「進める」と「勧める」は、どちらも「すすめる」と読むため、変換で迷いやすい言葉です。
結論から言うと、違いは次のとおりです。
| 漢字 | 意味 | 使う場面 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 進める | 前に動かす・物事を進行させる | 作業、計画、話、交渉などを前に進めるとき | 仕事を進める |
| 勧める | 相手に何かをするよう働きかける | 参加、受診、購入、休養などを促すとき | 参加を勧める |
簡単に覚えるなら、物事を前に進行させるなら「進める」、相手に行動を促すなら「勧める」です。
進めると勧めるの違いを一言でいうと?
「進める」と「勧める」の違いは、何を“すすめる”のかで判断できます。
進めるは「物事を前に動かす」
「進める」は、物事を前へ動かしたり、予定どおりに進行させたりするときに使います。
たとえば、次のような言葉と相性がよいです。
- 作業を進める
- 計画を進める
- 会議を進める
- 話を進める
- 交渉を進める
- プロジェクトを進める
ポイントは、相手に何かをすすめているのではなく、物事そのものを前に進行させていることです。
勧めるは「相手に行動を促す」
「勧める」は、相手に「これをしたほうがいいですよ」と働きかけるときに使います。
たとえば、次のような表現です。
- 入会を勧める
- 参加を勧める
- 受診を勧める
- 休養を勧める
- 転職を勧める
- 購入を勧める
ポイントは、相手に何らかの行動を取るよう促していることです。
進めると勧めるの使い分け早見表
迷ったときは、以下の表で確認すると判断しやすくなります。
| 使いたい表現 | 正しい漢字 | 理由 |
|---|---|---|
| 仕事をすすめる | 仕事を進める | 仕事を前に進行させるため |
| 作業をすすめる | 作業を進める | 作業をはかどらせるため |
| 会議をすすめる | 会議を進める | 会議を進行させるため |
| 話をすすめる | 話を進める | 話題や相談を先へ動かすため |
| 参加をすすめる | 参加を勧める | 参加するよう促すため |
| 病院に行くことをすすめる | 病院に行くことを勧める | 受診という行動を促すため |
| 休むことをすすめる | 休むことを勧める | 休養という行動を促すため |
| 商品の購入をすすめる | 商品の購入を勧める | 買う行動を促すため |
迷ったときの判断基準
「進める」と「勧める」で迷ったら、次の3つの基準で考えてみましょう。
基準1:物事が前に進むなら「進める」
仕事、計画、会議、交渉などが対象なら、多くの場合は「進める」です。
例文を見てみましょう。
- 予定どおりに作業を進める。
- 新商品の開発を進める。
- 上司の確認を取ってから話を進める。
- 両社で交渉を進める。
これらはすべて、物事を先の段階へ動かしています。
基準2:人に行動を促すなら「勧める」
相手に「したほうがいい」とすすめる場合は「勧める」です。
- 友人に転職を勧める。
- 医師が休養を勧める。
- 店員がお客さんに購入を勧める。
- 先生が生徒に読書を勧める。
「勧める」は、相手の行動を後押しする言葉です。
基準3:「進行」なら進める、「提案・誘い」なら勧める
さらに簡単に分けるなら、次のように考えるとわかりやすいです。
| 判断ポイント | 使う漢字 |
|---|---|
| 進行させる | 進める |
| 前へ動かす | 進める |
| 段階を上げる | 進める |
| 行動を促す | 勧める |
| 誘う | 勧める |
| したほうがよいと伝える | 勧める |
「進める」は進行、「勧める」は働きかけと覚えておきましょう。
よくある言い間違い・変換ミス
「すすめる」は日常的によく使うため、誤変換も起こりやすい言葉です。
仕事を勧めるは不自然になりやすい
「仕事をすすめる」と書きたい場合、通常は仕事を進めるです。
仕事そのものを相手におすすめしているのではなく、作業や業務を進行させる意味だからです。
正しい例は次のとおりです。
- 今日中に仕事を進める。
- 先に資料作成を進める。
- チームでプロジェクトを進める。
ただし、「この仕事に応募したほうがいい」と人に助言する場合は、次のように「勧める」を使えます。
- 友人に営業職の仕事を勧める。
- 経験を生かせる仕事を勧める。
話を勧めるではなく話を進める
「話をすすめる」は、多くの場合話を進めるです。
- 詳しい条件について話を進める。
- 契約に向けて話を進める。
- 具体的な日程の話を進める。
「話を進める」は、会話や相談を次の段階へ移すという意味です。
一方、「話すことを勧める」のように、相手に発言を促す場合は「勧める」が使えます。
- 悩みがあるなら、先生に話すことを勧める。
商品をすすめるは文脈で変わる
「商品をすすめる」は、少し迷いやすい表現です。
お客さんに購入を促す意味なら、商品を勧めるが自然です。
- 店員が新商品を勧める。
- 担当者が有料プランを勧める。
一方で、「この商品がよい」と推薦する意味を強く出したい場合は、後で説明する薦めるも候補になります。
一般向けの記事や広告文では、読みやすさを考えて「おすすめする」とひらがなを使うのも自然です。
勧めると薦めるの違いも押さえておく
「進める」と「勧める」で迷う人は、あわせて「薦める」との違いにも注意が必要です。
「勧める」と「薦める」はどちらも「すすめる」と読みますが、意味は少し違います。
| 漢字 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 勧める | 行動するよう促す | 読書を勧める |
| 薦める | 人や物をよいものとして推す | 良書を薦める |
勧めるは「行動を促す」
「勧める」は、相手に何かをするように促すときに使います。
- 読書を勧める
- 受診を勧める
- 入会を勧める
- 参加を勧める
たとえば「読書を勧める」は、相手に「本を読む」という行動を促しています。
薦めるは「人や物を推薦する」
「薦める」は、人や物を「これがよい」と推薦するときに使います。
- 良書を薦める
- 候補者として薦める
- 後任に薦める
- 信頼できる先生を薦める
たとえば「良書を薦める」は、特定の本をよいものとして推している表現です。
本をすすめるはどちら?
「本をすすめる」は、意味によって漢字が変わります。
| 表現 | 漢字 | 意味 |
|---|---|---|
| 子どもに読書をすすめる | 勧める | 本を読む行動を促す |
| 友人にこの本をすすめる | 薦める | 特定の本をよいものとして推薦する |
| 一般向けに読みやすく書く | おすすめする | 漢字の迷いを避けられる |
ブログやWeb記事では、読者にとってわかりやすいように「おすすめ」とひらがなで書く選択もあります。
進めるの意味と例文
ここからは、それぞれの使い方をもう少し詳しく見ていきましょう。
進めるの基本の意味
「進める」は、主に次の意味で使います。
- 前へ動かす
- 物事を進行させる
- 段階や程度を上げる
- 時計の針を先の時刻にする
中心になるイメージは、前へ進ませることです。
進めるを使った例文
- 会議を予定どおりに進める。
- 新しい企画を社内で進める。
- 交渉を慎重に進める。
- まずは資料の作成を進める。
- 時計を5分進める。
- 研究をさらに一歩進める。
どの例文も、物事を前の段階へ動かしています。
ビジネスでよく使う進める
ビジネスでは「進める」を使う場面がとても多いです。
- 案件を進める
- プロジェクトを進める
- 調整を進める
- 準備を進める
- 手続きを進める
- 検討を進める
メールでは、次のように使えます。
ご確認いただいた内容で、手続きを進めます。
関係部署と調整を進めてまいります。
次回の打ち合わせに向けて、準備を進めております。
ビジネス文書では、作業や手続きを前へ進行させる意味なら「進める」と覚えておくと安心です。
勧めるの意味と例文
勧めるの基本の意味
「勧める」は、相手に何かをするように促すときに使います。
中心になるイメージは、相手の行動を後押しすることです。
勧めるを使った例文
- 医師が休養を勧める。
- 友人に資格取得を勧める。
- 先生が生徒に読書を勧める。
- 店員が新しいプランへの変更を勧める。
- 家族に早めの受診を勧める。
- 上司が部下に研修への参加を勧める。
どの例文も、相手に何らかの行動を取るよう働きかけています。
飲み物や席にも勧めるを使う
「勧める」は、飲み物や席などを相手にすすめる場合にも使えます。
- 来客にお茶を勧める。
- お客様に席を勧める。
- 友人に料理を勧める。
この場合も、「飲んでください」「座ってください」「食べてください」と相手に促しているため、「勧める」を使います。
ひらがなの「すすめる」を使ってもいい?
漢字で迷う場合、ひらがなで「すすめる」と書く方法もあります。
ただし、何でもひらがなにすればよいわけではありません。
意味をはっきりさせたいなら漢字が便利
「進める」と「勧める」は、漢字にすると意味がはっきりします。
- 作業を進める
- 参加を勧める
このように書けば、読者が意味をすぐ理解できます。
特にビジネス文書や説明文では、意味の違いが伝わりやすい漢字表記が向いています。
やわらかく見せたいならひらがなも自然
一方で、Web記事や広告、SNSでは、ひらがなの「すすめる」「おすすめ」が自然なこともあります。
- 初心者におすすめの本
- 無理なくすすめられる学習法
- はじめての人におすすめです
ひらがなにすると、やわらかく読みやすい印象になります。
ただし、「計画をすすめる」のように意味を明確にしたい場合は、計画を進めると書いたほうが誤解されにくいです。
進める・勧める・薦めるの違いをまとめて覚える
「すすめる」には複数の漢字があります。
特に間違えやすい3つを整理すると、次のようになります。
| 読み | 使い分け | 例文 |
|---|---|---|
| 進める | 物事を前に進行させる | 計画を進める |
| 勧める | 相手に行動を促す | 参加を勧める |
| 薦める | 人や物を推薦する | 良書を薦める |
3秒で判断するコツ
迷ったら、次のように言い換えてみてください。
| 言い換えられる言葉 | 使う漢字 |
|---|---|
| 進行させる | 進める |
| 促す・誘う | 勧める |
| 推薦する | 薦める |
たとえば、「会議をすすめる」は「会議を進行させる」と言い換えられるため、会議を進めるです。
「入会をすすめる」は「入会を促す」と言い換えられるため、入会を勧めるです。
「良書をすすめる」は「良書を推薦する」と言い換えられるため、良書を薦めるです。
文章で自然に使うためのポイント
同じ文の中で意味が変わることがある
「すすめる」は、同じような文でも意味が変わることがあります。
| 文 | 正しい表記 | 理由 |
|---|---|---|
| 上司が企画をすすめる | 企画を進める | 企画を進行させるため |
| 上司が部下に企画参加をすすめる | 企画参加を勧める | 参加を促すため |
| 上司がその企画を社内で高くすすめる | 企画を薦める | よい企画として推薦するため |
大切なのは、表面の言葉ではなく、文の中で何をしているのかを見ることです。
「おすすめ」はひらがなが無難な場面も多い
ブログや商品紹介では、「お勧め」「お薦め」よりも、おすすめのほうが読みやすいことがあります。
特に、次のような場面ではひらがな表記が自然です。
- おすすめ商品
- おすすめの本
- 初心者におすすめ
- おすすめの勉強法
- おすすめポイント
「勧める」と「薦める」のどちらかで迷う場合でも、「おすすめ」と書けば読者にやさしい表記になります。
ただし、正式な文書で意味を明確にしたい場合は、文脈に合わせて「勧める」「薦める」を使い分けましょう。
よくある質問
「作業を勧める」は間違い?
一般的には、作業を進めるが自然です。
作業は相手にすすめるものではなく、進行させるものだからです。
ただし、「その作業をするよう人に促す」という意味なら、次のように書けます。
- 部下に作業の実施を勧める。
- 早めに作業することを勧める。
「計画を勧める」は使える?
通常は、計画を進めるです。
- 新規事業の計画を進める。
- 移転計画を進める。
ただし、「その計画を採用したほうがいいと相手にすすめる」意味なら、次のような表現にできます。
- その計画の採用を勧める。
- その計画を有力案として薦める。
「転職を進める」と「転職を勧める」はどちら?
意味が違います。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| 転職を進める | 転職活動や手続きを前に進める |
| 転職を勧める | 相手に転職したほうがよいと促す |
例文で見るとわかりやすいです。
- 退職日が決まったので、転職活動を進める。
- 友人に転職を勧める。
「おすすめする」は勧める?薦める?
文脈によって変わります。
- 行動を促すなら「勧める」
- 人や物を推薦するなら「薦める」
- 一般向けに読みやすくするなら「おすすめする」
たとえば、「読書をおすすめする」は「読書という行動を促す」ため、意味としては「勧める」に近いです。
一方、「この本をおすすめする」は「その本をよいものとして推薦する」ため、意味としては「薦める」に近いです。
「奨める」は使わないほうがいい?
日常的な文章では、無理に「奨める」を使う必要はあまりありません。
「奨める」は「奨励する」に近い意味で使われることがありますが、一般的な文章では「勧める」や「奨励する」と書いたほうが伝わりやすいです。
- 学習を勧める
- 研究を奨励する
- 健康診断の受診を勧める
読みやすさを重視するなら、「奨める」よりも「勧める」「奨励する」を使うのが無難です。
まとめ
「進める」と「勧める」の違いは、進行させるのか、相手に促すのかで判断できます。
| 漢字 | 覚え方 | 例 |
|---|---|---|
| 進める | 物事を前に進める | 仕事を進める |
| 勧める | 相手に行動を促す | 参加を勧める |
| 薦める | 人や物を推薦する | 良書を薦める |
最後に、迷ったときの判断をもう一度整理します。
- 仕事・作業・計画・話・交渉なら「進める」
- 参加・受診・休養・購入・入会なら「勧める」
- 本・人・商品などをよいものとして推すなら「薦める」
- 一般向けにやわらかく書きたいなら「おすすめ」も自然
「進める」は物事を前へ、
「勧める」は相手の行動を後押し。
この違いを押さえておけば、変換で迷ったときも正しく使い分けられます。
