会社や店舗を移転するときは、取引先・お客様・関係者に向けて、住所変更を知らせる挨拶状を送ります。
移転の挨拶状は、ただ新住所を伝えるだけの文書ではありません。
日頃の感謝を伝え、移転後も変わらぬ関係をお願いするための大切な案内です。
この記事では、会社・事務所・店舗の移転時に使える挨拶状の書き方と例文を、初心者にもわかりやすく紹介します。
移転の挨拶状とは
移転の挨拶状とは、会社・事務所・店舗などの住所が変わることを、取引先やお客様に知らせる文書です。
主な目的は、次の3つです。
- 新しい住所を正確に伝える
- 移転日や営業開始日を知らせる
- 日頃の感謝と今後のお願いを伝える
ビジネスでは、相手が請求書・納品書・郵送物・来店先などを間違えないように、早めに知らせることが大切です。
特に会社や店舗の場合、住所変更の連絡が遅れると、郵便物の不着、来店時の混乱、取引先との連絡ミスにつながることがあります。
移転の挨拶状を送る相手とタイミング
送る相手は取引先・お客様・関係者が中心
移転の挨拶状は、日頃から関係のある相手に送ります。
| 送る相手 | 具体例 | 伝える目的 |
|---|---|---|
| 取引先 | 仕入先、販売先、協力会社 | 請求書・納品書・訪問先の間違いを防ぐ |
| お客様 | 店舗利用者、会員、常連客 | 来店先や営業再開日を知らせる |
| 関係者 | 金融機関、士業、業務委託先 | 連絡先や書類送付先を更新してもらう |
| 近隣・地域 | 近隣店舗、地域団体 | 移転後の営業や関係継続を伝える |
すべての相手に同じ文面を送る必要はありません。
取引先には丁寧なビジネス文、お客様にはわかりやすく親しみのある文面にすると自然です。
送る時期は移転前が基本
移転の挨拶状は、移転の1か月前から2週間前までを目安に送ると安心です。
遅くとも、相手が郵送物や来店予定を変更できる時期には届くようにしましょう。
移転後に送る場合は、すでに新住所で営業を開始していることを伝えます。
ただし、移転後の連絡になったときは、ひと言お詫びを添えると丁寧です。
例:
「ご案内が遅くなりましたこと、深くお詫び申し上げます。」
移転の挨拶状に書く内容
必ず入れる項目
移転の挨拶状には、次の情報を入れます。
| 項目 | 書く内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 件名 | 移転のご案内、事務所移転のお知らせなど | 何の案内かすぐわかる表現にする |
| 挨拶 | 時候の挨拶、日頃のお礼 | 取引先向けは丁寧に書く |
| 移転の知らせ | いつ、どこへ移転するか | 移転日と営業開始日を分けて書くと親切 |
| 新住所 | 郵便番号、住所、建物名、階数 | 略さず正確に書く |
| 連絡先 | 電話番号、FAX、メール | 変更の有無も明記する |
| 今後のお願い | 変わらぬ支援・来店のお願い | 押しつけがましくならない表現にする |
| 差出人 | 会社名、店舗名、代表者名 | 部署名や担当者名を入れてもよい |
特に大切なのは、新住所・営業開始日・電話番号の変更有無です。
「電話番号は変更ございません」と書いておくと、相手が迷いにくくなります。
会社と店舗で内容を少し変える
会社の移転では、取引先が業務上困らないように、事務所の所在地・代表電話・業務開始日を明確にします。
店舗の移転では、お客様が来店しやすいように、新店舗のオープン日、旧店舗の最終営業日、アクセス方法を入れると親切です。
| 種類 | 重視する内容 |
|---|---|
| 会社・事務所の移転 | 新住所、業務開始日、電話番号、取引継続のお願い |
| 店舗の移転 | 新店舗住所、オープン日、旧店舗の最終営業日、来店へのお礼 |
| 本社移転 | 本店所在地、代表電話、部署・支店への影響 |
| 仮店舗への移転 | 仮店舗での営業期間、元の店舗への再移転予定 |
移転の挨拶状の基本構成
1. 件名で移転の案内だと伝える
件名は、わかりやすさを優先します。
使いやすい件名は次のとおりです。
- 移転のご案内
- 事務所移転のお知らせ
- 本社移転のご案内
- 店舗移転のお知らせ
- 新店舗移転オープンのご案内
迷ったときは、「移転のご案内」がもっとも使いやすい表現です。
2. 日頃のお礼を書く
本文のはじめには、日頃の感謝を入れます。
取引先向けであれば、次のような表現が自然です。
「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」
店舗のお客様向けであれば、少しやわらかくしても問題ありません。
「いつも当店をご利用いただき、誠にありがとうございます。」
3. 移転することを簡潔に伝える
移転の理由を長く書く必要はありません。
相手が知りたいのは、まず「いつ、どこへ移るのか」です。
例:
「このたび弊社は、下記住所へ移転することとなりました。」
店舗の場合は、旧店舗の最終営業日も入れるとわかりやすくなります。
例:
「現在の店舗での営業は〇月〇日までとし、〇月〇日より新店舗にて営業を開始いたします。」
4. 新住所と連絡先を見やすく書く
住所や電話番号は、本文中に埋め込まず、独立させて書くと見やすくなります。
例:
新住所:〒000-0000
東京都〇〇区〇〇町0-0-0 〇〇ビル3階
電話番号:03-0000-0000
FAX番号:03-0000-0001
業務開始日:令和〇年〇月〇日
住所の表記は、郵便番号・都道府県・市区町村・番地・建物名・階数まで確認しましょう。
5. 今後のお願いで締める
最後は、移転後も変わらぬ付き合いをお願いする文で締めます。
例:
「今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。」
店舗の場合は、次のような表現も使えます。
「新店舗におきましても、皆様のご来店を心よりお待ちしております。」
そのまま使える移転の挨拶状の例文
会社・事務所移転の挨拶状の例文
移転のご案内
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび弊社は業務環境の充実を図るため、下記住所へ移転することとなりました。
新事務所での業務開始日は、令和〇年〇月〇日でございます。
これを機に、社員一同さらに業務に励み、皆様のご期待にお応えできるよう努めてまいります。
今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
まずは略儀ながら、書中にて移転のご案内を申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
記
新住所:〒000-0000
東京都〇〇区〇〇町0-0-0 〇〇ビル3階
電話番号:03-0000-0000
FAX番号:03-0000-0001
業務開始日:令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇〇〇
本社移転の挨拶状の例文
本社移転のご案内
拝啓 〇〇の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素より格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
このたび弊社は、下記のとおり本社を移転する運びとなりましたので、ご案内申し上げます。
新本社では、より一層円滑な業務体制を整え、サービスの向上に努めてまいります。
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りいただけますと幸いです。
今後とも倍旧のご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
記
新本社所在地:〒000-0000
東京都〇〇区〇〇町0-0-0 〇〇ビル
代表電話:03-0000-0000
業務開始日:令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇〇〇
店舗移転のお知らせの例文
店舗移転のお知らせ
いつも〇〇店をご利用いただき、誠にありがとうございます。
このたび当店は、令和〇年〇月〇日より下記住所へ移転することとなりました。
現在の店舗での営業は、令和〇年〇月〇日までとなります。
新店舗では、より快適にお過ごしいただける空間づくりを心がけ、皆様をお迎えしてまいります。
今後とも変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
記
新店舗住所:〒000-0000
東京都〇〇区〇〇町0-0-0
新店舗オープン日:令和〇年〇月〇日
電話番号:03-0000-0000
営業時間:10:00〜19:00
定休日:毎週火曜日
〇〇店
店主 〇〇〇〇
電話番号が変わらない場合の例文
移転のご案内
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
このたび弊社は、令和〇年〇月〇日より下記住所へ移転することとなりました。
なお、電話番号およびFAX番号に変更はございません。
移転後も従来どおりご連絡いただけます。
今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
敬具
記
新住所:〒000-0000
東京都〇〇区〇〇町0-0-0
電話番号:03-0000-0000
FAX番号:03-0000-0001
業務開始日:令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
移転後に送る挨拶状の例文
移転完了のご案内
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
ご案内が遅くなりましたが、弊社は令和〇年〇月〇日より、下記住所にて業務を開始いたしました。
移転により何かとご不便をおかけすることもあるかと存じますが、今後も一層のサービス向上に努めてまいります。
引き続きご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
新住所:〒000-0000
東京都〇〇区〇〇町0-0-0
電話番号:03-0000-0000
業務開始日:令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
メール・ホームページ・SNSで移転を知らせる場合
メールで送る場合の例文
件名:事務所移転のご案内
株式会社〇〇
〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
このたび弊社は、令和〇年〇月〇日より下記住所へ移転することとなりました。
新住所:〒000-0000
東京都〇〇区〇〇町0-0-0 〇〇ビル3階
電話番号:03-0000-0000
業務開始日:令和〇年〇月〇日
電話番号に変更はございません。
移転後もこれまでと変わらずご連絡いただけます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
株式会社〇〇
〇〇〇〇
メールでは、件名だけで内容がわかるようにしましょう。
「お知らせ」だけでは見落とされる可能性があるため、「事務所移転」「住所変更」などの言葉を入れるのがおすすめです。
ホームページに掲載する場合の例文
事務所移転のお知らせ
平素より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
このたび弊社は、下記住所へ事務所を移転することとなりました。
新事務所での業務開始日は、令和〇年〇月〇日です。
新住所:〒000-0000
東京都〇〇区〇〇町0-0-0 〇〇ビル3階
電話番号:03-0000-0000
業務開始日:令和〇年〇月〇日
今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
SNSで知らせる場合の例文
【店舗移転のお知らせ】
いつも〇〇店をご利用いただき、ありがとうございます。
このたび当店は、令和〇年〇月〇日より新店舗へ移転いたします。
現在の店舗での営業は、令和〇年〇月〇日までです。
新住所:東京都〇〇区〇〇町0-0-0
新店舗オープン日:令和〇年〇月〇日
新しい店舗でも、皆様のご来店を心よりお待ちしております。
SNSでは、長い文章よりも、必要な情報を短く整理することが大切です。
地図リンク、最寄り駅、オープン日をあわせて載せると親切です。
失礼に見えない書き方の注意点
移転理由を詳しく書きすぎない
移転理由は、簡潔で十分です。
たとえば、次のような表現が使いやすいです。
- 業務拡充のため
- サービス向上を図るため
- 店舗環境を整えるため
- より良い体制で営業するため
「家賃の都合」「契約上の事情」など、相手に伝える必要のない内部事情は書かないほうが無難です。
新住所は省略せず正確に書く
住所は、少しの誤りでも相手に迷惑をかける可能性があります。
確認したい項目は次のとおりです。
- 郵便番号
- 都道府県から始まる住所
- 番地
- 建物名
- 階数・部屋番号
- 電話番号
- FAX番号
- 営業開始日
特にビル名や階数は抜けやすいので、送付前に必ず確認しましょう。
旧住所と新住所を混同させない
必要に応じて、旧住所と新住所を分けて書くと親切です。
例:
旧住所:東京都〇〇区〇〇町0-0-0
新住所:東京都〇〇区△△町0-0-0
店舗の場合は、旧店舗の最終営業日と新店舗のオープン日も分けて書きます。
例:
旧店舗最終営業日:令和〇年〇月〇日
新店舗営業開始日:令和〇年〇月〇日
「移転しました」だけで終わらせない
移転の挨拶状では、住所変更だけでなく、今後の関係継続をお願いする言葉を入れましょう。
使いやすい締めの表現は次のとおりです。
- 今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
- 引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
- これを機に、より一層サービス向上に努めてまいります。
- 新店舗におきましても、皆様のご来店を心よりお待ちしております。
移転の挨拶状を送る前のチェックリスト
送付前に、次の項目を確認しましょう。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 住所 | 郵便番号、番地、建物名、階数に誤りがないか |
| 日付 | 移転日、営業開始日、旧店舗最終営業日が正しいか |
| 連絡先 | 電話番号・FAX番号・メールアドレスの変更有無を書いたか |
| 相手 | 取引先向け、お客様向けで文面を変えているか |
| 表現 | 感謝と今後のお願いが入っているか |
| 送付時期 | 移転前に届く予定になっているか |
| 他媒体 | メール、ホームページ、SNSでも案内するか |
移転の案内は、はがきや封書だけでなく、メール・ホームページ・SNSを組み合わせると伝わりやすくなります。
特に店舗の場合は、来店するお客様が迷わないように、地図や最寄り駅もあわせて掲載するとよいでしょう。
移転後に確認したい住所変更の手続き
移転の挨拶状は、あくまで相手に知らせるための案内です。
会社や店舗の住所が変わる場合は、必要に応じて公的手続きや登録情報の変更も確認しましょう。
会社は登記や税務関係の確認が必要
会社の本店所在地を変更する場合、登記の手続きが必要になることがあります。
また、法人の納税地や本店所在地などに異動があった場合は、税務署への届出が必要になるケースがあります。
不安がある場合は、法務局・税務署・税理士・司法書士などに確認すると安心です。
郵便物の転送手続きも忘れない
旧住所に郵便物が届く可能性がある場合は、郵便局の転居・転送サービスも確認しておきましょう。
会社や団体の転居でも、所定の方法で手続きできる場合があります。
転送には登録まで日数がかかることがあるため、早めに準備することが大切です。
Web上の住所も更新する
挨拶状を送っても、Web上の住所が古いままだと混乱を招きます。
次の情報も更新しておきましょう。
- 公式ホームページ
- Googleビジネスプロフィール
- SNSのプロフィール
- ECサイトや予約サイト
- 名刺・パンフレット
- 請求書・見積書のテンプレート
- メール署名
- 会社案内・店舗案内
特に店舗は、地図アプリや予約サイトの住所が古いままだと、来店機会を逃す原因になります。
よくある質問
移転の挨拶状はメールだけでもよいですか?
相手との関係性によります。
日常的にメールでやり取りしている相手なら、メールでも問題ない場合があります。
ただし、重要な取引先や長年お世話になっている相手には、はがきや封書で送るとより丁寧です。
おすすめは、挨拶状+メール+ホームページ掲載を組み合わせる方法です。
移転祝いを催促するように見えませんか?
通常の移転挨拶状であれば、移転祝いを催促する印象にはなりません。
ただし、過度に華やかな表現や「ぜひお越しください」を強く書きすぎると、相手に気を遣わせることがあります。
控えめに伝えたい場合は、次のような文が使えます。
「お近くにお越しの際は、お立ち寄りいただけますと幸いです。」
店舗移転では旧店舗の閉店日も書くべきですか?
書いたほうが親切です。
お客様は「いつまで今の店舗に行けるのか」「新店舗はいつから行けるのか」を知りたいからです。
次のように、日付を分けて書くとわかりやすくなります。
旧店舗最終営業日:令和〇年〇月〇日
新店舗オープン日:令和〇年〇月〇日
移転理由は必ず書く必要がありますか?
必ずしも書く必要はありません。
書く場合も、簡潔で前向きな表現にします。
例:
「業務拡充のため」
「より良いサービス提供のため」
「お客様に快適にご利用いただける環境を整えるため」
詳しい事情を書くよりも、移転後の姿勢や感謝を伝えるほうが好印象です。
移転後に送る場合はどう書けばよいですか?
移転後に送る場合は、冒頭または本文中に「案内が遅くなったことへのお詫び」を入れます。
例:
「ご案内が遅くなりましたこと、深くお詫び申し上げます。」
そのうえで、新住所・営業開始日・連絡先をわかりやすく書けば問題ありません。
まとめ
移転の挨拶状は、会社や店舗の住所変更を知らせるだけでなく、これまでの感謝と今後の関係継続を伝えるための大切な文書です。
書くときは、次の点を意識しましょう。
- 移転前に届くよう早めに送る
- 新住所・営業開始日・連絡先を正確に書く
- 会社向けと店舗向けで文面を変える
- 感謝と今後のお願いを入れる
- メールやホームページでもあわせて知らせる
- 移転後の公的手続きやWeb上の住所変更も確認する
迷ったときは、まず「誰が、いつ、どこへ行けばよいのか」が伝わるかを確認しましょう。
読み手が困らないように情報を整理し、丁寧でわかりやすい挨拶状にすることが大切です。
