「びっくりした」「驚いた」だけでは、気持ちの強さや場面が少し伝わりにくいことがあります。
そんなときに役立つのが、驚きを表す慣用句です。
たとえば、突然の知らせに驚いたなら「寝耳に水」、見たものが信じられないなら「目を疑う」、あまりのすごさに驚いたなら「舌を巻く」のように、場面によって使い分けると表現が豊かになります。
この記事では、驚きを表す慣用句を一覧で紹介し、意味・例文・使い分けをわかりやすく解説します。
驚きを表す慣用句とは
驚きを表す慣用句とは、予想外の出来事に出会ったときの気持ちを、決まった言い回しで表す表現です。
たとえば、次のような気持ちを表せます。
- 予想外でびっくりした
- 信じられなくて言葉が出ない
- 怖くて体が固まった
- すごすぎて感心した
- あきれて何も言えなくなった
同じ「驚き」でも、怖い驚き・うれしい驚き・あきれた驚き・感心を含む驚きでは、合う慣用句が変わります。
驚きを表す慣用句一覧
| 慣用句 | 読み方 | 意味 | 使いやすい場面 |
|---|---|---|---|
| 目を丸くする | めをまるくする | 驚いて目を大きく開く | 予想外の出来事に驚いたとき |
| 目を見張る | めをみはる | 驚きや感心で目を大きく開く | 成長・上達・すばらしい成果を見たとき |
| 目を疑う | めをうたがう | 見たものが信じられない | 信じがたい光景を見たとき |
| 耳を疑う | みみをうたがう | 聞いたことが信じられない | 思いがけない知らせを聞いたとき |
| 息を呑む | いきをのむ | 驚きや感動で一瞬息が止まる | 美しい景色・緊迫した場面を見たとき |
| 腰を抜かす | こしをぬかす | 立てないほど驚く、怖がる | 強い驚きや恐怖を感じたとき |
| 度肝を抜かれる | どぎもをぬかれる | 強烈に驚かされる | 想像を超える技術・行動を見たとき |
| 肝を潰す | きもをつぶす | 非常に驚く | 突然の事故・危険・知らせに驚いたとき |
| 寝耳に水 | ねみみにみず | 突然の知らせに驚く | まったく予想していない話を聞いたとき |
| 青天の霹靂 | せいてんのへきれき | 突然起きた思いがけない出来事 | 急な発表・事件・知らせがあったとき |
| 開いた口が塞がらない | あいたくちがふさがらない | 驚きやあきれで言葉が出ない | 常識外れの言動に驚いたとき |
| 二の句が継げない | にのくがつげない | 驚きやあきれで次の言葉が出ない | 会話中に言葉を失ったとき |
| 舌を巻く | したをまく | すごさに驚き感心する | 相手の実力・技術に驚いたとき |
| 目が点になる | めがてんになる | 驚いて一瞬理解が追いつかない | 予想外すぎて固まったとき |
| 目を白黒させる | めをしろくろさせる | 驚き慌てる | 急な出来事で混乱したとき |
| 胸を衝かれる | むねをつかれる | はっと強い衝撃を受ける | 印象的な言葉・光景に驚いたとき |
| 胸が潰れる | むねがつぶれる | 驚きや心配で胸が苦しくなる | 悪い知らせや不安な出来事を聞いたとき |
| 泡を食う | あわをくう | 突然のことで驚き慌てる | 急なトラブルで慌てたとき |
| 鳩が豆鉄砲を食ったよう | はとがまめでっぽうをくったよう | きょとんとして驚く様子 | 予想外でぽかんとした表情を表すとき |
| あっけにとられる | あっけにとられる | 驚きあきれてぼうっとする | 意外すぎる出来事に反応できないとき |
場面別に使いやすい驚きの慣用句
突然の知らせに驚いたとき
突然の知らせに驚いたときは、次の表現が使いやすいです。
- 寝耳に水
- 耳を疑う
- 青天の霹靂
- 肝を潰す
たとえば、急な転勤・閉店・結婚報告・受賞の知らせなど、予想していなかった情報を聞いた場面に向いています。
例文:
- 突然の退職発表は、私たちにとって寝耳に水だった。
- 彼が海外に移住すると聞いて、思わず耳を疑った。
- 会社の合併発表は、社員にとって青天の霹靂だった。
「寝耳に水」は、特に不意の知らせに使いやすい慣用句です。単に「すごい」と驚く場面より、急に知らされて戸惑う場面に合います。
見たものに驚いたとき
目の前の光景や結果に驚いたときは、次の表現が自然です。
- 目を丸くする
- 目を疑う
- 目を見張る
- 息を呑む
例文:
- テストで満点を取った弟を見て、家族は目を丸くした。
- 朝起きると外が一面雪で、私は目を疑った。
- 彼女の成長ぶりには、先生も目を見張った。
- 山頂から見た夕焼けの美しさに、思わず息を呑んだ。
「目を疑う」は、見たものが信じられないという意味です。
一方、「目を見張る」は、驚きだけでなく感心・称賛の気持ちを含むことがあります。
強い恐怖や衝撃を受けたとき
怖さや衝撃の大きさを表したいときは、次の慣用句が合います。
- 腰を抜かす
- 肝を潰す
- 度肝を抜かれる
- 胸が潰れる
例文:
- 夜道で突然大きな物音がして、腰を抜かしそうになった。
- 事故の知らせを聞いて、家族は肝を潰した。
- 彼の大胆な行動に、観客は度肝を抜かれた。
- 子どもが迷子になったと聞き、胸が潰れる思いがした。
「腰を抜かす」は、やや大げさで会話向きの表現です。
作文や記事では、状況に合わせて「肝を潰す」「胸が潰れる」を使うと、驚きだけでなく不安や恐怖も伝わります。
あきれて言葉が出ないとき
ただ驚くだけでなく、相手の言動にあきれたときは、次の表現が使えます。
- 開いた口が塞がらない
- 二の句が継げない
- あっけにとられる
- 目が点になる
例文:
- 彼のあまりに無責任な発言に、開いた口が塞がらなかった。
- 突然の告白に驚いて、しばらく二の句が継げなかった。
- 予想外の展開に、会場中があっけにとられた。
- 先生の冗談が意外すぎて、みんな目が点になった。
注意点として、「開いた口が塞がらない」は、ほめる場面よりも、あきれた場面で使われやすい表現です。
たとえば「彼のすばらしい演奏に開いた口が塞がらなかった」と言うと、少し不自然に感じられることがあります。
この場合は、次のように言い換えると自然です。
- 彼の演奏に息を呑んだ
- 彼の演奏のすばらしさに舌を巻いた
- 彼の演奏力には目を見張るものがあった
すごさに驚いて感心したとき
相手の才能や技術に驚いたときは、感心の意味を含む慣用句が合います。
- 舌を巻く
- 目を見張る
- 息を呑む
- 度肝を抜かれる
例文:
- 小学生とは思えない演奏力に、審査員も舌を巻いた。
- 新人選手の活躍には、誰もが目を見張った。
- 一瞬で会場の空気を変える演技に、観客は息を呑んだ。
- 彼の奇抜な発想に、チーム全員が度肝を抜かれた。
「舌を巻く」は、相手の能力や出来栄えがすごくて感心するときに便利です。
単なる驚きではなく、尊敬や称賛の気持ちが入ります。
よく使う驚きの慣用句の意味と例文
目を丸くする
「目を丸くする」は、驚いて目を大きく開く様子を表します。
子どもから大人まで使いやすく、会話・作文のどちらにも向いています。
例文:
- プレゼントの中身を見て、妹は目を丸くした。
- いつも静かな彼が大声で笑ったので、みんな目を丸くした。
目を疑う
「目を疑う」は、見たものが本当だと思えないほど驚くことです。
実際に目で見た光景・結果・数字などに対して使います。
例文:
- 宝くじの当選番号を見て、思わず目を疑った。
- 何年も使っていない部屋がきれいに片づいていて、私は目を疑った。
耳を疑う
「耳を疑う」は、聞いた話が信じられないほど驚くことです。
誰かの発言、ニュース、発表などに対して使います。
例文:
- 彼が急に学校を辞めると聞いて、私は耳を疑った。
- その商品の値段を聞いて、思わず耳を疑った。
「目を疑う」は見たことに対して使い、「耳を疑う」は聞いたことに対して使います。
| 表現 | 使う対象 | 例 |
|---|---|---|
| 目を疑う | 見たもの | 結果・景色・数字・光景 |
| 耳を疑う | 聞いたこと | 発言・知らせ・ニュース・発表 |
息を呑む
「息を呑む」は、驚きや感動で一瞬息が止まるような状態を表します。
怖い場面にも、美しい場面にも使えます。
例文:
- 崖の上から見た景色の美しさに、思わず息を呑んだ。
- 試合終了間際の逆転シュートに、観客は息を呑んだ。
腰を抜かす
「腰を抜かす」は、立てなくなるほど驚く、または怖がることを表します。
実際に立てなくなった場合だけでなく、比喩としても使われます。
例文:
- 目の前に大きな犬が飛び出してきて、腰を抜かしそうになった。
- 彼が大会で優勝したと聞いて、家族は腰を抜かすほど驚いた。
日常会話では使いやすいですが、少し大げさな表現なので、落ち着いた文章では使いすぎに注意しましょう。
度肝を抜かれる
「度肝を抜かれる」は、強烈に驚かされることです。
予想をはるかに超える行動、才能、発想、演出などに使われます。
例文:
- 彼の圧倒的な歌唱力に、観客は度肝を抜かれた。
- 新商品の斬新なデザインには、業界関係者も度肝を抜かれた。
「度肝を抜く」は、相手を驚かせる側の表現です。
- 彼の演技は観客の度肝を抜いた。
- 観客は彼の演技に度肝を抜かれた。
肝を潰す
「肝を潰す」は、非常に驚くことを表します。
特に、突然の出来事や危険な出来事に対して使われやすい表現です。
例文:
- 夜中に警報が鳴り、家族全員が肝を潰した。
- 子どもが道路に飛び出し、見ていた人たちは肝を潰した。
「びっくりした」よりも、驚きの度合いが強く、怖さや不安も含まれます。
寝耳に水
「寝耳に水」は、まったく予想していなかった知らせを突然聞いて驚くことです。
例文:
- 急な引っ越しの話は、私にとって寝耳に水だった。
- 長年続いた店が閉店すると聞き、常連客には寝耳に水の知らせだった。
「寝耳に水」は、主に知らせ・話・発表に対して使います。
美しい景色を見て驚いたときに「寝耳に水だった」と言うのは不自然です。
開いた口が塞がらない
「開いた口が塞がらない」は、驚きやあきれで言葉が出ない様子を表します。
例文:
- あまりに身勝手な言い訳に、開いた口が塞がらなかった。
- 約束を忘れたうえに逆ギレする彼に、私は開いた口が塞がらなかった。
この表現は、単なる驚きよりも、あきれた気持ちが強いときに使うのが自然です。
二の句が継げない
「二の句が継げない」は、驚きやあきれで次に言う言葉が出てこないことです。
例文:
- 突然の質問に驚き、私は二の句が継げなかった。
- 彼の非常識な発言に、周囲は二の句が継げなかった。
「開いた口が塞がらない」と似ていますが、「二の句が継げない」は会話の途中で言葉を失う場面に使いやすい表現です。
舌を巻く
「舌を巻く」は、相手のすばらしさに驚き、感心することです。
例文:
- 彼女の記憶力には、先生も舌を巻いた。
- 職人の細かな技術に、見学者は舌を巻いた。
「すごくて驚いた」という気持ちを、少し上品に表したいときに便利です。
驚きの強さで慣用句を使い分ける
驚きの強さに合わせて選ぶと、文章が自然になります。
| 驚きの強さ | 慣用句 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 軽い驚き | 目を丸くする、目が点になる | 予想外でびっくりする |
| 中くらいの驚き | 目を疑う、耳を疑う、息を呑む | 信じられない、はっとする |
| 強い驚き | 腰を抜かす、肝を潰す、度肝を抜かれる | 衝撃が大きい |
| あきれを含む驚き | 開いた口が塞がらない、二の句が継げない | 驚きと同時に言葉を失う |
| 感心を含む驚き | 舌を巻く、目を見張る | すごさに驚いて評価する |
作文やブログ記事では、「驚いた」を何度も使うより、場面に合う慣用句を選んだほうが読みやすくなります。
会話・作文・ビジネスで使いやすい表現
日常会話で使いやすい慣用句
日常会話では、少しくだけた表現も自然に使えます。
- 目を丸くする
- 目が点になる
- 腰を抜かす
- 寝耳に水
- あっけにとられる
例文:
- そんなことがあったなんて、寝耳に水だよ。
- 値段を聞いて、思わず目が点になった。
- 急に後ろから声をかけられて、腰を抜かすかと思った。
作文で使いやすい慣用句
作文では、意味が伝わりやすく、場面を描写しやすい慣用句が向いています。
- 目を疑う
- 息を呑む
- 目を見張る
- 耳を疑う
- 二の句が継げない
例文:
- 目の前に広がる満天の星に、私は息を呑みました。
- 友人の努力の成果には、先生も目を見張りました。
- 突然の知らせに、私は二の句が継げませんでした。
ビジネスでも使いやすい慣用句
ビジネスでは、くだけすぎない表現を選ぶと安心です。
使いやすい表現:
- 目を見張る
- 舌を巻く
- 息を呑む
- 耳を疑う
- 寝耳に水
例文:
- 貴社の技術力には、正直舌を巻きました。
- 新人とは思えない成果に、社内でも目を見張るものがありました。
- 突然の方針変更は、現場にとって寝耳に水でした。
ビジネス文書では、「腰を抜かす」「目が点になる」はやや口語的です。正式な文章では避けたほうが無難です。
驚きを表す慣用句の注意点
目を疑うと耳を疑うを混同しない
「目を疑う」は、見たものに対して使います。
- 正:掲示板の合格発表を見て、目を疑った。
- 不自然:合格の知らせを聞いて、目を疑った。
聞いたことに対しては「耳を疑う」を使います。
- 正:合格の知らせを聞いて、耳を疑った。
開いた口が塞がらないは褒め言葉として使いにくい
「開いた口が塞がらない」は、あきれた気持ちを含みやすい表現です。
褒めたい場面では、次のように言い換えると自然です。
| 言いたいこと | 自然な表現 |
|---|---|
| すばらしくて驚いた | 息を呑んだ |
| 実力に驚いて感心した | 舌を巻いた |
| 成長ぶりに驚いた | 目を見張った |
| 発想が斬新で驚いた | 度肝を抜かれた |
寝耳に水は突然の知らせに使う
「寝耳に水」は、突然の知らせや出来事に使います。
- 正:突然の閉店発表は、常連客にとって寝耳に水だった。
- 不自然:美しい景色を見て、寝耳に水だった。
美しい景色に驚いた場合は、「息を呑む」「目を見張る」が自然です。
腰を抜かすは大げさな表現
「腰を抜かす」は、かなり強い驚きを表します。
軽い驚きに使うと、大げさに聞こえることがあります。
- 軽い驚き:目を丸くする
- 強い驚き:腰を抜かす
- 怖さを伴う驚き:肝を潰す
場面に合わせて強さを調整しましょう。
驚きを表す慣用句を使った短文例
ここでは、ブログや作文で使いやすい短文例を紹介します。
- 突然の発表に、会場の全員が耳を疑った。
- 予想外の結果に、彼は目を丸くした。
- 彼女の成長ぶりには、誰もが目を見張った。
- 事故の知らせを聞き、家族は肝を潰した。
- 夜道で物音がして、私は腰を抜かしそうになった。
- あまりの美しさに、観客は息を呑んだ。
- 彼の大胆な発想に、チーム全員が度肝を抜かれた。
- 突然の転校の話は、友人たちにとって寝耳に水だった。
- 非常識な発言に、私は開いた口が塞がらなかった。
- 思いがけない告白に、彼は二の句が継げなかった。
- 職人の技術の高さに、見学者は舌を巻いた。
- 予想外の展開に、会場はあっけにとられた。
驚きを表す慣用句の覚え方
驚きを表す慣用句は、体の部位と結びつけると覚えやすくなります。
| 体の部位 | 慣用句 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 目 | 目を丸くする、目を疑う、目を見張る | 見て驚く |
| 耳 | 耳を疑う、寝耳に水 | 聞いて驚く |
| 息 | 息を呑む | 一瞬息が止まる |
| 腰 | 腰を抜かす | 立てないほど驚く |
| 肝 | 肝を潰す、度肝を抜かれる | 心が大きく揺さぶられる |
| 口 | 開いた口が塞がらない、二の句が継げない | 言葉が出ない |
このように、体の反応と一緒に覚えると、意味だけでなく使う場面もイメージしやすくなります。
まとめ
驚きを表す慣用句には、さまざまな種類があります。
単に「びっくりした」と言うだけでなく、場面に合わせて使い分けることで、気持ちをより具体的に伝えられます。
特に覚えておきたい表現は、次のとおりです。
| 場面 | おすすめの慣用句 |
|---|---|
| 突然の知らせに驚いた | 寝耳に水、耳を疑う |
| 見たものが信じられない | 目を疑う、目を丸くする |
| 強い衝撃を受けた | 度肝を抜かれる、肝を潰す |
| 怖くて驚いた | 腰を抜かす |
| 感心するほど驚いた | 舌を巻く、目を見張る |
| あきれて言葉が出ない | 開いた口が塞がらない、二の句が継げない |
| 美しさや緊張感に驚いた | 息を呑む |
驚きの種類に合わせて慣用句を選ぶと、会話や作文の表現がぐっと豊かになります。
