「犬も歩けば棒に当たる」は、よく知られていることわざですが、実は悪い意味でも良い意味でも使われます。
そのため、
「行動すると良いことがある」という意味?
「余計なことをすると災難にあう」という意味?
と迷いやすい表現です。
結論から言うと、本来の意味としては悪い意味で説明されることが多いものの、現在では良い意味でも広く使われることわざです。
この記事では、「犬も歩けば棒に当たる」の意味、良い意味と悪い意味の違い、誤解しやすい点、例文、似たことわざまでわかりやすく解説します。
犬も歩けば棒に当たるの意味は悪い?良い?
「犬も歩けば棒に当たる」には、大きく分けて2つの意味があります。
| 意味 | ニュアンス | 使う場面 |
|---|---|---|
| 何かをすると、思わぬ災難にあうことがある | 悪い意味 | 余計な行動への注意 |
| 行動してみると、思わぬ幸運に出会うことがある | 良い意味 | 行動をすすめる場面 |
つまり、このことわざは文脈によって意味が反対に近くなるのが特徴です。
悪い意味では「余計なことをすると災難にあう」
悪い意味で使う場合は、次のような意味になります。
何かをしようと動き回ると、思いがけない災難にあうことがある。
たとえば、関わらなくてもよい問題に口を出して、かえって面倒に巻き込まれるような場面です。
この場合の「棒に当たる」は、単に棒にぶつかるというより、棒で打たれるような災難にあうというイメージで考えるとわかりやすいでしょう。
良い意味では「行動すると幸運に出会う」
良い意味で使う場合は、次のような意味になります。
何か行動してみると、思いがけない良いことに出会うことがある。
たとえば、何気なく参加したイベントで良い出会いがあったり、試しに応募した仕事でチャンスを得たりする場面です。
この場合の「当たる」は、くじに当たるのように「幸運に当たる」という感覚に近くなります。
どちらの意味で使えばいい?
基本的には、前後の文脈で判断することが大切です。
たとえば、次のように使い分けられます。
| 文脈 | 意味 |
|---|---|
| 犬も歩けば棒に当たるから、余計なことはしないほうがいい | 悪い意味 |
| 犬も歩けば棒に当たるというし、まずは挑戦してみよう | 良い意味 |
同じことわざでも、後ろに続く言葉によって印象が大きく変わります。
そのため、会話や文章で使うときは、良い意味なのか悪い意味なのかが伝わるように補足すると誤解を防げます。
犬も歩けば棒に当たるの由来
「犬も歩けば棒に当たる」は、江戸時代のいろはかるたでも知られることわざです。
江戸いろはかるたの「い」の札として広まった
「犬も歩けば棒に当たる」は、江戸いろはかるたの「い」の札として広く知られるようになりました。
いろはかるたは、ことわざや教訓を遊びながら覚えるためのかるたです。
「犬も歩けば棒に当たる」は、その最初に出てくる「い」のことわざとして親しまれてきました。
「棒」は幸運ではなく災難を表していた?
もともとのイメージとしては、犬がうろうろ歩き回っていると、人に棒で追い払われたり、打たれたりすることがある、というものです。
そこから、
むやみに動き回ると、思わぬ災難にあう
という戒めの意味で考えられてきました。
ただし、古くから「思いがけない幸運に出会う」という解釈も見られます。つまり、単純に「本来は悪い意味だけで、良い意味は完全な誤用」と言い切るのは少し乱暴です。
昔と今で意味が変わったの?
「犬も歩けば棒に当たる」は、昔から複数の意味で使われてきたことわざです。
ただ、一般的には、
- もともとは「災難にあう」という戒めの意味で説明されやすい
- 現在は「行動すると良いことがある」という意味でも使われる
- 辞書にも両方の意味が載っている
という理解がわかりやすいでしょう。
言葉は時代とともに使われ方が広がることがあります。
「犬も歩けば棒に当たる」も、まさに意味が揺れやすいことわざの一つです。
犬も歩けば棒に当たるで誤解しやすい点
このことわざは有名な一方で、意味を取り違えやすい表現です。
特に次の3点に注意しましょう。
誤解1:良い意味だけのことわざだと思ってしまう
最近は、「行動すればチャンスがある」という良い意味で使われることも多くあります。
たとえば、
犬も歩けば棒に当たるというし、まずはやってみよう。
このように言うと、前向きな意味として自然に聞こえます。
しかし、もともとの字面だけを見ると、「棒に当たる」はあまり良い印象ではありません。
そのため、年配の人や言葉に詳しい人には、悪い意味として受け取られる可能性もあります。
誤解2:悪い意味だけが正しいと思ってしまう
反対に、「悪い意味だけが正しく、良い意味は間違い」と考えるのも注意が必要です。
実際には、辞書でも「災難にあう」と「幸運に出会う」の両方が説明されています。
そのため、現代では良い意味で使っても必ずしも間違いとは言えません。
ただし、文脈なしで使うと誤解されやすいため、文章では意味が伝わるように工夫しましょう。
誤解3:「棒に当たる」を単なる衝突だと思ってしまう
「棒に当たる」と聞くと、道にある棒にぶつかる場面を想像するかもしれません。
しかし、悪い意味では、犬が棒で打たれる、追い払われる、といった災難のイメージが関係しています。
一方、良い意味では「当たる」が「幸運に当たる」のように受け取られます。
このように、同じ“当たる”でも受け取り方が変わることが、意味の揺れにつながっています。
犬も歩けば棒に当たるの使い方と例文
ここからは、良い意味と悪い意味に分けて例文を見ていきましょう。
良い意味の例文
良い意味では、「行動した結果、思いがけない幸運があった」という場面で使います。
例文は次のとおりです。
- 犬も歩けば棒に当たるというし、気になる求人には応募してみることにした。
- 何気なく参加した勉強会で良い出会いがあり、犬も歩けば棒に当たると思った。
- 初めての場所に行ってみたら、思わぬ発見があった。まさに犬も歩けば棒に当たるだ。
- 迷っていたけれど、行動してみたら新しいチャンスにつながった。犬も歩けば棒に当たるとはこのことだ。
この場合は、前向きな印象になります。
「とりあえず動いてみよう」「挑戦してみよう」という気持ちを伝えたいときに使いやすい表現です。
悪い意味の例文
悪い意味では、「余計な行動をした結果、面倒なことになった」という場面で使います。
例文は次のとおりです。
- 余計な口出しをしたせいで責任を押しつけられた。犬も歩けば棒に当たるということだ。
- 興味本位で首を突っ込んだら、面倒なトラブルに巻き込まれた。まさに犬も歩けば棒に当たるだ。
- 必要もないのに出かけたら、思わぬ事故にあいそうになった。犬も歩けば棒に当たるというから気をつけたい。
- 人のもめごとに軽く関わった結果、こちらまで悪者にされた。犬も歩けば棒に当たるとはよく言ったものだ。
この場合は、不用意な行動への戒めとして使われます。
誤解されにくい使い方
「犬も歩けば棒に当たる」は、良い意味にも悪い意味にも取れるため、単独で使うと少し曖昧です。
誤解を避けるなら、次のように補足するとよいでしょう。
| 伝えたい意味 | わかりやすい言い方 |
|---|---|
| 良い意味 | 犬も歩けば棒に当たるというし、まずは行動すれば良い出会いがあるかもしれない |
| 悪い意味 | 犬も歩けば棒に当たるというから、余計なことに首を突っ込むのはやめよう |
ポイントは、ことわざの前後に「行動すればチャンスがある」または「余計なことはしない」という説明を入れることです。
犬も歩けば棒に当たると似たことわざ
「犬も歩けば棒に当たる」は、意味によって似た表現が変わります。
良い意味で使う場合と、悪い意味で使う場合に分けて整理しましょう。
良い意味に近いことわざ
良い意味に近いことわざには、次のようなものがあります。
| ことわざ | 意味 |
|---|---|
| 思い立ったが吉日 | やろうと思ったらすぐ始めるのがよい |
| 棚からぼたもち | 思いがけない幸運が訪れる |
| 怪我の功名 | 失敗や災難が、結果的によい結果につながる |
| 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる | 数多く試せば、うまくいくこともある |
「犬も歩けば棒に当たる」を良い意味で使う場合は、特に思い立ったが吉日や下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると近い印象になります。
ただし、「棚からぼたもち」は自分から行動するというより、幸運が偶然やってくる意味が強い言葉です。
悪い意味に近いことわざ
悪い意味に近いことわざには、次のようなものがあります。
| ことわざ | 意味 |
|---|---|
| 藪をつついて蛇を出す | 余計なことをして、かえって災いを招く |
| 触らぬ神に祟りなし | 関わらなければ災いを避けられる |
| 口は災いの元 | 不用意な発言が災難を招く |
| 出る杭は打たれる | 目立つ人や出過ぎた人は攻撃されやすい |
悪い意味で使う場合は、藪をつついて蛇を出すや触らぬ神に祟りなしに近い考え方です。
「余計な行動は慎んだほうがよい」という教訓を含みます。
似ているけれど意味が同じではない表現
似たことわざでも、意味が完全に同じとは限りません。
たとえば、次のような違いがあります。
| 表現 | 違い |
|---|---|
| 犬も歩けば棒に当たる | 行動によって幸運にも災難にも出会う |
| 思い立ったが吉日 | すぐ行動することをすすめる |
| 棚からぼたもち | 行動よりも偶然の幸運を表す |
| 藪をつついて蛇を出す | 余計な行動で災いを招く点に重点がある |
「犬も歩けば棒に当たる」は、良い意味と悪い意味の両方を持つため、似たことわざを選ぶときも文脈に合わせる必要があります。
犬も歩けば棒に当たるを使うときの注意点
このことわざを使うときは、次の3つを意識すると自然です。
文章では意味を補って使う
会話なら表情や流れで意味が伝わることもあります。
しかし、文章では誤解されやすいため、できるだけ意味を補いましょう。
たとえば、良い意味なら次のように書きます。
犬も歩けば棒に当たるというように、まず行動してみることで思わぬチャンスが見つかるかもしれません。
悪い意味なら次のように書きます。
犬も歩けば棒に当たるというように、余計なことに関わるとトラブルを招くことがあります。
このように書けば、読者に意図が伝わりやすくなります。
目上の人への励ましでは少し注意する
「犬も歩けば棒に当たる」は、良い意味でも使えますが、人によっては悪い意味に受け取る可能性があります。
そのため、目上の人を励ます場面では、別の表現のほうが無難なこともあります。
たとえば、
- まずは一歩踏み出してみるのが大切ですね
- 行動することで新しい可能性が見えてきます
- 思い立ったが吉日ですね
このように言い換えると、前向きな意味がよりはっきり伝わります。
悪い意味で使うときは相手を責めすぎない
悪い意味で使う場合、「余計なことをしたからだ」というニュアンスが出ることがあります。
そのため、相手に向かって使うと、少しきつく聞こえる場合があります。
たとえば、
犬も歩けば棒に当たるって言うでしょ。
だけだと、相手を責めているように聞こえるかもしれません。
やわらかく言うなら、
今回は少し運が悪かったね。犬も歩けば棒に当たるというし、次は慎重にいこう。
のようにすると、相手を傷つけにくくなります。
犬も歩けば棒に当たるに関するよくある質問
犬も歩けば棒に当たるは誤用されやすいことわざ?
はい、誤解されやすいことわざです。
理由は、悪い意味と良い意味の両方があるからです。
特に「行動すれば良いことがある」という意味だけで覚えていると、悪い意味の使い方を見たときに混乱しやすくなります。
本来の意味は悪い意味?
本来の意味としては、動き回ると災難にあうという悪い意味で説明されることが多いです。
ただし、古い用例や辞書では、良い意味も確認できます。
そのため、「悪い意味だけが絶対に正しい」とは言い切れません。
良い意味で使うのは間違い?
良い意味で使っても、現在では一般的に通じます。
ただし、受け手によっては悪い意味を思い浮かべることもあります。
そのため、良い意味で使う場合は、
「行動すれば思わぬチャンスがある」
という説明を添えると安心です。
子どもに説明するならどう言えばいい?
子どもに説明するなら、次のように言うとわかりやすいです。
「犬も歩けば棒に当たる」は、何かをすると、思いがけないことが起こるという意味だよ。昔は悪いことが起こる意味で使われることが多かったけれど、今は良いことが起こる意味でも使われるよ。
さらに短く言うなら、
動くと、良いことも悪いことも起こることがある、ということわざ。
と説明できます。
まとめ
「犬も歩けば棒に当たる」は、悪い意味でも良い意味でも使われることわざです。
悪い意味では、余計なことをすると災難にあうという戒めを表します。
良い意味では、行動してみると思いがけない幸運に出会うことがある、という前向きな教訓になります。
覚え方としては、次のように整理するとわかりやすいでしょう。
| 覚え方 | 意味 |
|---|---|
| 棒で打たれる | 悪い意味 |
| 幸運に当たる | 良い意味 |
ただし、このことわざは文脈によって意味が変わります。
使うときは、良い意味なのか悪い意味なのかが伝わるように、前後の言葉で補うことが大切です。
「犬も歩けば棒に当たる」は、単に「行動しよう」という言葉でも、「余計なことはしないように」という言葉でもありません。
行動にはチャンスもリスクもある。
その両方を表せるところに、このことわざのおもしろさがあります。
