漢字の読み方で迷いやすいのが、音読みと訓読みの違いです。
「山」は「サン」とも「やま」とも読みます。
「水」は「スイ」とも「みず」とも読みます。
このように、同じ漢字でも読み方が変わるため、最初は混乱しやすいものです。
ただし、音読みと訓読みには見分けるための目安があります。
この記事では、初心者にもわかりやすく、音読みと訓読みの覚え方と迷ったときの判断ポイントを解説します。
音読みと訓読みの違いを簡単にいうと
音読みと訓読みの違いは、ざっくり言うと次のようになります。
| 種類 | 簡単な説明 | 例 |
|---|---|---|
| 音読み | 中国から伝わった漢字の音をもとにした読み方 | 山=サン、水=スイ、学=ガク |
| 訓読み | 漢字の意味に日本語をあてた読み方 | 山=やま、水=みず、学ぶ=まなぶ |
音読みは、音だけ聞いても意味がわかりにくい読み方が多いです。
たとえば「サン」と聞いただけでは、山なのか、三なのか、産なのか、すぐには判断しにくいですよね。
一方、訓読みは、読み方だけで意味が伝わりやすい読み方が多いです。
「やま」と聞けば、自然の山をイメージできます。
「みず」と聞けば、水をイメージできます。
この違いをまず押さえると、音読みと訓読みを判断しやすくなります。
音読みとは
音読みとは、漢字が中国から伝わったときの発音をもとにした読み方です。
たとえば、次のような読み方が音読みです。
| 漢字 | 音読み | 使い方 |
|---|---|---|
| 山 | サン | 火山、登山、山脈 |
| 水 | スイ | 水道、水分、海水 |
| 学 | ガク | 学校、学習、文学 |
| 生 | セイ・ショウ | 生活、人生、誕生 |
| 読 | ドク | 読書、音読、購読 |
音読みは、熟語の中でよく使われます。
たとえば「山」を単独で読むと「やま」ですが、
「登山」「火山」「山脈」のような熟語では「サン」と読むことが多くなります。
音読みの特徴
音読みには、次のような特徴があります。
- カタカナで表されることが多い
- 熟語で使われることが多い
- 読み方だけでは意味がわかりにくいことが多い
- 「ン」で終わる読みが多い
- 「ガク」「コウ」「ショウ」など、短い音が多い
ただし、カタカナだから音読み、ひらがなだから訓読みと覚えるだけでは不十分です。
辞書や教科書では、音読みをカタカナ、訓読みをひらがなで示すことがあります。
しかし、実際の文章ではすべてひらがなでふりがなが付くこともあります。
そのため、文字の見た目だけでなく、意味や使われ方から判断することが大切です。
訓読みとは
訓読みとは、漢字の意味に日本語の言葉をあてた読み方です。
たとえば、次のような読み方が訓読みです。
| 漢字 | 訓読み | 使い方 |
|---|---|---|
| 山 | やま | 山に登る |
| 水 | みず | 水を飲む |
| 学 | まなぶ | 国語を学ぶ |
| 生 | いきる・うまれる | 生きる、生まれる |
| 読 | よむ | 本を読む |
訓読みは、読み方そのものが日本語として意味を持っていることが多いです。
「やま」「みず」「よむ」「たべる」「はしる」のように、聞いただけで意味をイメージしやすい読み方は、訓読みの可能性が高いです。
訓読みの特徴
訓読みには、次のような特徴があります。
- ひらがなで表されることが多い
- 読み方だけで意味がわかりやすい
- 送りがなが付くことが多い
- 一字だけで言葉として成り立つことが多い
- 「読む」「走る」「食べる」のように動作を表すことが多い
たとえば「読書」の「読」は「ドク」と読みます。
これは音読みです。
一方、「本を読む」の「読む」は「よむ」と読みます。
これは訓読みです。
同じ漢字でも、熟語で使うか、単独の言葉として使うかで読み方が変わることがあります。
音読みと訓読みの覚え方
音読みと訓読みは、丸暗記だけで覚えようとすると大変です。
おすすめは、次の順番で覚えることです。
- まず意味で分ける
- 次に使われ方で分ける
- 最後に例外を少しずつ覚える
この順番にすると、ただの暗記ではなく、読み方の仕組みとして理解できます。
覚え方1:意味がわかるかで判断する
最初に見るべきポイントは、その読み方だけで意味がわかるかです。
| 判断ポイント | 例 | 読み方 |
|---|---|---|
| 読みだけでは意味がわかりにくい | サン、スイ、ガク、ドク | 音読みになりやすい |
| 読みだけで意味がわかりやすい | やま、みず、まなぶ、よむ | 訓読みになりやすい |
たとえば「火」という漢字で考えてみましょう。
- 火事の「火」=カ
- 火をつけるの「火」=ひ
「カ」と聞いただけでは、何のことか少しわかりにくいです。
そのため「カ」は音読みです。
一方、「ひ」と聞けば火をイメージできます。
そのため「ひ」は訓読みです。
このように、まずは意味がすぐ浮かぶかで考えると判断しやすくなります。
覚え方2:熟語かどうかを見る
音読みは、熟語でよく使われます。
| 漢字 | 音読みの熟語 | 訓読みの使い方 |
|---|---|---|
| 山 | 登山、火山、山脈 | 山に登る |
| 水 | 水道、海水、水分 | 水を飲む |
| 学 | 学校、学問、学習 | 学ぶ |
| 読 | 読書、音読、購読 | 読む |
| 食 | 食事、給食、飲食 | 食べる |
「学校」「読書」「水道」のように、漢字が2字以上でまとまった言葉になっている場合は、音読みが使われやすいです。
ただし、すべての熟語が音読みとは限りません。
たとえば、次のような言葉もあります。
| 言葉 | 読み方 | 種類 |
|---|---|---|
| 手紙 | てがみ | 訓読み+訓読み |
| 雨音 | あまおと | 訓読み+訓読み |
| 山道 | やまみち | 訓読み+訓読み |
| 湯桶 | ゆとう | 訓読み+音読み |
| 重箱 | じゅうばこ | 音読み+訓読み |
熟語を見るのは便利ですが、絶対のルールではありません。
迷ったときは、意味や送りがなも合わせて確認しましょう。
覚え方3:送りがながあるかを見る
送りがなが付く読み方は、訓読みであることが多いです。
| 漢字 | 読み方 | 種類 |
|---|---|---|
| 読む | よむ | 訓読み |
| 走る | はしる | 訓読み |
| 食べる | たべる | 訓読み |
| 学ぶ | まなぶ | 訓読み |
| 生きる | いきる | 訓読み |
送りがなは、日本語として意味をはっきりさせるために付くことが多いです。
たとえば「生」という漢字は、読み方がたくさんあります。
- 生活=セイ
- 生まれる=うまれる
- 生きる=いきる
- 生える=はえる
「生活」の「セイ」は音読みです。
「生まれる」「生きる」「生える」は、送りがなが付いていて、訓読みです。
ただし、「接する」「達する」「生じる」のように、音読みの後ろに「する」「じる」が付く形もあります。
そのため、送りがながあれば必ず訓読みとは言い切れません。
送りがなは強いヒントだが、例外もあると覚えておきましょう。
覚え方4:音の形に注目する
音読みには、音の形に特徴があります。
特に、次のような読み方は音読みであることが多いです。
| 読み方の特徴 | 例 |
|---|---|
| 「ン」で終わる | サン、セン、カン、リン |
| 「ク」「ツ」「チ」で終わる | ガク、ショク、イツ、ニチ |
| 小さい「ャ・ュ・ョ」が入る | ショウ、キュウ、チョウ |
| 2〜3音で短い | カ、キ、セイ、ドク |
たとえば、次の読み方は音読みです。
- 山=サン
- 林=リン
- 学=ガク
- 日=ニチ
- 小=ショウ
- 食=ショク
ただし、音の形だけで完全に判断できるわけではありません。
あくまで、迷ったときの補助として使いましょう。
迷ったときの判断ポイント
音読みか訓読みか迷ったときは、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
ステップ1:その読みだけで意味がわかるか
まず、読み方だけを見て意味が浮かぶか考えます。
- 「やま」→意味がわかる → 訓読み
- 「サン」→意味が決まりにくい → 音読み
- 「みず」→意味がわかる → 訓読み
- 「スイ」→意味が決まりにくい → 音読み
最初はこの判断だけでも十分です。
特に小学生や漢字が苦手な人は、まず
「聞いて意味がわかるか」
を基準にすると覚えやすくなります。
ステップ2:熟語の中で使われているか
次に、熟語になっているかを見ます。
- 登山=トザン
- 水道=スイドウ
- 学校=ガッコウ
- 読書=ドクショ
このように、漢字が2字以上でまとまっている場合は、音読みの可能性が高くなります。
ただし、「山道」「雨音」「手紙」のように、訓読み同士の熟語もあります。
そのため、熟語かどうかだけで決めず、意味も合わせて考えましょう。
ステップ3:送りがながあるか
最後に、送りがなを確認します。
- 読む
- 書く
- 走る
- 食べる
- 新しい
- 高い
このように、送りがなが付いている場合は、訓読みの可能性が高いです。
ただし、次のような形は注意が必要です。
- 接する=セッする
- 達する=タッする
- 信じる=シンじる
- 生じる=ショウじる
「する」「じる」が付いていても、その前の部分が音読みになることがあります。
音読みと訓読みの見分け方早見表
音読みと訓読みで迷ったら、次の表を確認してください。
| 判断ポイント | 音読みになりやすい | 訓読みになりやすい |
|---|---|---|
| 意味 | 読みだけでは意味がわかりにくい | 読みだけで意味がわかりやすい |
| 使われ方 | 熟語で使われることが多い | 単独の言葉で使われることが多い |
| 表記 | 辞書ではカタカナで示されることが多い | 辞書ではひらがなで示されることが多い |
| 送りがな | 基本的には付かないことが多い | 付くことが多い |
| 音の形 | サン、ガク、ショウなど短い | やま、まなぶ、こころざしなど意味が見えやすい |
覚えるときは、ひとつの基準だけに頼らないことが大切です。
意味・熟語・送りがな・音の形を組み合わせると、判断の精度が上がります。
間違えやすい音読みと訓読みの例
音読みと訓読みには、例外もあります。
特に、次のような読み方は間違えやすいので注意しましょう。
意味がわかりやすいのに音読みの言葉
音読みは「意味がわかりにくい」と説明されることが多いですが、すべてがそうとは限りません。
| 漢字 | 読み | 種類 |
|---|---|---|
| 絵 | エ | 音読み |
| 駅 | エキ | 音読み |
| 本 | ホン | 音読み |
| 肉 | ニク | 音読み |
| 服 | フク | 音読み |
| 客 | キャク | 音読み |
たとえば「本」は「ホン」と聞くだけで意味がわかります。
しかし「ホン」は音読みです。
このような言葉は、日常でよく使われるため、音読みでも意味がわかりやすくなっています。
意味がわかりにくいのに訓読みの言葉
反対に、訓読みでも読みだけでは意味がわかりにくいものがあります。
| 漢字 | 読み | 種類 |
|---|---|---|
| 野 | の | 訓読み |
| 場 | ば | 訓読み |
| 間 | ま | 訓読み |
| 身 | み | 訓読み |
| 音 | ね | 訓読み |
「の」「ば」「ま」などは、短すぎて意味がつかみにくいことがあります。
しかし、これらは訓読みです。
つまり、
意味がわかる=必ず訓読み
意味がわかりにくい=必ず音読み
ではありません。
あくまで判断の目安として使い、例外は少しずつ覚えましょう。
音読みと訓読みを効率よく覚える練習法
音読みと訓読みは、ただ眺めるだけでは定着しにくいです。
大切なのは、漢字を単体で覚えるのではなく、言葉の中で覚えることです。
漢字1つに対して音読みと訓読みをセットで覚える
漢字を覚えるときは、次のようにセットで整理しましょう。
| 漢字 | 音読み | 訓読み | 例 |
|---|---|---|---|
| 山 | サン | やま | 登山/山に登る |
| 水 | スイ | みず | 水道/水を飲む |
| 学 | ガク | まなぶ | 学校/学ぶ |
| 読 | ドク | よむ | 読書/本を読む |
| 書 | ショ | かく | 書道/字を書く |
このように、音読みの熟語と訓読みの例文を一緒に覚えると、読み方の使い分けが自然に身につきます。
「熟語」と「文」をセットで作る
覚えたい漢字があったら、次のように練習します。
- 音読み:熟語を作る
- 訓読み:短い文を作る
たとえば「読」なら、次のように整理できます。
- 音読み:読書、音読、購読
- 訓読み:本を読む、文章を読む
「書」なら、次のように整理できます。
- 音読み:書道、図書、文書
- 訓読み:字を書く、手紙を書く
この方法なら、読み方だけでなく、使い方まで一緒に覚えられます。
迷った漢字だけをノートにまとめる
すでに覚えている漢字を何度も書くより、迷った漢字だけをまとめたほうが効率的です。
ノートには、次のように書くと見直しやすくなります。
| 漢字 | 迷った読み | 正しい種類 | 覚える例 |
|---|---|---|---|
| 本 | ホン | 音読み | 本棚、本日 |
| 野 | の | 訓読み | 野原、野に咲く花 |
| 生 | セイ/いきる | 音読み/訓読み | 生活/生きる |
| 間 | カン/ま | 音読み/訓読み | 時間/間をあける |
ポイントは、間違えた理由も一言メモすることです。
たとえば、
- 「本」は意味がわかるけれど音読み
- 「野」は短くて意味がわかりにくいけれど訓読み
- 「生」は読み方が多いので文で覚える
このように書いておくと、同じ間違いを繰り返しにくくなります。
音読みと訓読みの練習問題
ここで、実際に音読みと訓読みを見分けてみましょう。
問題1:次の読み方は音読み?訓読み?
| 漢字と読み | 音読み・訓読み |
|---|---|
| 山(サン) | |
| 山(やま) | |
| 水(スイ) | |
| 水(みず) | |
| 読(ドク) | |
| 読む(よむ) |
答え
| 漢字と読み | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 山(サン) | 音読み | 読みだけでは意味が決まりにくい |
| 山(やま) | 訓読み | 読みだけで意味がわかる |
| 水(スイ) | 音読み | 水道・海水などの熟語で使う |
| 水(みず) | 訓読み | 読みだけで意味がわかる |
| 読(ドク) | 音読み | 読書・音読などの熟語で使う |
| 読む(よむ) | 訓読み | 送りがなが付く |
問題2:音読みで使われているのはどちら?
次のうち、音読みで使われているものを選んでください。
| 問題 | A | B |
|---|---|---|
| 1 | 山に登る | 登山をする |
| 2 | 水を飲む | 水道を使う |
| 3 | 本を読む | 読書をする |
| 4 | 字を書く | 書道を習う |
答え
| 問題 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | B | 登山の「山」はサンと読む |
| 2 | B | 水道の「水」はスイと読む |
| 3 | B | 読書の「読」はドクと読む |
| 4 | B | 書道の「書」はショと読む |
音読みは、熟語の中で使われることが多いとわかります。
音読みと訓読みでよくある疑問
音読みと訓読みは完全に見分けられる?
完全に見分ける方法はありません。
音読みと訓読みには例外があるため、ひとつのルールだけですべてを判断するのは難しいです。
ただし、次の4つを組み合わせれば、多くの漢字は判断しやすくなります。
- 読みだけで意味がわかるか
- 熟語で使われているか
- 送りがながあるか
- 音の形に特徴があるか
迷ったときは、最後に辞書や常用漢字表で確認すると安心です。
音読みと訓読みはどちらを先に覚えるべき?
初心者は、まず訓読みから覚えるのがおすすめです。
訓読みは「やま」「みず」「よむ」「かく」のように、意味と結びつけやすいからです。
そのあとに、
- 山 → やま → 登山のサン
- 水 → みず → 水道のスイ
- 読む → よむ → 読書のドク
という順番で音読みを増やすと、覚えやすくなります。
音読みが複数ある漢字はどう覚える?
音読みが複数ある漢字は、熟語ごとに覚えるのが基本です。
たとえば「生」には、いろいろな読み方があります。
| 使い方 | 読み方 |
|---|---|
| 生活 | セイ |
| 誕生 | ジョウ |
| 生きる | いきる |
| 生まれる | うまれる |
| 生える | はえる |
| 生地 | きじ |
このような漢字は、読み方だけを並べて覚えるより、実際の言葉で覚えるほうが定着します。
「生=セイ・ショウ・いきる・うまれる……」と暗記するより、
「生活」「誕生」「生きる」「生まれる」のように、使う形で覚えましょう。
まとめ:音読みと訓読みは「意味・使い方・送りがな」で覚える
音読みと訓読みで迷ったときは、次の順番で考えましょう。
- 読みだけで意味がわかるか
- 熟語の中で使われているか
- 送りがなが付いているか
- 音の形に特徴があるか
音読みは、熟語で使われることが多く、読みだけでは意味がわかりにくい傾向があります。
訓読みは、読みだけで意味がわかりやすく、送りがなが付くことが多い読み方です。
ただし、音読みと訓読みには例外もあります。
そのため、最初から完璧に見分けようとしなくても大丈夫です。
大切なのは、漢字を単体で覚えるのではなく、熟語や例文の中で覚えることです。
「山=サン・やま」と覚えるだけでなく、
「登山のサン」「山に登るのやま」のように、使い方と一緒に覚えましょう。
そうすれば、音読みと訓読みの違いが自然に身につき、漢字の読み間違いも少なくなります。
