この度」と「このたび」はどちらが正しい?

ビジネスでは「この度」がよく使われる

ビジネスメール、挨拶状、お礼状、謝罪文、報告文などでは、一般的に 「この度」 がよく使われます。

たとえば、次のような文です。

この度は、弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
この度は、ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。

「この度」と漢字で書くと、文章全体が少し改まった印象になります。
そのため、取引先・お客様・上司・採用担当者などに送る文章では、「この度」を使うと自然です。

「このたび」も間違いではない

一方で、「このたび」も正しい表記です。

ひらがなにすると、漢字よりもやわらかく、読みやすい印象になります。

このたびは、弊社サービスをご利用いただき、ありがとうございます。
このたび、新しいサービスを開始しました。

特に、一般のお客様向けのお知らせ、Web記事、広報文、やさしい印象を出したい文章では、「このたび」のほうが読みやすい場合があります。

迷ったら「ビジネスメールはこの度」でよい

表記に迷ったときは、次の基準で考えると判断しやすくなります。

場面おすすめ表記理由
取引先へのメールこの度改まった印象になる
お礼・謝罪・挨拶文この度丁寧でビジネスらしい
会社の公式なお知らせこの度 / このたび文章のトーンに合わせる
一般向けの案内文このたびやわらかく読みやすい
社内チャット今回 / このたび「この度」は少し硬い
カジュアルな会話今回自然で話し言葉に近い

「この度」と「このたび」の意味

意味は「今回」「今度」に近い

「この度」は、簡単にいうと 「今回」「今度」「この機会」 という意味です。

ただし、「今回」よりも丁寧で、改まった印象があります。

表現印象
今回一般的・ややカジュアル今回はありがとうございます。
このたび丁寧でやわらかいこのたびはありがとうございます。
この度丁寧で改まった印象この度は誠にありがとうございます。
今般かなり硬い・公的今般の変更についてご案内します。

ビジネス文では、「今回」よりも「この度」のほうが丁寧に見えます。

「この度」はフォーマルな文章に合う

「この度」は、次のような文章で使いやすい表現です。

  • お礼
  • 謝罪
  • お知らせ
  • 報告
  • 就任・退任の挨拶
  • 採用・内定・転職に関する連絡
  • 契約・申込み・問い合わせへの返信

たとえば、採用連絡なら次のように使えます。

この度は、弊社求人にご応募いただき、誠にありがとうございます。

この文を「今回は」にすると、少しくだけた印象になります。

今回は、弊社求人にご応募いただき、ありがとうございます。

間違いではありませんが、ビジネスメールでは「この度」のほうが丁寧です。

「このたび」は読みやすさを重視したいときに合う

「このたび」は、文章をやわらかくしたいときに向いています。

たとえば、Webサイトのお知らせ文では、次のような表記も自然です。

このたび、当サイトをリニューアルしました。
このたび、新しい料金プランを公開しました。

漢字が多い文章の中で「この度」と書くと、少し硬く見える場合があります。
読者に親しみやすく伝えたいなら、「このたび」も有力な選択肢です。

公式ルールから見る「この度」と「このたび」

常用漢字表では「この度」の表記が示されている

「度」は、常用漢字表で「たび」と読む例が示されている漢字です。
その例の中には 「この度」 も含まれています。

つまり、「この度」は公的な漢字使用の目安から見ても使える表記です。

そのため、「この度は間違い」「必ずこのたびにしなければならない」と考える必要はありません。

読み手に合わせて「このたび」と書くこともできる

一方で、公用文の考え方では、広く一般に向けた解説・広報などでは、読み手に配慮して仮名表記を使うことも認められています。

つまり、実用上は次のように考えるとよいです。

  • 公的・改まった印象を出すなら「この度」
  • 読みやすさ・やわらかさを重視するなら「このたび」
  • 会社や媒体の表記ルールがあるなら、それに従う

表記は「正解を1つに決めるもの」というより、文章の目的に合わせて選ぶものです。

「この度」と「このたび」は混在させない

同じ文章の中で、次のように表記が揺れると読みにくくなります。

この度はお問い合わせいただきありがとうございます。
このたびの件について、担当者よりご連絡いたします。

1つのメールや記事の中では、「この度」か「このたび」のどちらかに統一しましょう。

ビジネスメールなら「この度」に統一するのが無難です。

ビジネスで「この度」を使う場面

お礼を伝えるとき

「この度」は、お礼の文でよく使われます。

例文

この度は、弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

この度は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

この度は、ご丁寧にご連絡いただき、心より御礼申し上げます。

「この度はありがとうございます」だけでも通じますが、ビジネス文では 何に対するお礼なのか を入れると丁寧です。

よい例:

この度は、弊社セミナーにご参加いただき、誠にありがとうございます。

少し物足りない例:

この度は、ありがとうございます。

間違いではありませんが、やや漠然としています。

お詫び・謝罪をするとき

謝罪文でも「この度」はよく使われます。

例文

この度は、弊社の不手際によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。

この度は、商品の発送に遅れが生じましたことを、深くお詫び申し上げます。

この度は、ご不快な思いをおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

謝罪文では、「この度は」のあとに 何について謝っているのか を明確に書くことが大切です。

お知らせ・案内をするとき

会社からの案内文でも「この度」は自然です。

例文

この度、弊社では新サービスの提供を開始いたしました。

この度、営業時間を下記のとおり変更することとなりました。

この度、公式サイトをリニューアルいたしましたので、お知らせいたします。

「この度」は、単なる事実の通知ではなく、少し改まった案内に向いています。

採用・転職・就任の挨拶で使うとき

採用や就任など、節目の場面でも「この度」は使いやすい表現です。

例文

この度、貴社より内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。

この度、営業部に配属されました山田と申します。

この度、代表取締役に就任いたしました田中でございます。

人生や仕事の節目に関する文章では、「今回」よりも「この度」のほうが落ち着いた印象になります。

「このたび」を使うと自然な場面

やわらかい印象にしたいとき

「このたび」は、丁寧さを保ちながら、文章をやさしく見せたいときに向いています。

例文

このたび、地域の皆さまに向けた相談窓口を開設しました。

このたび、より使いやすいサービスを目指して、サイトをリニューアルしました。

このたびは、アンケートにご協力いただきありがとうございました。

「この度」よりも少し親しみやすく、読者との距離が近く感じられます。

漢字が多い文章で読みやすくしたいとき

文章全体に漢字が多い場合は、「このたび」とひらがなにすると読みやすくなります。

少し硬い例:

この度、弊社新規事業開始に伴い、担当部署を新設いたしました。

読みやすくした例:

このたび、新規事業の開始に伴い、担当部署を新設いたしました。

「この度」が悪いわけではありません。
ただし、周囲に漢字が多いときは、ひらがなを使うことで視認性が上がります。

一般向けのお知らせで使うとき

お客様や一般読者に向けた文章では、「このたび」が合うこともあります。

例文

このたび、アプリのデザインを一部変更しました。

このたび、よくある質問ページを公開しました。

このたび、キャンペーンを実施することになりました。

特にWebサイトやブログでは、読みやすさを優先して「このたび」を選ぶのも自然です。

「この度」と「このたび」の使い分け早見表

目的自然な表記例文
丁寧にお礼を伝えるこの度この度はご利用いただきありがとうございます。
きちんと謝罪するこの度この度はご迷惑をおかけし申し訳ございません。
会社として正式に案内するこの度この度、新サービスを開始いたしました。
やわらかく知らせるこのたびこのたび、サイトをリニューアルしました。
読者に親しみやすく伝えるこのたびこのたび、新しい記事を公開しました。
社内で軽く共有する今回今回、担当者が変更になりました。
公的・硬い文章にする今般今般の制度改正についてお知らせします。

「この度」を使うときの注意点

何度も繰り返さない

「この度」は便利ですが、1つの文章で何度も使うとくどくなります。

くどい例:

この度はお問い合わせいただきありがとうございます。
この度の件につきましては、担当者より確認いたします。
この度はお時間をいただき、重ねて御礼申し上げます。

改善例:

この度はお問い合わせいただきありがとうございます。
本件につきましては、担当者より確認のうえご連絡いたします。
お時間をいただき、重ねて御礼申し上げます。

「この度」を使ったあとは、必要に応じて 「本件」「今回」「当件」 などに言い換えると自然です。

カジュアルな連絡では硬すぎることがある

社内チャットや親しい相手への連絡では、「この度」は少し大げさに見えることがあります。

硬すぎる例:

この度、資料を修正しましたのでご確認ください。

自然な例:

資料を修正しましたので、ご確認ください。

または、

今回、資料を一部修正しました。

ビジネスでも、すべての場面で「この度」を使えばよいわけではありません。
相手との距離感に合わせましょう。

「この度はお世話になっております」は不自然

「この度は」と「お世話になっております」をそのままつなげると、やや不自然です。

不自然な例:

この度はお世話になっております。

自然な例:

お世話になっております。
この度は、お問い合わせいただきありがとうございます。

「お世話になっております」は、メール冒頭の挨拶として独立させると自然です。

「この度の度」は「ど」と読まない

「この度」は 「このたび」 と読みます。

「このど」とは読みません。
ただし、「温度」「制度」「限度」などの「度」は「ど」と読みます。

同じ漢字でも、言葉によって読み方が変わる点に注意しましょう。

「この度」の言い換え表現

今回

「今回」は、もっとも使いやすい言い換えです。
ただし、「この度」より少しくだけた印象になります。

今回はご参加いただき、ありがとうございます。
今回の変更点についてご説明します。

社内連絡や説明文では自然ですが、改まったお礼・謝罪では「この度」のほうが丁寧です。

今般

「今般」は、かなり硬い表現です。
行政文書、公式発表、規程変更、制度改正などで使われます。

今般、料金体系を改定することとなりました。
今般の制度変更について、下記のとおりご案内いたします。

一般的なビジネスメールでは、やや硬すぎることもあります。

本件

「本件」は、すでに話題になっている内容を指すときに便利です。

本件につきましては、担当者より改めてご連絡いたします。

「この度」を何度も繰り返したくないときに使えます。

この機会に

「この機会に」は、何かをすすめたり、行動を促したりするときに使えます。

この機会に、ぜひご登録ください。
この機会に、プランの見直しをご検討ください。

「この度」とは少し意味が違い、チャンス・きっかけ のニュアンスが強くなります。

そのまま使えるビジネス例文

お礼メール

この度は、弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
今後とも、より良いサービスの提供に努めてまいります。

問い合わせへの返信

この度は、お問い合わせいただきありがとうございます。
ご質問いただいた件につきまして、以下のとおりご案内いたします。

謝罪メール

この度は、弊社の対応によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
今後は同様のことがないよう、確認体制を見直してまいります。

お知らせ文

この度、弊社では新サービスの提供を開始いたしました。
詳細につきましては、下記ページをご確認ください。

採用・応募への返信

この度は、弊社求人にご応募いただき、誠にありがとうございます。
選考結果につきましては、改めてご連絡いたします。

就任の挨拶

この度、営業部長に就任いたしました山田太郎でございます。
微力ではございますが、誠心誠意努めてまいります。

やわらかいお知らせ

このたび、より見やすく使いやすいサイトを目指して、デザインをリニューアルしました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

「この度」と「このたび」で迷わないためのチェックポイント

相手が取引先・お客様なら「この度」

取引先やお客様に送るメールでは、基本的に「この度」を選ぶと無難です。

特に、次のような場面では「この度」が自然です。

  • お礼
  • 謝罪
  • 依頼への返信
  • 契約に関する連絡
  • 採用・選考に関する連絡
  • 公式な報告

読みやすさ重視なら「このたび」

一般向けの記事、案内、広報文では「このたび」も自然です。

特に、次のような文章では使いやすいです。

  • Webサイトのお知らせ
  • ブログ記事
  • お客様向けのやさしい案内
  • 子どもや高齢者にも読まれる文章
  • 漢字が多くなりやすい文章

会社やメディアの表記ルールを優先する

会社、自治体、メディア、学校などでは、独自の表記ルールがある場合があります。

たとえば、

  • 「この度」に統一する
  • 「このたび」に統一する
  • 一般向け文書ではひらがなを多めにする
  • 公的文書では常用漢字表に沿う

といったルールです。

自分の好みだけで判断せず、所属先や媒体のルールがある場合は、それを優先しましょう。

まとめ

「この度」と「このたび」は、どちらも 「今回」「今度」 という意味を持つ表現です。

ビジネスで迷ったら、基本的には 「この度」 を使うと自然です。
お礼、謝罪、案内、報告、採用連絡など、改まった文章に向いています。

一方で、「このたび」も間違いではありません
読みやすさややわらかさを重視する文章では、ひらがな表記のほうが合うこともあります。

最後に、使い分けの目安を整理します。

迷ったときの判断おすすめ
取引先・お客様へのメールこの度
お礼・謝罪・挨拶文この度
公式感を出したい文章この度
やわらかく読みやすくしたい文章このたび
一般向けのお知らせ・Web記事このたびも自然
社内チャット・軽い連絡今回
会社の表記ルールがあるルールを優先

大切なのは、相手にとって読みやすく、違和感のない表記を選ぶことです。
1つの文章の中で表記を統一し、場面に合った言葉を選べば、「この度」でも「このたび」でも自然なビジネス文になります。

この記事を書いた人

敬語・丁寧表現、メール・LINEの文例、言葉の意味や違い、言い換え表現、表記ゆれなど、日常や仕事で迷いやすい日本語表現を実用重視で解説しています。
辞書・公的情報・一般的な使用実態などを確認しながら、初心者にもわかりやすい記事作成を心がけています。

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