慣用句 中学生向け|意味と例文で覚える基本表現

慣用句は、いくつかの言葉が組み合わさって、全体で決まった意味を表す表現です。

たとえば「油を売る」は、文字どおり「油を売る」という意味ではなく、むだ話をして時間を過ごすという意味で使います。

中学生になると、国語の定期テストや高校入試で慣用句が出題されることがあります。
また、作文や会話でうまく使えると、表現がぐっと豊かになります。

この記事では、中学生がまず覚えておきたい基本の慣用句を、意味と例文つきでわかりやすく紹介します。

目次

慣用句とは?中学生にもわかりやすく解説

慣用句とは、二つ以上の言葉が結びついて、全体で特別な意味を表す言い回しのことです。

たとえば、次のような表現があります。

慣用句文字どおりの意味実際の意味
顔が広い顔の面積が広い知り合いが多い
口が軽い口の重さが軽い秘密をすぐ話してしまう
手を焼く手を火で焼く対応に困る

このように、慣用句は言葉をそのまま読んでも意味がわかりにくいことがあります。

そのため、意味だけを丸暗記するのではなく、どんな場面で使うのかを例文で確認することが大切です。

慣用句とことわざの違い

慣用句と似ている言葉に「ことわざ」があります。

簡単に言うと、違いは次のとおりです。

種類特徴例
慣用句状態・気持ち・行動などを表す言い回し腹が立つ、顔が広い
ことわざ教訓や昔からの知恵を表す言葉急がば回れ、石の上にも三年

慣用句は、主に気持ちや様子を表す表現として使われます。
一方、ことわざは、人生の教えや考え方を伝えるときによく使われます。

ただし、表現によっては境目がはっきりしないものもあります。中学生の学習では、まず「意味」と「使い方」を正しく覚えることを優先しましょう。

中学生が覚えておきたい慣用句一覧

ここからは、中学生が覚えておきたい基本の慣用句を、意味と例文つきで紹介します。

定期テストや高校入試で問われやすい表現に加えて、作文や会話でも使いやすいものを中心にまとめました。

気持ちを表す慣用句

感情を表す慣用句は、作文や読解問題でもよく出てきます。
登場人物の気持ちを読み取るときにも役立ちます。

慣用句意味例文
腹が立つ怒りを感じる約束を破られて、思わず腹が立った。
胸がいっぱいになる感動や喜びで心が満たされる友人の言葉を聞いて、胸がいっぱいになった。
気が重い物事をするのがつらく感じる苦手な発表が近づき、気が重い。
胸をなで下ろす安心する忘れ物が見つかり、胸をなで下ろした。
頭にくる強く腹が立つ何度注意しても聞かないので、頭にきた。
心を打たれる深く感動する仲間を助ける姿に心を打たれた。

ポイント
気持ちを表す慣用句は、「うれしい」「怒った」「安心した」などをそのまま書くより、表現に深みを出せます。

作文では、次のように使うと自然です。

例:
「合格の知らせを聞いた瞬間、私は胸をなで下ろした。」

人柄や性格を表す慣用句

人の性格や態度を表す慣用句は、人物説明でよく使われます。
読解問題でも、登場人物の特徴を表す言葉として出やすい分野です。

慣用句意味例文
顔が広い知り合いが多い兄は顔が広く、地域の人をたくさん知っている。
口が軽い秘密をすぐ話してしまう口が軽い人には、大事な話をしにくい。
口が堅い秘密を守る彼女は口が堅いので、安心して相談できる。
腰が低いいばらず、丁寧な態度で接する店長は誰に対しても腰が低い。
鼻が高い誇らしく思う弟が大会で優勝し、家族みんな鼻が高い。
気が置けない遠慮せずに付き合える彼とは気が置けない友人関係だ。

「気が置けない」は、遠慮がいらないほど親しいという意味です。
「気を使う相手」という意味に間違えやすいので注意しましょう。

勉強・努力・行動を表す慣用句

勉強や部活動、受験に関する文章で使いやすい慣用句です。

慣用句意味例文
本腰を入れる本気で取り組むテスト前になり、数学の勉強に本腰を入れた。
腕を磨く技術や能力を高める毎日練習して、ピアノの腕を磨いている。
力を入れる熱心に取り組む今年は英語の学習に力を入れたい。
手を抜くやるべきことを十分にしない掃除で手を抜いたため、先生に注意された。
骨が折れるとても苦労する長い文章をまとめるのは骨が折れる作業だ。
板につく慣れて自然にできるようになる司会の仕事がだんだん板についてきた。

覚え方のコツ
「勉強」「練習」「努力」と一緒に使える慣用句は、例文を自分の生活に置き換えると覚えやすくなります。

例:
「英単語の暗記に力を入れる」
「部活の練習で腕を磨く」

状況や判断を表す慣用句

状況を説明するときに便利な慣用句です。
ニュース、物語文、説明文などでも見かけることがあります。

慣用句意味例文
見通しが立つこれからの予定や結果が予想できる作業の見通しが立ち、安心した。
けりをつける物事を終わらせる友人とのけんかにけりをつけた。
峠を越す最も大変な時期を過ぎる祖母の病状は峠を越したそうだ。
目鼻がつくだいたいの見込みが立つ文化祭の準備にようやく目鼻がついた。
的を射る大事な点を正確にとらえる彼の意見は的を射ていた。
筋が通る考えや説明に矛盾がないその説明は筋が通っている。

これらの慣用句は、作文で使うと文章が引き締まります。

例:
「話し合いを重ねた結果、ようやく解決の見通しが立った。」

失敗や困った場面で使う慣用句

失敗・後悔・困惑を表す慣用句も、中学生が覚えておきたい基本表現です。

慣用句意味例文
頭を抱える困って悩む難しい問題を前に、頭を抱えた。
途方に暮れるどうすればよいかわからなくなる道に迷い、途方に暮れた。
音を上げる苦しさに耐えられず弱音を言う厳しい練習に音を上げそうになった。
水の泡になる努力や苦労が無駄になる保存し忘れて、作った資料が水の泡になった。
後の祭り手遅れでどうにもならない締め切りを過ぎてから気づいても後の祭りだ。
二の舞を演じる同じ失敗を繰り返す前回の二の舞を演じないように注意した。

「後の祭り」は、もう遅く、取り返しがつかないという意味です。
単に「祭りのあと」という意味ではありません。

慣用句を効率よく覚える方法

慣用句は数が多いので、ただ一覧を眺めるだけではなかなか覚えられません。

中学生が効率よく覚えるには、次の3ステップがおすすめです。

まず意味を短く言えるようにする

最初は、長い説明を丸暗記しようとしなくて大丈夫です。

たとえば、次のように短く覚えましょう。

慣用句短い意味
腹が立つ怒る
胸をなで下ろす安心する
口が軽い秘密を話しやすい
本腰を入れる本気で取り組む
途方に暮れるどうしてよいかわからない

意味を短く言えるようになると、テストの選択問題でも答えやすくなります。

例文で使い方を確認する

慣用句は、意味だけでなく使う場面を覚えることが大切です。

たとえば「鼻が高い」は、自分の鼻の形を表すのではなく、誇らしい気持ちを表します。

例:
「妹がコンクールで入賞し、兄として鼻が高い。」

このように、例文ごと覚えると、実際の文章の中で意味を判断しやすくなります。

自分の生活に置き換えて覚える

慣用句は、自分の学校生活に置き換えると記憶に残りやすくなります。

たとえば、次のように考えてみましょう。

場面使える慣用句
テスト勉強を本気で始める本腰を入れる
試合に勝って安心する胸をなで下ろす
宿題が多くて困る頭を抱える
友達と仲直りする水に流す
練習して上達する腕を磨く

自分に関係のある例文を作ると、暗記ではなく「使える言葉」として身につきます。

定期テストや高校入試で問われやすいポイント

慣用句の問題では、単に意味を答えるだけでなく、文の中で正しく使えるかを問われることがあります。

意味を選ぶ問題

よくあるのは、慣用句の意味を選ぶ問題です。

例:
「彼は難しい課題を前にして頭を抱えた。」

この場合、「頭を抱える」の意味は、困って悩むです。

「頭をけがする」「頭を守る」という意味ではありません。
慣用句は文字どおりに考えすぎないことが大切です。

空欄に合う慣用句を選ぶ問題

次のような問題もよく出ます。

例:
「テスト前なので、英語の勉強に(   )を入れる。」

正解は、力です。
「力を入れる」で、熱心に取り組むという意味になります。

このタイプの問題では、慣用句の一部だけを覚えていると迷いやすくなります。
「力を入れる」「本腰を入れる」のように、ひとまとまりで覚えるようにしましょう。

例文として正しいものを選ぶ問題

慣用句の使い方が正しいかどうかを判断する問題もあります。

例:
「彼とは気が置けない仲なので、何でも話せる。」

これは正しい使い方です。
「気が置けない」は、遠慮しなくてよい親しい関係を表します。

反対に、次のような使い方は不自然です。

例:
「初対面の相手で気が置けないので、緊張した。」

この文では、「気を使う」「気が抜けない」などの表現のほうが自然です。

間違えやすい慣用句に注意

慣用句の中には、意味を反対に覚えやすいものや、似た表現と混同しやすいものがあります。

気が置けない

意味:遠慮しなくてよい。気楽に付き合える。

例:
「彼女は気が置けない友人で、何でも相談できる。」

「気を使う相手」という意味ではありません。
むしろ、気を使わずにいられる相手を表します。

役不足

意味:その人の能力に対して、役目が軽すぎること。

例:
「実力のある彼にとって、この仕事は役不足かもしれない。」

「能力が足りない」という意味で使われがちですが、本来は反対です。
能力が足りないことを言いたい場合は、「力不足」を使うほうが自然です。

敷居が高い

意味:相手に迷惑をかけたなどの理由で、行きにくい。

例:
「長い間連絡していなかったので、先生の家を訪ねるのは敷居が高い。」

最近では「高級すぎて入りにくい」という意味で使われることもありますが、国語の学習では本来の意味も押さえておきましょう。

的を射る

意味:大事な点を正確にとらえる。

例:
「彼の意見は的を射ていて、みんなが納得した。」

「的を得る」と間違えないように注意しましょう。
テストでは、漢字や言い回しの正確さも見られることがあります。

慣用句を作文で使うコツ

慣用句は、使いすぎると不自然になります。
作文では、ここぞという場面で使うと効果的です。

気持ちを具体的に表したいときに使う

たとえば、次の二つの文を比べてみましょう。

普通の文:
「試合に勝って安心しました。」

慣用句を使った文:
「試合に勝った瞬間、私は胸をなで下ろしました。」

後の文のほうが、気持ちの動きが伝わりやすくなります。

人物の特徴を表すときに使う

人物紹介でも慣用句は便利です。

例:
「私の祖母は顔が広く、近所の人からよく声をかけられます。」

「知り合いが多い」と書くよりも、自然で表現豊かな文章になります。

無理に難しい慣用句を使わない

慣用句は、意味を正しく理解して使うことが大切です。

意味に自信がない表現を無理に使うと、かえって不自然な文章になることがあります。

まずは、次のような基本表現から使いましょう。

  • 腹が立つ
  • 胸をなで下ろす
  • 本腰を入れる
  • 顔が広い
  • 頭を抱える
  • 水の泡になる

中学生向け慣用句の確認問題

最後に、覚えた慣用句を確認してみましょう。

問題1

次の文の「腹が立つ」の意味として正しいものを選びましょう。

「友人にうそをつかれて、腹が立った。」

  1. お腹がすいた
  2. 怒りを感じた
  3. 体調が悪くなった

答え:2

「腹が立つ」は、怒りを感じるという意味です。

問題2

次の空欄に合う言葉を入れましょう。

「テスト前なので、勉強に本腰を(   )。」

答え:入れる

「本腰を入れる」で、本気で取り組むという意味になります。

問題3

次の慣用句の意味として正しいものを選びましょう。

「口が軽い」

  1. 話す声が小さい
  2. 秘密をすぐ話してしまう
  3. 食べるのが早い

答え:2

「口が軽い」は、秘密を守らず、すぐ人に話してしまうことを表します。

問題4

次の文の慣用句の使い方は正しいでしょうか。

「彼とは気が置けない仲なので、何でも相談できる。」

答え:正しい

「気が置けない」は、遠慮しなくてよい親しい関係を表します。

よくある質問

慣用句は何個くらい覚えればよいですか?

まずは、学校の教科書や問題集に出てくるものを中心に、30〜50個程度を目標にするとよいでしょう。

一度にたくさん覚えるよりも、毎日少しずつ確認するほうが定着しやすいです。

慣用句は意味だけ覚えればよいですか?

意味だけでなく、例文と一緒に覚えるのがおすすめです。

慣用句は、文の中でどう使うかを理解していないと、テストや作文で正しく使えないことがあります。

慣用句と四字熟語は同じですか?

同じではありません。

四字熟語は、基本的に漢字四字でできた熟語です。
慣用句は、「腹が立つ」「顔が広い」のように、複数の言葉が組み合わさって決まった意味を表す表現です。

ただし、どちらも国語の語彙力を高めるうえで大切な表現です。

まとめ

慣用句は、二つ以上の言葉が結びつき、全体で決まった意味を表す表現です。

中学生が慣用句を覚えると、次のような力が身につきます。

  • 文章の意味を正確に読み取る力
  • 作文で気持ちや状況を表す力
  • 定期テストや高校入試に対応する語彙力
  • 会話や文章表現を豊かにする力

慣用句を覚えるときは、意味だけを丸暗記するのではなく、例文で使い方を確認することが大切です。

まずは、この記事で紹介した基本表現から少しずつ覚えていきましょう。

この記事を書いた人

敬語・丁寧表現、メール・LINEの文例、言葉の意味や違い、言い換え表現、表記ゆれなど、日常や仕事で迷いやすい日本語表現を実用重視で解説しています。
辞書・公的情報・一般的な使用実態などを確認しながら、初心者にもわかりやすい記事作成を心がけています。

目次