手紙の最後で迷いやすいのが、締め方です。
本文を書き終えたあとに、
「最後は何と書けばいい?」
「敬具の前にはどんな言葉を入れる?」
「目上の人に失礼にならない結びは?」
と悩む人は少なくありません。
手紙の締め方は、難しく考えすぎなくても大丈夫です。基本は、相手を気遣う言葉・今後につなげる言葉・結語を自然につなげることです。
この記事では、手紙の最後に添える結びの言葉を、相手別・場面別・季節別に使いやすい例文つきで紹介します。
手紙の締め方は「結びの言葉」と「結語」で整える
手紙の最後は、主に次の2つで構成されます。
| 種類 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| 結びの言葉 | 相手への気遣い、お願い、感謝などを伝える一文 | 末筆ながら、皆様のご健康をお祈り申し上げます。 |
| 結語 | 手紙を締めくくる決まった言葉 | 敬具、草々、謹白 など |
たとえば、次のように使います。
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具
この場合、
「末筆ながら〜お祈り申し上げます」が結びの言葉、
「敬具」が結語です。
「結びの言葉」は最後に添える気遣いの一文
結びの言葉とは、手紙の本文を終えたあとに添える締めの一文です。
主な役割は、次のとおりです。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 相手を気遣う | 健康、体調、忙しさなどに配慮する |
| 今後につなげる | 変わらぬ付き合い、指導、連絡をお願いする |
| 用件をまとめる | お礼、お願い、お詫びなどを最後にもう一度伝える |
| 季節感を添える | 暑さ、寒さ、季節の変わり目に触れる |
手紙は、最後の一文で印象が大きく変わります。
本文が丁寧でも、最後が急にそっけないと、やや事務的に見えることがあります。反対に、最後に相手を思いやる言葉があると、温かみのある手紙になります。
「結語」は頭語と対になる締めの言葉
結語とは、手紙の最後に置く決まった言葉です。
代表的なものに、次のような言葉があります。
| 頭語 | 結語 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 拝啓 | 敬具 | 一般的な手紙 |
| 謹啓 | 謹白 | 改まった手紙 |
| 前略 | 草々 | 前文を省く手紙 |
| 拝復 | 敬具 | 返信の手紙 |
大切なのは、頭語と結語を正しく組み合わせることです。
たとえば、冒頭で「拝啓」と書いた場合、最後は「敬具」とするのが自然です。「前略」と書いた場合は「草々」で締めます。
迷ったときは「気遣い+お願い+結語」にする
手紙の締め方で迷ったときは、次の形にすると失敗しにくくなります。
相手を気遣う一文
今後の関係や返事をお願いする一文
結語
例文にすると、次のようになります。
季節の変わり目ですので、どうぞお体を大切になさってください。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
すべての手紙で長く書く必要はありません。
短くまとめたい場合は、次のように一文だけでも十分です。
末筆ながら、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
敬具
手紙の最後に書く基本の順番
手紙の締め方は、次の順番で考えると書きやすくなります。
1. 用件を短くまとめる
まず、本文で伝えた内容を軽くまとめます。
たとえば、お礼の手紙なら、
まずは書中にて、心より御礼申し上げます。
依頼の手紙なら、
お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討いただけますと幸いです。
というように、用件に合わせて最後の一文を整えます。
ここで大切なのは、本文と同じ内容を長く繰り返さないことです。
結びはあくまで締めの部分なので、詳しい説明は本文に書き、最後は簡潔にまとめましょう。
2. 相手を気遣う
次に、相手の健康や状況を気遣う言葉を添えます。
使いやすい例は、次のとおりです。
| 場面 | 例文 |
|---|---|
| 一般的な手紙 | どうぞお体を大切にお過ごしください。 |
| 丁寧な手紙 | 皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。 |
| 季節の変わり目 | 時節柄、くれぐれもご自愛ください。 |
| 暑い時期 | 暑さ厳しき折、どうぞご無理なさらずお過ごしください。 |
| 寒い時期 | 寒さが続きますので、どうぞお体にお気をつけください。 |
「ご自愛ください」は、相手の健康を気遣う便利な表現です。
ただし、「お体をご自愛ください」はやや重複した表現になるため、基本的には「ご自愛ください」だけで十分です。
3. 今後の関係や返事につなげる
手紙の内容によっては、今後の付き合いや返事をお願いする言葉を入れます。
例文は次のとおりです。
| 目的 | 例文 |
|---|---|
| 今後の付き合いを願う | 今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。 |
| 指導をお願いする | 今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。 |
| 返事をお願いする | お手すきの折にご返信いただけますと幸いです。 |
| 検討をお願いする | ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。 |
返事を求める場合は、強く迫る表現を避けるのがポイントです。
「必ずご返信ください」よりも、
「ご返信いただけますと幸いです」
「お手すきの折にご連絡いただけますと幸いです」
のほうが、柔らかく丁寧に伝わります。
4. 結語で閉じる
最後に、頭語に合う結語を置きます。
一般的な手紙なら、次の形が使いやすいです。
拝啓
本文
敬具
改まった手紙なら、
謹啓
本文
謹白
前文を省く場合は、
前略
本文
草々
という形にします。
そのまま使える結びの言葉一覧
ここからは、手紙の最後にそのまま使いやすい結びの言葉を紹介します。
年中使える結びの言葉
季節を問わず使えるため、迷ったときに便利です。
| 丁寧さ | 例文 |
|---|---|
| やわらかい | どうぞお体に気をつけてお過ごしください。 |
| 標準 | 末筆ながら、皆様のご健康をお祈りいたします。 |
| 丁寧 | 末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。 |
| 改まった表現 | 末筆ではございますが、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。 |
「末筆ながら」は、手紙の最後でよく使われる表現です。
意味は「最後になりましたが」に近く、相手への気遣いや祈りの言葉につなげると自然です。
健康を気遣う結びの言葉
相手の体調を気遣いたいときに使えます。
| 相手 | 例文 |
|---|---|
| 友人・知人 | どうぞ体調に気をつけて、元気にお過ごしください。 |
| 目上の人 | 時節柄、くれぐれもご自愛くださいませ。 |
| 家族・親戚 | 無理をせず、体を大切にしてください。 |
| ビジネス | 皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。 |
「ご健勝」は、相手が健康で元気に過ごすことを願う言葉です。個人にも団体にも使いやすい表現です。
今後の付き合いを願う結びの言葉
今後も関係を続けたい相手には、次のような表現が向いています。
| 場面 | 例文 |
|---|---|
| 一般的な手紙 | 今後ともよろしくお願いいたします。 |
| 丁寧な手紙 | 今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。 |
| 目上の人 | 今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。 |
| 取引先 | 引き続きお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。 |
親しい相手には「これからもよろしくお願いします」で十分です。
一方、目上の人や取引先には「今後とも」「変わらぬ」「お願い申し上げます」などを入れると、改まった印象になります。
返事や連絡をお願いする結びの言葉
返信を求める手紙では、相手に負担をかけすぎない表現にしましょう。
| 表現 | 使いやすい場面 |
|---|---|
| お返事をお待ちしております。 | 親しい相手、標準的な手紙 |
| お手すきの折にご返信いただけますと幸いです。 | 丁寧に返事をお願いしたいとき |
| ご都合のよい際にご連絡いただけますと幸いです。 | 日程調整や確認 |
| ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。 | 依頼や提案 |
急ぎの場合でも、手紙では強い言い方になりすぎないよう注意します。
たとえば、
至急ご返信ください。
よりも、
恐れ入りますが、〇月〇日までにご返信いただけますと幸いです。
のほうが丁寧です。
お礼の手紙に使う結びの言葉
お礼の手紙では、最後にもう一度感謝を伝えると気持ちが伝わりやすくなります。
| 場面 | 例文 |
|---|---|
| 一般的なお礼 | まずは書中にて、心より御礼申し上げます。 |
| 贈り物へのお礼 | 温かなお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。 |
| 目上の人へのお礼 | このたびのご厚情に、改めて深く感謝申し上げます。 |
| ビジネスのお礼 | 今後とも変わらぬご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます。 |
「まずは書中にて」は、直接会ってお礼を言う前に、取り急ぎ手紙で感謝を伝えるときに使えます。
お詫びの手紙に使う結びの言葉
お詫びの手紙では、言い訳がましくならないよう、最後は簡潔に締めます。
| 場面 | 例文 |
|---|---|
| 一般的なお詫び | このたびは誠に申し訳ございませんでした。 |
| 改まったお詫び | 改めまして、心よりお詫び申し上げます。 |
| 許しを願う | 何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。 |
| 書面で先に謝る | まずは書中にてお詫び申し上げます。 |
お詫びの手紙では、結びを華やかにしすぎる必要はありません。
謝罪の言葉を短く添え、今後の対応や再発防止に触れると、誠意が伝わりやすくなります。
季節別の結びの言葉と例文
手紙の締め方には、季節感を添える方法もあります。
特に、改まった手紙や挨拶状では、季節に合う結びを入れると自然です。
春に使える結びの言葉
春は、新生活・出会い・気温差を意識した表現が使いやすい季節です。
| 時期 | 例文 |
|---|---|
| 3月 | 季節の変わり目ですので、どうぞご自愛ください。 |
| 4月 | 新年度を迎え、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 |
| 5月 | さわやかな季節、どうぞ健やかにお過ごしください。 |
春の結びでは、「新年度」「新生活」「花」「若葉」などの言葉を使うと季節感が出ます。
夏に使える結びの言葉
夏は、暑さや体調への気遣いを入れると自然です。
| 時期 | 例文 |
|---|---|
| 6月 | 梅雨冷えの折、どうぞお体にお気をつけください。 |
| 7月 | 暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛くださいませ。 |
| 8月 | 残暑が続きますので、どうぞ無理なくお過ごしください。 |
夏の手紙では、「暑さ」「梅雨」「残暑」などに触れ、相手の体調を気遣う締め方がよく合います。
秋に使える結びの言葉
秋は、気候の変化や実りの季節を感じさせる表現が向いています。
| 時期 | 例文 |
|---|---|
| 9月 | 朝夕は涼しくなってまいりましたので、どうぞご自愛ください。 |
| 10月 | 秋も深まる季節、皆様のご健康をお祈り申し上げます。 |
| 11月 | 寒さに向かう折、どうぞお体を大切になさってください。 |
秋は過ごしやすい一方で、寒暖差もあります。そのため、体調を気遣う言葉と相性がよいです。
冬に使える結びの言葉
冬は、寒さ・年末年始・健康への配慮を入れると自然です。
| 時期 | 例文 |
|---|---|
| 12月 | 寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください。 |
| 1月 | 本年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。 |
| 2月 | 余寒なお厳しき折、どうぞお体にお気をつけください。 |
冬の手紙では、「寒さ厳しき折」「余寒」「年末」「新年」などの言葉が使いやすいです。
相手別の手紙の締め方
同じ結びの言葉でも、相手との関係によって印象が変わります。
ここでは、相手別に自然な締め方を紹介します。
目上の人・恩師への手紙
目上の人や恩師には、丁寧で落ち着いた表現を選びます。
例文は次のとおりです。
末筆ながら、先生のますますのご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
敬具今後ともご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具時節柄、くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
敬具
目上の人には、「元気でいてください」よりも、
「ご健康をお祈り申し上げます」
「ご自愛くださいますよう」
のほうが丁寧です。
親しい人への手紙
友人や親しい知人には、堅すぎない表現が向いています。
また近いうちにお会いできるのを楽しみにしています。
どうぞ元気でお過ごしください。季節の変わり目なので、体に気をつけてね。
また手紙を書きます。忙しい毎日だと思いますが、無理せず過ごしてください。
またゆっくり話せる日を楽しみにしています。
親しい相手には、「敬具」を使わないこともあります。
無理に格式ばった言葉を入れるよりも、相手との距離感に合う自然な表現を選びましょう。
ビジネス・取引先への手紙
ビジネスの手紙では、失礼のない丁寧な締め方を意識します。
末筆ながら、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
敬具今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具引き続きお力添えを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
会社宛ての場合は「ご健康」よりも、ご発展・ご繁栄・ご盛栄などの言葉が使いやすいです。
個人宛ての場合は「ご健勝」「ご活躍」が自然です。
先生・学校関係者への手紙
学校の先生や習い事の先生には、感謝と今後の指導をお願いする言葉が合います。
今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具末筆ながら、先生のご健康とますますのご活躍をお祈り申し上げます。
敬具このたびは温かいご指導をいただき、誠にありがとうございました。
敬具
保護者から先生へ送る手紙では、丁寧すぎて不自然にならない程度に整えるとよいでしょう。
親戚・近所の人への手紙
親戚や近所の人には、丁寧さと親しみのバランスが大切です。
皆様にもどうぞよろしくお伝えください。
季節の変わり目ですので、どうぞお体を大切にお過ごしください。またお会いできる日を楽しみにしております。
どうぞお元気でお過ごしください。こちらへお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
皆様のご健康をお祈りしております。
親戚宛てでは、あまり事務的にしすぎず、近況や再会を楽しみにする言葉を添えると温かい印象になります。
用件別の結びの例文
手紙の締め方は、用件に合わせて変えると自然です。
お礼の手紙の締め方
お礼の手紙では、最後に感謝をもう一度伝えます。
このたびは温かいお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。
末筆ながら、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
敬具まずは書中にて、心より御礼申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
敬具
ポイントは、感謝を重ねすぎてくどくしないことです。
本文で詳しくお礼を述べた場合、結びは短めに整えましょう。
依頼の手紙の締め方
依頼の手紙では、相手への配慮を忘れずに締めます。
お忙しいところ恐縮ではございますが、ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具ご負担をおかけいたしますが、お力添えを賜れますと幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
敬具
依頼文の最後は、「お願いします」だけで終えるよりも、
「お忙しいところ恐縮ですが」
「ご検討いただけますと幸いです」
を添えると丁寧です。
お祝いの手紙の締め方
お祝いの手紙では、相手の幸せや活躍を願う言葉で締めます。
これからの日々が、ますます実り多いものとなりますようお祈りしております。
心よりお祝い申し上げます。皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具新たな門出がすばらしいものとなりますよう、心より願っております。
お祝いでは、明るく前向きな表現を選びましょう。
ただし、目上の人や改まった相手には、くだけすぎた言葉は避けると安心です。
お見舞いの手紙の締め方
お見舞いの手紙では、相手の回復を願う言葉を中心にします。
一日も早いご回復を、心よりお祈り申し上げます。
どうぞ無理をなさらず、ゆっくりお休みください。まずは書中にてお見舞い申し上げます。
くれぐれもご無理なさらないようお過ごしください。
お見舞いでは、励ましすぎる表現に注意します。
「頑張ってください」よりも、
「どうぞご無理なさらず」
「ゆっくりお休みください」
のほうが、相手に寄り添った印象になります。
お詫びの手紙の締め方
お詫びの手紙は、誠意が伝わるように簡潔に締めます。
このたびは多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
今後このようなことのないよう、十分に注意してまいります。
敬具改めまして、心よりお詫び申し上げます。
何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
敬具
お詫びの結びでは、明るすぎる季節の挨拶や、関係のない近況報告は控えます。
謝罪・再発防止・今後の対応に絞ると、誠実な印象になります。
近況報告の手紙の締め方
近況報告の手紙では、再会や相手の健康を願う言葉で締めると自然です。
またお会いできる日を楽しみにしております。
どうぞお元気でお過ごしください。こちらへお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
皆様にもどうぞよろしくお伝えください。季節の変わり目ですので、体調にはお気をつけください。
また近況をお知らせします。
親しい相手なら、少しくだけた言葉でも問題ありません。
ただし、久しぶりに手紙を出す相手には、丁寧めに整えると安心です。
頭語と結語の正しい組み合わせ
手紙では、冒頭の「頭語」と最後の「結語」を合わせるのが基本です。
よく使う組み合わせ一覧
| 手紙の種類 | 頭語 | 結語 |
|---|---|---|
| 一般的な手紙 | 拝啓 | 敬具 |
| 丁寧な手紙 | 謹啓 | 謹白 |
| 改まった手紙 | 謹啓 | 敬白 |
| 前文を省く手紙 | 前略 | 草々 |
| 返信の手紙 | 拝復 | 敬具 |
| 急ぎの手紙 | 急啓 | 草々 |
迷ったときは、拝啓・敬具を選ぶと使いやすいです。
改まった相手には、謹啓・謹白にすると、より丁寧な印象になります。
「前略」を使ったときの注意
「前略」は、時候の挨拶などの前文を省くときに使う頭語です。
そのため、「前略」と書いたあとに、長い季節の挨拶を入れると不自然になります。
よい例は次のとおりです。
前略
取り急ぎ、書中にてご連絡申し上げます。
草々
反対に、次のような形は避けたほうがよいでしょう。
前略
春暖の候、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
敬具
「前略」を使うなら、結語は「草々」にし、前文は省くのが基本です。
「かしこ」は使う場面を選ぶ
「かしこ」は、やわらかい印象の結語として使われることがあります。
ただし、ビジネス文書や改まった手紙では、基本的に「敬具」「謹白」などを選ぶほうが無難です。
親しい相手への私的な手紙であれば、文面の雰囲気に合わせて使ってもよいでしょう。
手紙の締め方で避けたいNG例
最後に、手紙の締め方で注意したいポイントを紹介します。
結びが長すぎる
結びの言葉は、長く書けば丁寧になるわけではありません。
たとえば、次のように願いやお願いを重ねすぎると、読みにくくなります。
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸とご発展とご繁栄をお祈りし、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻とご支援ご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
少し整理すると、読みやすくなります。
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
結びは、1〜2文程度を目安にするとすっきりします。
頭語と結語が合っていない
次のような組み合わせは不自然です。
| 避けたい組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| 拝啓 + 草々 | 「草々」は主に前略と組み合わせる |
| 前略 + 敬具 | 「前略」には「草々」が自然 |
| 謹啓 + 草々 | 丁寧さの段階が合いにくい |
迷ったら、次の組み合わせを使いましょう。
拝啓 → 敬具
謹啓 → 謹白
前略 → 草々
相手との距離感に合っていない
親しい友人に、
末筆ながら、貴殿のますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます。
と書くと、やや堅すぎる印象になります。
反対に、取引先に、
またね。元気で!
と書くと、失礼に見える可能性があります。
相手に合わせて、言葉の硬さを調整しましょう。
返事を強く求めすぎる
返事が必要な場合でも、最後に強い表現を置くと圧迫感が出ます。
避けたい例は次のとおりです。
必ずご返信ください。
早急に返事をお願いします。
丁寧にするなら、次のように書き換えます。
お手すきの折にご返信いただけますと幸いです。
恐れ入りますが、〇月〇日までにご連絡いただけますようお願い申し上げます。
期限がある場合は、理由や日付を明確にすると、相手も対応しやすくなります。
季節感がずれている
季節の結びを入れる場合は、時期に合っているか確認しましょう。
たとえば、5月の手紙に「厳寒の折」と書くと不自然です。
季節の表現に迷ったら、年中使える次の表現を選ぶと安心です。
時節柄、くれぐれもご自愛ください。
末筆ながら、皆様のご健康をお祈り申し上げます。
迷ったときの結びテンプレート
ここでは、手紙の締め方に迷ったときに使えるテンプレートを紹介します。
丁寧な手紙のテンプレート
末筆ながら、〇〇様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具
相手が個人なら「ご健康とご多幸」、会社なら「ご発展」を使うと自然です。
やわらかい手紙のテンプレート
季節の変わり目ですので、どうぞお体を大切にお過ごしください。
またお会いできる日を楽しみにしております。
友人、親戚、知人に使いやすい形です。
ビジネスの手紙のテンプレート
末筆ながら、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
取引先や会社宛ての文書で使いやすい結びです。
お礼の手紙のテンプレート
このたびは温かいお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。
まずは書中にて、心より御礼申し上げます。
敬具
お礼を伝える手紙では、最後に感謝を短く添えるとまとまりやすくなります。
お詫びの手紙のテンプレート
このたびはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
今後このようなことのないよう十分注意してまいります。
敬具
お詫びでは、結びを飾りすぎず、反省と今後の対応を簡潔に伝えます。
手紙の締め方に関するよくある質問
「敬具」の前には何を書く?
「敬具」の前には、相手を気遣う言葉や、今後の付き合いを願う言葉を書きます。
例文は次のとおりです。
末筆ながら、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
敬具今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
「敬具」だけで終えても間違いではありませんが、結びの言葉を一文添えると、より丁寧な印象になります。
「ではまた」は手紙の締めに使える?
親しい相手への手紙なら使えます。
ただし、目上の人や改まった手紙では避けたほうがよいでしょう。
親しい相手なら、
ではまた、近いうちに。
体に気をつけてね。
のように自然に使えます。
丁寧にするなら、
またお会いできる日を楽しみにしております。
と書くとよいでしょう。
メールでも手紙の結びの言葉は使える?
使えます。
ただし、メールでは手紙よりも少し簡潔な表現が好まれます。
たとえば、ビジネスメールでは次のような結びが使いやすいです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
引き続きよろしくお願いいたします。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
一方で、「拝啓」「敬具」は、通常のビジネスメールではやや堅く見えることがあります。挨拶状や正式なお礼状に近いメールで使うと自然です。
手紙の最後に日付や名前は必要?
正式な手紙では、結語のあとに日付、署名、宛名を書くのが基本です。
一般的な順番は次のとおりです。
結びの言葉
結語
日付
署名
宛名
ただし、親しい相手への手紙やメッセージカードでは、形式にこだわりすぎなくても問題ありません。
相手や目的に合わせて整えましょう。
まとめ
手紙の締め方は、次の流れで考えると書きやすくなります。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 本文の用件を短くまとめる |
| 2 | 相手を気遣う言葉を添える |
| 3 | 今後の付き合いや返事につなげる |
| 4 | 頭語に合う結語で締める |
迷ったときは、次の形を使えば自然にまとまります。
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具
手紙の最後は、長く立派に書くよりも、相手に合う言葉を丁寧に選ぶことが大切です。
相手との関係、手紙の目的、季節に合わせて結びの言葉を整えれば、最後まで印象のよい手紙になります。
