「慣用句」は、言葉そのものを見ただけでは意味がわかりにくい表現です。
たとえば「油を売る」は、本当に油を売っているわけではなく、無駄話などをして時間をつぶすという意味で使います。
このように、慣用句には「言葉の見た目」と「実際の意味」のギャップがあり、そこに面白さがあります。
この記事では、意味を知ると印象に残りやすい面白い慣用句を、覚えやすい分類で紹介します。
面白い慣用句とは
面白い慣用句とは、文字どおりの意味と実際の意味に差があり、聞いたときに「なぜそう言うの?」と感じやすい表現のことです。
たとえば、次のような慣用句があります。
| 慣用句 | 文字どおりのイメージ | 実際の意味 |
|---|---|---|
| 油を売る | 油を売っている | 無駄話をして時間をつぶす |
| 猫の手も借りたい | 猫に手伝ってもらう | とても忙しい |
| へそを曲げる | へそが曲がる | 機嫌を悪くする |
| 目から鼻へ抜ける | 目から鼻へ通り抜ける | とても頭の回転が速い |
慣用句は、会話や作文で使うと表現が豊かになります。
ただし、意味を知らずに使うと誤解されることもあるため、意味・使う場面・例文をセットで覚えるのがおすすめです。
面白い慣用句一覧
ここでは、意味を知ると印象に残る慣用句を分類して紹介します。
体の部位が出てくる面白い慣用句
体の部位を使った慣用句は、日常会話でもよく使われます。
見た目のインパクトが強いため、意味を知ると覚えやすいのが特徴です。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 頭が上がらない | 相手に恩や弱みがあり、対等にふるまえない | いつも助けてもらっている先輩には、頭が上がらない。 |
| 顔から火が出る | とても恥ずかしい | みんなの前で間違えて、顔から火が出る思いだった。 |
| 目がない | とても好きでたまらない | 彼は甘いものに目がない。 |
| 目から鼻へ抜ける | 判断が早く、非常に賢い | 彼女は目から鼻へ抜けるような人で、仕事が早い。 |
| 鼻が高い | 誇らしい気持ちになる | 子どもが表彰されて、親として鼻が高い。 |
| 口が滑る | 言ってはいけないことをうっかり言う | 秘密だったのに、つい口が滑ってしまった。 |
| 耳が痛い | 欠点を指摘されてつらい | 先生の注意は耳が痛いが、その通りだ。 |
| 腰が重い | なかなか行動しない | 彼は腰が重く、始めるまでに時間がかかる。 |
| へそを曲げる | 機嫌を悪くする | 冗談のつもりだったが、弟はへそを曲げてしまった。 |
| 足が棒になる | 長く歩いて、とても疲れる | 一日中歩き回って、足が棒になった。 |
動物が出てくる面白い慣用句
動物が出てくる慣用句は、場面を想像しやすく、印象に残りやすい表現です。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 猫の手も借りたい | とても忙しく、人手が足りない | 年末の店は、猫の手も借りたいほど忙しい。 |
| 犬猿の仲 | とても仲が悪い | あの二人は昔から犬猿の仲だ。 |
| 狐につままれる | 何が起きたかわからず、ぼんやりする | 突然の知らせに、狐につままれたような気分だった。 |
| 馬が合う | 気が合う | 初対面なのに、彼とはすぐに馬が合った。 |
| 鶴の一声 | 強い立場の人の一言で物事が決まる | 社長の鶴の一声で、企画が採用された。 |
| 雀の涙 | ごくわずかな量 | 今月の小遣いは雀の涙ほどしか残っていない。 |
| 猫をかぶる | 本性を隠しておとなしく見せる | 初対面では猫をかぶっていたが、実はよく話す人だった。 |
| 虫がいい | 自分に都合がよすぎる | 手伝わなかったのに分け前だけ欲しいなんて、虫がいい話だ。 |
食べ物や道具が出てくる面白い慣用句
食べ物や道具が出てくる慣用句は、昔の暮らしや感覚が残っているものも多くあります。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 油を売る | 無駄話をして時間をつぶす | 仕事中に油を売っていないで、早く戻りなさい。 |
| 味をしめる | 一度うまくいったことをまた期待する | 一度ほめられて味をしめたのか、毎日練習している。 |
| さじを投げる | もう無理だとあきらめる | 何度説明しても伝わらず、先生もさじを投げた。 |
| 棚に上げる | 自分に都合の悪いことは無視する | 自分の失敗を棚に上げて、人を責めるのはよくない。 |
| 釘を刺す | 忘れないように強く注意する | 遅刻しないように、母に釘を刺された。 |
| 水に流す | 過去のことをなかったことにする | けんかのことは水に流して、仲直りしよう。 |
| 泥をかぶる | 他人の責任や不利益を引き受ける | 部下を守るために、上司が泥をかぶった。 |
| 幕を引く | 物事を終わらせる | 長く続いた問題に、ようやく幕を引くことができた。 |
意味を知ると意外な面白い慣用句
見た目だけでは意味を想像しにくい慣用句は、覚えると会話や文章で使いやすくなります。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 図に乗る | 調子に乗ってつけあがる | 少しほめられただけで図に乗ってはいけない。 |
| 骨を折る | 苦労して努力する | 先生は私たちのために骨を折ってくれた。 |
| 腹を割る | 本音を隠さず話す | 今日は腹を割って話し合おう。 |
| 気を揉む | 心配して落ち着かない | 試験の結果が出るまで、ずっと気を揉んでいた。 |
| 肩を持つ | 一方の味方をする | 兄ばかり肩を持たれると、妹は不満に思う。 |
| 手を焼く | 扱いに困る | いたずら好きな子どもに、先生は手を焼いている。 |
| 舌を巻く | 非常に感心する | 彼の見事な発表に、みんな舌を巻いた。 |
| 肝を冷やす | とても怖い思いをする | 車が急に飛び出してきて、肝を冷やした。 |
会話で使うと印象に残る面白い慣用句
日常会話で自然に使いやすい慣用句を覚えておくと、表現の幅が広がります。
| 慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 話に花が咲く | 会話が盛り上がる | 久しぶりの友人と会い、話に花が咲いた。 |
| 気が置けない | 遠慮せずに付き合える | 彼は気が置けない友人だ。 |
| 腕が鳴る | 実力を発揮したくてわくわくする | 得意な料理を任されて、腕が鳴る。 |
| 胸が躍る | 期待でわくわくする | 旅行の前日は胸が躍って眠れなかった。 |
| 鼻につく | 態度などが不快に感じられる | 自慢話ばかりで、少し鼻につく。 |
| 板につく | 役割や仕事が自然に似合う | 新人だった彼も、司会ぶりが板についてきた。 |
| 気を配る | 周囲に注意して配慮する | 彼女はいつも周りに気を配っている。 |
| 息をのむ | 驚きや感動で一瞬黙る | 美しい景色に、思わず息をのんだ。 |
面白い慣用句を覚えやすくするコツ
慣用句は丸暗記だけで覚えようとすると、似た表現と混ざりやすくなります。
覚えるときは、次の3つを意識しましょう。
文字どおりの意味と本当の意味を比べる
まずは、言葉から浮かぶイメージを考えます。
たとえば「猫の手も借りたい」は、猫に手伝ってもらう場面を想像すると少し変です。
しかし、その「変な感じ」があるからこそ、それほど人手が足りないほど忙しいという意味が印象に残ります。
例文とセットで覚える
慣用句は、意味だけを覚えても使い方がわからないことがあります。
次のように、短い例文と一緒に覚えると実際の会話で使いやすくなります。
| 慣用句 | 覚え方の例 |
|---|---|
| 油を売る | 仕事中に油を売る |
| 猫の手も借りたい | 年末は猫の手も借りたい |
| へそを曲げる | 注意されてへそを曲げる |
| 口が滑る | 秘密なのに口が滑る |
使う場面で分類する
慣用句は「体」「動物」「感情」「仕事」「人間関係」などに分けると覚えやすくなります。
たとえば、会話で使いやすいものなら次のように整理できます。
| 場面 | 使いやすい慣用句 |
|---|---|
| 忙しいとき | 猫の手も借りたい、手が回らない |
| 恥ずかしいとき | 顔から火が出る、穴があったら入りたい |
| 驚いたとき | 腰を抜かす、息をのむ |
| 仲がよいとき | 馬が合う、気が置けない |
| 仲が悪いとき | 犬猿の仲、そりが合わない |
面白い慣用句を使うときの注意点
慣用句は便利ですが、使い方を間違えると意味が伝わりにくくなります。
特に、次の点に注意しましょう。
文字どおりに受け取られない場面で使う
慣用句は、相手が意味を知っていることを前提に使う表現です。
小さな子どもや日本語を学び始めた人には、文字どおりに受け取られることもあります。
たとえば「油を売っていた」と言うと、本当に油を売っていたと勘違いされるかもしれません。
相手に伝わるか不安なときは、簡単な言葉で言い換えましょう。
| 慣用句 | わかりやすい言い換え |
|---|---|
| 油を売る | 無駄話をする |
| へそを曲げる | 機嫌を悪くする |
| さじを投げる | あきらめる |
| 気を揉む | 心配する |
| 肝を冷やす | とても怖い思いをする |
目上の人に使うときは表現を選ぶ
慣用句の中には、相手を悪く言うニュアンスを含むものがあります。
たとえば「図に乗る」「猫をかぶる」「鼻につく」などは、相手に直接言うと失礼に聞こえることがあります。
会話で使う場合は、相手や場面に合わせて表現を選びましょう。
| 注意が必要な慣用句 | 理由 |
|---|---|
| 図に乗る | 相手を責める印象がある |
| 猫をかぶる | 本性を隠しているという否定的な意味がある |
| 鼻につく | 相手の態度を不快だと言う表現 |
| 虫がいい | 自分勝手だと批判する表現 |
似た意味の慣用句を混同しない
慣用句には、意味が似ていても使い方が少し違うものがあります。
| 慣用句 | 意味 | 違い |
|---|---|---|
| 腰が重い | なかなか行動しない | 行動を始めるのが遅い |
| 足が重い | 行きたくない気持ちがある | 気分が乗らない |
| 口が重い | あまり話さない | 沈黙・無口に使う |
| 口が滑る | うっかり言う | 失言に使う |
| 耳が痛い | 指摘がつらい | 自分に心当たりがある |
| 耳を疑う | 聞いたことが信じられない | 驚きに使う |
面白い慣用句クイズ
最後に、意味を確認できるクイズを用意しました。
答えを考えながら読むと、慣用句が記憶に残りやすくなります。
第1問
「油を売る」の意味はどれでしょう。
- 商売を始める
- 無駄話などをして時間をつぶす
- 失敗して落ち込む
答え:2
「油を売る」は、仕事や用事の途中で無駄話をして時間を使うという意味です。
第2問
「猫の手も借りたい」は、どんな状態を表すでしょう。
- とても忙しい
- とても眠い
- とても仲がよい
答え:1
猫の手でも借りたいほど、人手が足りない様子を表します。
第3問
「へそを曲げる」の意味はどれでしょう。
- お腹が痛くなる
- 機嫌を悪くする
- 走るのが速くなる
答え:2
「へそを曲げる」は、不満を感じて機嫌を悪くするという意味です。
第4問
「舌を巻く」は、どんな気持ちを表すでしょう。
- とても感心する
- とても怒る
- とても眠くなる
答え:1
「舌を巻く」は、相手の能力や技術に驚き、感心する様子を表します。
第5問
「狐につままれる」は、どんな状態でしょう。
- とても楽しい
- 状況が理解できず、ぼんやりする
- 急に忙しくなる
答え:2
思いがけないことが起こり、何が何だかわからない状態を表します。
面白い慣用句は意味と例文で覚えると忘れにくい
面白い慣用句は、言葉の見た目と実際の意味にギャップがあります。
そのため、意味を知ると「なるほど」と印象に残りやすく、会話や作文でも使いやすくなります。
特に覚えておきたいポイントは、次の3つです。
- 文字どおりの意味だけで判断しない
- 意味と例文をセットで覚える
- 相手や場面に合わせて使う
慣用句を知っていると、気持ちや状況を短い言葉でわかりやすく表せます。
まずは「猫の手も借りたい」「油を売る」「へそを曲げる」「顔から火が出る」など、イメージしやすい表現から覚えていきましょう。
