慣用句は、国語の授業・定期テスト・入試問題・作文でよく出る表現です。
たとえば「頭を抱える」は、本当に頭を手で抱えることではなく、困って悩むことを表します。
このように慣用句は、言葉をそのままの意味で考えると意味を取り違えやすいため、意味・使い方・例文をセットで覚えることが大切です。
この記事では、国語でよく出る慣用句を、例文つきでわかりやすく整理します。
慣用句とは?国語でよく出る表現を理解しよう
慣用句の意味
慣用句とは、二つ以上の言葉が結びつき、全体で特別な意味を表す言い回しのことです。
たとえば、次のような表現があります。
| 慣用句 | 文字どおりの意味 | 実際の意味 |
|---|---|---|
| 油を売る | 油を売ること | むだ話などをして時間を過ごす |
| 顔が広い | 顔の面積が広い | 知り合いが多い |
| 首を長くする | 首を長く伸ばす | 楽しみに待つ |
慣用句は、日常会話でも作文でも使われます。
意味を知っていると、文章の内容を正しく読み取れるだけでなく、自分の表現も豊かになります。
ことわざ・故事成語・四字熟語との違い
慣用句と似た言葉に、ことわざ・故事成語・四字熟語があります。
| 種類 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 慣用句 | 決まった言い回しで、特別な意味を表す | 頭を抱える、顔が広い |
| ことわざ | 昔から伝わる教訓や知恵を表す | 急がば回れ、七転び八起き |
| 故事成語 | 昔の出来事や話に由来する言葉 | 矛盾、蛇足 |
| 四字熟語 | 漢字四字でできた熟語 | 一石二鳥、十人十色 |
国語の問題では、これらがまとめて出ることもあります。
ただし、慣用句は特に、体の一部を使った表現や気持ちを表す表現がよく出ます。
国語でよく出る慣用句一覧
体に関する慣用句
体の一部を使った慣用句は、国語で特によく出ます。
意味を文字どおりに考えず、どんな気持ちや様子を表しているかに注目しましょう。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 頭を抱える | 困って悩む | 宿題が多すぎて、思わず頭を抱えた。 |
| 頭が下がる | 感心して尊敬する | 毎日努力を続ける彼には頭が下がる。 |
| 頭に入れる | しっかり覚える | テストに出る漢字を頭に入れておこう。 |
| 顔が広い | 知り合いが多い | 兄は顔が広く、町の人をたくさん知っている。 |
| 顔を出す | 出席する・立ち寄る | 放課後、部活動に顔を出した。 |
| 目がない | とても好きである | 妹は甘いものに目がない。 |
| 目を丸くする | とても驚く | 先生の発表を聞いて、みんな目を丸くした。 |
| 耳が痛い | 弱点を指摘されてつらい | 「早く片付けなさい」と言われて耳が痛い。 |
| 口が軽い | 秘密をすぐ話してしまう | 口が軽い人には大事な話をしにくい。 |
| 口をそろえる | みんな同じことを言う | クラス全員が口をそろえて賛成した。 |
| 手を焼く | 対応に困る | いたずら好きな弟に母は手を焼いている。 |
| 足を運ぶ | わざわざ行く | 展覧会を見るために美術館へ足を運んだ。 |
気持ちを表す慣用句
気持ちを表す慣用句は、読解問題や作文で使いやすい表現です。
「うれしい」「悲しい」「不安」などを、より具体的に表せます。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 胸がいっぱいになる | 感動や喜びで心が満たされる | 卒業式の歌を聞いて胸がいっぱいになった。 |
| 胸をなで下ろす | 安心する | 忘れ物が見つかり、胸をなで下ろした。 |
| 気が重い | やる前からゆううつである | 苦手な発表が近づき、気が重い。 |
| 気が気でない | 心配で落ち着かない | 試合の結果が気が気でなかった。 |
| 腹が立つ | 怒りを感じる | 約束を破られて腹が立った。 |
| 目に余る | 見過ごせないほどひどい | 友達への悪口が目に余る。 |
| 涙をのむ | 悔しい気持ちをこらえる | 決勝で負け、涙をのんで結果を受け入れた。 |
| 心を打つ | 深く感動させる | 彼女の作文は多くの人の心を打った。 |
性格や人柄を表す慣用句
人物の特徴を表す慣用句は、物語文の読解や作文で役立ちます。
登場人物の性格を説明するときにも使いやすい表現です。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 気が長い | のんびり待てる性格 | 兄は気が長く、なかなか怒らない。 |
| 気が短い | すぐ怒る性格 | 父は少し気が短いところがある。 |
| 腰が低い | 態度が控えめで丁寧 | 店長は誰に対しても腰が低い。 |
| 口が堅い | 秘密を守る | 彼女は口が堅いので安心して相談できる。 |
| 鼻が高い | 誇らしく思う | 弟が表彰され、家族みんな鼻が高かった。 |
| 腕が立つ | 技術や能力が優れている | あの職人は腕が立つことで有名だ。 |
| 骨がある | 強い意志や根性がある | 最後まであきらめない彼は骨がある。 |
| 人がいい | 素直で親切 | 祖母は人がよく、誰にでも優しい。 |
行動や態度を表す慣用句
行動を表す慣用句は、文章中の人物の動きや考え方を読み取る問題でよく出ます。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 油を売る | むだ話などをして時間を過ごす | 仕事の途中で油を売ってはいけない。 |
| 道草を食う | 途中で寄り道する | 学校帰りに道草を食って帰りが遅くなった。 |
| 手を貸す | 助ける | 重い荷物を運ぶ友達に手を貸した。 |
| 手を打つ | 対策をする | 問題が大きくなる前に手を打つ必要がある。 |
| 口をはさむ | 他人の話に割り込む | 人の話にすぐ口をはさむのはよくない。 |
| 水に流す | 過去のことをなかったことにする | けんかのことは水に流して仲直りした。 |
| 肩を持つ | 味方をする | 先生はどちらか一方の肩を持たなかった。 |
| 足を引っ張る | じゃまをする | チームの足を引っ張らないよう練習した。 |
勉強やテストで使いやすい慣用句
国語の作文や記述問題では、勉強・努力・失敗・成功に関する慣用句も使いやすいです。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 力を入れる | 熱心に取り組む | 今学期は漢字の学習に力を入れたい。 |
| 身に付ける | 知識や技術を自分のものにする | 毎日の練習で読解力を身に付ける。 |
| 腕を磨く | 技術を高める | 作文の腕を磨くために日記を書いている。 |
| こつをつかむ | やり方を理解する | 音読のこつをつかむと、読むのが楽になる。 |
| 骨を折る | 苦労して努力する | 学級新聞を作るためにみんなで骨を折った。 |
| 実を結ぶ | 努力の結果が出る | 毎日の勉強が実を結び、成績が上がった。 |
| 歯が立たない | まったくかなわない | 難しい問題には歯が立たなかった。 |
| 一目置く | 相手を認める | 友達の発表力にはみんな一目置いている。 |
慣用句を覚えるコツ
意味だけでなく例文で覚える
慣用句は、意味だけを丸暗記しても使いこなすのが難しい言葉です。
たとえば「手を焼く」を「困る」とだけ覚えるより、次のように覚えると使いやすくなります。
| 覚え方 | 内容 |
|---|---|
| 意味だけ | 手を焼く=困る |
| 例文つき | いたずら好きな弟に手を焼く。 |
| 場面つき | 人や物事の対応に困っている場面で使う。 |
意味+例文+場面で覚えると、読解でも作文でも使いやすくなります。
体の部分ごとにまとめる
国語でよく出る慣用句は、体の部分ごとにまとめると覚えやすくなります。
| 体の部分 | よく出る慣用句 |
|---|---|
| 頭 | 頭を抱える、頭が下がる、頭に入れる |
| 顔 | 顔が広い、顔を出す |
| 目 | 目がない、目を丸くする、目に余る |
| 口 | 口が軽い、口が堅い、口をそろえる |
| 手 | 手を焼く、手を貸す、手を打つ |
| 足 | 足を運ぶ、足を引っ張る |
同じ言葉を使った慣用句でも、意味はまったく違います。
「口が軽い」と「口が堅い」のように、反対の意味でセットにすると覚えやすくなります。
似た意味の慣用句を比べる
似た意味の慣用句は、違いを意識して覚えましょう。
| 慣用句 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| 胸をなで下ろす | 安心する | 心配がなくなったとき |
| 気が楽になる | 負担が減る | 心の重さが軽くなったとき |
| 頭を抱える | 困って悩む | 解決策が見つからないとき |
| 手を焼く | 対応に困る | 人や物事の扱いに困るとき |
たとえば、テストの結果が心配だったけれど合格していた場合は、胸をなで下ろすが自然です。
一方、わがままな弟の世話に困っている場合は、手を焼くが合います。
国語テストで間違えやすい慣用句
文字どおりに考えない
慣用句の問題でよくある間違いは、言葉をそのままの意味で考えてしまうことです。
| 慣用句 | 間違いやすい考え方 | 正しい意味 |
|---|---|---|
| 首を長くする | 首を伸ばす | 楽しみに待つ |
| 油を売る | 油を販売する | むだ話などをして時間を過ごす |
| 顔が広い | 顔が大きい | 知り合いが多い |
| 歯が立たない | 歯が弱い | まったくかなわない |
| 目がない | 目が存在しない | とても好きである |
慣用句は、比喩的な意味で使われます。
知らない慣用句が出たときは、前後の文から「どんな場面か」を考えましょう。
意味を取り違えやすい慣用句
次の慣用句は、大人でも意味を取り違えやすい表現です。
| 慣用句 | 正しい意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 役不足 | 本人の能力に対して役目が軽すぎること | 彼ほどの実力者には、この仕事では役不足だ。 |
| 敷居が高い | 相手に不義理などをして行きにくいこと | 約束を破ってしまい、先生の家は敷居が高い。 |
| 煮詰まる | 議論や考えがまとまり、結論に近づくこと | 話し合いが煮詰まり、方針が決まった。 |
| 気が置けない | 遠慮しなくてよいこと | 気が置けない友人と楽しく話した。 |
| 失笑する | 思わず笑い出すこと | 予想外の発言に、会場から失笑がもれた。 |
特に「役不足」は、能力が足りないという意味ではありません。
「この役目では、その人の力を十分に生かせない」という意味です。
慣用句の確認問題
問題1
次の文の空欄に合う慣用句を選びましょう。
テストの結果が思ったよりよく、母は安心して____。
A. 頭を抱えた
B. 胸をなで下ろした
C. 油を売った
D. 歯が立たなかった
答え:B. 胸をなで下ろした
「胸をなで下ろす」は、心配していたことが解決して安心するという意味です。
問題2
次の慣用句の意味として正しいものを選びましょう。
顔が広い
A. 顔が大きい
B. 知り合いが多い
C. 表情が明るい
D. よく笑う
答え:B. 知り合いが多い
「顔が広い」は、人とのつながりが多いことを表します。
問題3
次の文で、使い方が正しいものを選びましょう。
A. 友達の発表に感動して、耳が痛かった。
B. 約束を破ったことを反省し、水に流した。
C. 難しい相手に勝てず、歯が立たなかった。
D. 甘いものが嫌いなので、ケーキに目がない。
答え:C. 難しい相手に勝てず、歯が立たなかった。
「歯が立たない」は、相手や問題が難しくてまったくかなわないという意味です。
慣用句を作文で使うときのポイント
使いすぎない
慣用句は便利ですが、使いすぎると文章が不自然になります。
作文では、ここぞという場面で一つか二つ使うくらいが自然です。
悪い例:
私は頭を抱え、胸をなで下ろし、目を丸くし、最後に鼻が高くなりました。
慣用句が多すぎて、何を伝えたいのか分かりにくくなっています。
よい例:
難しい問題に頭を抱えたが、最後まで考え続けた。
このように使うと、困っている様子が自然に伝わります。
場面に合う慣用句を選ぶ
慣用句は、意味が合っていても場面に合わないと不自然になります。
| 伝えたい内容 | 合う慣用句 | 例文 |
|---|---|---|
| 安心した | 胸をなで下ろす | 忘れ物が見つかり、胸をなで下ろした。 |
| とても驚いた | 目を丸くする | 突然の知らせに目を丸くした。 |
| 悩んだ | 頭を抱える | 解き方が分からず頭を抱えた。 |
| 努力が結果になった | 実を結ぶ | 練習の成果が実を結んだ。 |
| 人を助けた | 手を貸す | 困っている友達に手を貸した。 |
作文で使うときは、先に「どんな気持ちを表したいか」を考えると、慣用句を選びやすくなります。
まとめ
慣用句は、国語でよく出る大切な表現です。
ポイントは次の3つです。
- 慣用句は、言葉全体で特別な意味を表す
- 文字どおりに考えず、場面と意味をセットで覚える
- 例文で覚えると、読解・テスト・作文に使いやすい
特に、体に関する慣用句や気持ちを表す慣用句は、国語の問題でよく見かけます。
「意味だけ」を覚えるのではなく、例文を声に出して読み、実際に短い文を作ってみましょう。
そうすることで、慣用句をただ暗記するだけでなく、文章の中で自然に使えるようになります。
