「次のとおり」と書くべきか、「次の通り」と書くべきか。
文章を書いていると、意外と迷いやすい表記です。
結論から言うと、「同じ内容・状態・方法」を表す場合は、ひらがなの「とおり」を使うと読みやすく、文章としても自然です。
一方で、道・道路・通行・種類など、漢字の「通」の意味がはっきり残る場合は「通り」を使います。
とおりと通りの違いは意味で判断する
「とおり」と「通り」は、どちらも間違いとは言い切れない場面があります。
ただし、読みやすい文章にするなら、次のように考えると迷いにくくなります。
| 表記 | 使う場面 | 例 |
|---|---|---|
| とおり | 内容・状態・方法が同じであることを表す | 次のとおり、説明したとおり、予定どおり |
| 通り | 道・通行・種類・数え方などを表す | 大通り、人通り、二通りの方法 |
大切なのは、「通る」という意味が残っているかどうかです。
「道を通る」「人が通る」「いくつかの種類がある」のように、漢字の意味が生きているなら「通り」。
「言った内容と同じ」「予定と同じ」「下に書く内容と同じ」のように、形式的な意味なら「とおり」と考えるとよいでしょう。
「とおり」をひらがなで書く場面
「次のとおり」はひらがなが自然
「次のとおり」は、ビジネス文書や案内文でよく使う表現です。
この場合の「とおり」は、道路や通行の意味ではありません。
「次に示す内容と同じ」という意味です。
そのため、ひらがなで書くのが自然です。
例文は次のとおりです。
- 詳細は次のとおりです。
- 日程は以下のとおりです。
- 変更点は下記のとおりです。
- 会議の内容は別紙のとおりです。
「次の通り」と書いても意味は伝わります。
しかし、公的な文書や読みやすさを重視する文章では、「次のとおり」のほうがすっきりします。
「言ったとおり」「思ったとおり」もひらがなが読みやすい
「言ったとおり」「思ったとおり」の「とおり」も、ひらがなが自然です。
これは「発言や考えと同じ」という意味であり、道を通る意味ではないからです。
| 自然な表記 | 避けたい表記 | 理由 |
|---|---|---|
| 言ったとおり | 言った通り | 内容が同じという意味だから |
| 思ったとおり | 思った通り | 状態・結果が同じという意味だから |
| 説明したとおり | 説明した通り | 文章の内容を受ける表現だから |
もちろん、漢字で「言った通り」と書いても読めます。
ただ、文章全体をやわらかく見せたい場合や、読者にひっかかりなく読んでもらいたい場合は、「とおり」がおすすめです。
「予定どおり」「通常どおり」は「どおり」と書く
「予定通り」と「予定どおり」も迷いやすい表記です。
読みやすさを重視するなら、予定どおり・通常どおり・予想どおりのように、ひらがなで書くと自然です。
| ひらがな表記 | 意味 |
|---|---|
| 予定どおり | 予定と同じように |
| 通常どおり | いつもと同じように |
| 予想どおり | 予想した内容と同じように |
| 従来どおり | これまでと同じように |
| いつもどおり | いつもと同じように |
ここで注意したいのは、「どうり」ではなく「どおり」と書くことです。
「予定どうり」「思ったとうり」は誤りです。
正しくは、予定どおり・思ったとおりです。
「通り」を漢字で書く場面
道や道路を表すなら「通り」
道や道路の意味で使う場合は、漢字の「通り」が自然です。
- 大きな通りに出る
- 駅前の通りを歩く
- 表通りに店がある
- 裏通りに入る
- 銀座通り
- 青山通り
この場合は、実際に人や車が通る場所を表しています。
「通」という漢字の意味がはっきり残っているため、ひらがなより漢字のほうが意味をつかみやすいです。
人や車の行き来を表すなら「通り」
「人通り」「車の通り」のように、通行や往来を表す場合も「通り」を使います。
- この道は人通りが多い。
- 夜になると人通りが少なくなる。
- 車の通りが激しい。
- 風の通りがよい部屋だ。
「人通り」は、単に「人がいる」という意味ではなく、人が行き来している様子を表します。
そのため、漢字で書くと意味が伝わりやすくなります。
種類や方法の数を表すなら「通り」
「二通り」「何通り」のように、種類や方法の数を表す場合も「通り」を使います。
- 方法は二通りあります。
- 考え方は何通りもある。
- 解き方を一通り確認する。
- 全部で三通りのパターンがある。
この「通り」は、選択肢や種類を数える表現です。
「次のとおり」の「とおり」とは意味が違うため、漢字で書くと区別しやすくなります。
迷いやすい表現の使い分け一覧
「とおり」と「通り」の早見表
よく使う表現を、一覧で確認しておきましょう。
| 表現 | おすすめ表記 | 理由 |
|---|---|---|
| 次のとおり | とおり | 示す内容と同じという意味 |
| 以下のとおり | とおり | 下に書く内容を指すため |
| 下記のとおり | とおり | 文書・案内で使う形式的表現 |
| 説明したとおり | とおり | 説明内容と同じという意味 |
| 思ったとおり | とおり | 考えた内容と同じという意味 |
| 予定どおり | どおり | 予定と同じ状態を表す |
| 通常どおり | どおり | いつもと同じ状態を表す |
| 大通り | 通り | 道路を表す |
| 人通り | 通り | 人の往来を表す |
| 二通り | 通り | 種類・方法の数を表す |
ビジネス文書では「以下のとおり」が無難
メールや案内文では、次のような表現をよく使います。
- 詳細は以下のとおりです。
- 開催概要は下記のとおりです。
- 変更後の日程は次のとおりです。
- ご案内のとおり、会場が変更になりました。
- 先日お伝えしたとおり、締切は金曜日です。
ビジネス文書では、漢字を多くしすぎると文章が硬く見えます。
特に「以下の通り」「下記の通り」は読めますが、やや漢字が重く感じられることがあります。
そのため、実務では「以下のとおり」「下記のとおり」がおすすめです。
「とうり」と「どうり」は間違い?
「思ったとうり」は誤り
「思ったとうり」と書くのは誤りです。
正しくは、思ったとおりです。
同じように、次の表記にも注意しましょう。
| 誤り | 正しい表記 |
|---|---|
| 思ったとうり | 思ったとおり |
| 言ったとうり | 言ったとおり |
| そのとうり | そのとおり |
| 予定どうり | 予定どおり |
| 通常どうり | 通常どおり |
| 予想どうり | 予想どおり |
発音では「トーリ」「ドーリ」のように聞こえるため、「とうり」「どうり」と書きたくなるかもしれません。
しかし、かなで書く場合はとおり・どおりが正しい表記です。
「道理」との混同にも注意する
「どうり」には、別の漢字で道理という言葉があります。
「道理」は、物事の筋道や理由を表す言葉です。
- 彼の言うことには道理がある。
- なるほど、道理で寒いわけだ。
- それは道理に合わない。
「予定どおり」の「どおり」と、「道理」の「どうり」は別の言葉です。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| どおり | 同じように、そのまま | 予定どおり進む |
| 道理 | 筋道、もっともな理由 | 道理で遅いわけだ |
「予定どうり」と書くと、「予定道理」のような不自然な表記に近くなってしまいます。
迷ったら、「同じように」の意味なら「どおり」と覚えておきましょう。
「一通り」と「ひととおり」はどう違う?
一通りは「全体をざっと」の意味で使う
「一通り」は、漢字で書くことが多い表現です。
意味は、最初から最後までざっと全体を行うことです。
- 資料に一通り目を通す。
- 作業手順を一通り確認する。
- 基本操作は一通り覚えた。
- 必要な準備は一通り終わった。
「一通り」は、道の意味ではありませんが、慣用的に漢字で書かれることが多い言葉です。
ただし、文章をやわらかくしたい場合は「ひととおり」と書いても自然です。
「ひととおり」はやわらかい印象になる
ひらがなで「ひととおり」と書くと、少しやわらかい印象になります。
- まずは資料をひととおり読んでみましょう。
- 使い方をひととおり確認します。
- 流れをひととおり説明します。
ビジネス文書や説明文では「一通り」でも問題ありません。
ただし、初心者向けの記事ややさしい文章では、「ひととおり」のほうが読みやすい場合があります。
読みやすい文章にする表記ルール
漢字が続くときは「とおり」にすると読みやすい
文章の中で漢字が多く続く場合は、ひらがなの「とおり」を使うと読みやすくなります。
たとえば、次の2つを比べてみてください。
- 開催概要は下記の通り変更いたします。
- 開催概要は下記のとおり変更いたします。
後者のほうが、文章の切れ目が見えやすくなります。
特に、次のような語と組み合わせる場合は、ひらがなが向いています。
- 次のとおり
- 以下のとおり
- 下記のとおり
- 別紙のとおり
- ご案内のとおり
- 記載のとおり
漢字を使えるかどうかだけでなく、読者が一度で理解しやすいかを基準にすると、自然な表記を選べます。
文章内で表記をそろえる
同じ記事や同じ文書の中で、「とおり」と「通り」が混在しすぎると、読者が迷いやすくなります。
そのため、次のようにルールを決めておくとよいでしょう。
| 意味 | 表記ルール |
|---|---|
| 内容・状態・方法が同じ | とおり・どおり |
| 道・通行・往来 | 通り |
| 種類・方法の数 | 通り |
| 慣用表現として全体をざっと | 一通り、または、ひととおり |
ブログやWeb記事では、読みやすさが大切です。
迷ったときは、漢字にすることで意味がわかりやすくなるかを考えましょう。
意味がわかりやすくなるなら「通り」。
漢字にしても意味が増えないなら「とおり」。
この基準で判断すると、表記のブレを減らせます。
「とおり」と「通り」の例文
ひらがなの「とおり」を使う例文
- 先ほど説明したとおり、手続きには本人確認書類が必要です。
- 予定どおり、明日の午前10時に開始します。
- 以下のとおり、営業時間を変更します。
- 思ったとおりの結果になりました。
- ご存じのとおり、この制度は来月から始まります。
- 先生が言ったとおりに練習しました。
- 予想どおり、午後から雨が降りました。
漢字の「通り」を使う例文
- 駅前の通りには飲食店が多いです。
- 夜の裏通りは人通りが少ないです。
- この道は車の通りが多いので注意してください。
- 解き方は二通りあります。
- いくつかの通りに分けて考えましょう。
- 大通りに出ると、すぐにバス停があります。
- 作業の流れを一通り確認しました。
「とおり」と「通り」で迷ったときの判断チェック
最後に、迷ったときの判断基準をまとめます。
次の順番で確認すると、すぐに決められます。
| チェック項目 | 判断 |
|---|---|
| 道路・道筋の意味がある | 通り |
| 人や車が行き来する意味がある | 通り |
| 種類や方法の数を表す | 通り |
| 「同じ内容」「同じ状態」の意味である | とおり・どおり |
| 「以下の」「下記の」「説明した」などを受ける | とおり |
| 「予定」「通常」「予想」などに続く | どおり |
| 「とうり」「どうり」と書きたくなる | とおり・どおりに直す |
特に覚えておきたいのは、次の3つです。
- 次のとおり・以下のとおり・下記のとおり
- 思ったとおり・言ったとおり・説明したとおり
- 予定どおり・通常どおり・予想どおり
この3つを押さえておけば、日常文・ビジネス文書・ブログ記事の多くで迷わず書けます。
まとめ
「とおり」と「通り」は、意味で使い分けると迷いにくくなります。
内容・状態・方法が同じであることを表すなら「とおり」「どおり」。
道・通行・種類・数え方を表すなら「通り」です。
たとえば、「次のとおり」「説明したとおり」「予定どおり」は、ひらがなが自然です。
一方で、「大通り」「人通り」「二通り」は、漢字で書くと意味がはっきりします。
また、「とうり」「どうり」は誤りです。
かなで書くときは、とおり・どおりと書きましょう。
文章では、正しさだけでなく読みやすさも大切です。
迷ったときは、「通る」という漢字の意味が残っているかを基準にして判断してみてください。
