「ございます」と「あります」は、どちらも丁寧な言い方です。
ただし、まったく同じ印象ではありません。
結論から言うと、使い分けのポイントは 意味の違い ではなく、丁寧さの度合いと場の改まり方 です。
先に要点をまとめると、次のとおりです。
- あります:すでに丁寧。社内や日常的なやり取りでも自然
- ございます:より改まった丁寧表現。接客・取引先・正式な案内で自然
- 意味はほぼ同じ なので、正誤よりも 場面との相性 で選ぶ
- 人について述べる場面では、「ございます」より いらっしゃいます が自然なことがある
まずは、違いを表でつかみましょう。
| 表現 | 丁寧さ | 向いている場面 | 例 |
|---|---|---|---|
| あります | 丁寧 | 社内会話、日常的な説明、やや近い距離感のやり取り | 修正点が3点あります。 |
| ございます | より丁寧 | 接客、取引先対応、電話応対、あらたまった文書 | 修正点が3点ございます。 |
ございます・ありますの使い分けは「丁寧さの差」で考える
「ございます」と「あります」は、どちらも「ある」を丁寧にした表現です。
そのため、基本の意味は大きく変わりません。
違いが出るのは、相手に与える印象です。
「あります」は、落ち着いた普通の丁寧語です。
一方で「ございます」は、同じ内容を より改まって、より丁寧に 伝える響きがあります。
つまり、次のように考えるとわかりやすくなります。
- 内容を普通に丁寧に伝える → あります
- 内容を一段ていねいに、かしこまって伝える → ございます
この違いを知らないまま使うと、逆に不自然になります。
たとえば、社内の気軽な会話で毎回「ございます」を多用すると、少しかしこまりすぎて聞こえることがあります。
反対に、接客や取引先への案内で「あります」を使うと、失礼ではないにしても、やや軽く感じられることがあります。
ございますを使う場面
「ございます」が自然なのは、相手への配慮を強めたい場面 です。
代表的なのは、次のようなケースです。
- お客様への案内
- 取引先との会話やメール
- 電話応対
- 受付対応
- 謝罪やお礼など、丁寧さをはっきり出したい場面
ございますが自然な例文
- ご質問がございましたら、お知らせください。
- こちらに資料がございます。
- 担当の田中でございます。
- 変更点が2点ございます。
- ご不明な点はございますか。
特に 電話・受付・接客 では、「ございます」は非常によく使われます。
「あります」でも文法的に間違いとは言えない場面でも、「ございます」のほうがその場の空気になじみやすいからです。
また、「ございます」は「ある」だけでなく、「です」をより改まって言う形 としても使われます。
たとえば、
- 私は田中です。
- 私は田中でございます。
この2つは意味は同じでも、後者のほうが明らかにフォーマルです。
ありますを使う場面
「あります」は、丁寧だけれど、必要以上にかしこまらない ときに使いやすい表現です。
向いているのは、次のような場面です。
- 社内の報告
- 上司との通常の会話
- 日常的な説明
- 事実を簡潔に伝えたいとき
- 文章をかたくしすぎたくないとき
ありますが自然な例文
- 修正点が3点あります。
- 来週、会議があります。
- いくつか確認したいことがあります。
- その件については、別の案があります。
- 添付資料がありますので、ご確認ください。
このように、「あります」は 十分に礼儀を保ちながら、読みやすく話しやすい 表現です。
そのため、社内メールや説明文では、「ございます」より「あります」のほうが自然に感じられることも少なくありません。
迷ったときの判断基準
「どちらにするか迷う」というときは、次の3つで考えると決めやすくなります。
1. 相手との距離は近いか、遠いか
- 社内・日常・近い距離感 → あります
- 社外・顧客・初対面・あらたまった相手 → ございます
2. 文章や会話は、どれくらい改まっているか
- 普通の説明や報告 → あります
- 受付、案内、謝罪、正式な連絡 → ございます
3. 丁寧さを足したいのか、自然さを優先したいのか
- 自然で読みやすくしたい → あります
- 一段丁寧に整えたい → ございます
迷ったら、次のように覚えると実用的です。
社内なら「あります」寄り、社外なら「ございます」寄り。
もちろん絶対ではありませんが、実際にはこの考え方でかなり迷いにくくなります。
ございます・ありますの使い分けで迷いやすい例
ここは、間違えやすいところです。
よくある例をまとめます。
資料や在庫など「物」があるとき
- 資料があります。
- 資料がございます。
どちらも使えます。
ただし、社内なら「あります」、接客や取引先なら「ございます」 が自然です。
自己紹介をするとき
- 営業部の佐藤です。
- 営業部の佐藤でございます。
どちらも使えますが、電話応対や接客では 「でございます」 がよく使われます。
お客様に確認するとき
- ご予約はありますか。
- ご予約はございますか。
意味は同じですが、接客では 「ございますか」 のほうがなめらかです。
人の存在を言うとき
ここは特に注意したいポイントです。
- 会議室に部長がございます。
- 会議室に部長がいらっしゃいます。
人について述べるときは、「ございます」より「いらっしゃいます」 が自然な場面があります。
相手そのものに敬意を向けたいときは、丁寧語より尊敬語のほうが合うためです。
自分側の状態を丁寧に言うとき
- ただいま確認しております。
- ただいま確認しています。
- ただいま確認してございます。
この場合は、実際の会話では 「確認しております」 が最も自然です。
「ございます」だけにこだわらず、文全体として自然な敬語にする ことが大切です。
ございますを使うときの注意点
丁寧だからといって、何でも「ございます」にすればよいわけではありません。
丁寧すぎると、かえって不自然になる
社内の軽い会話や普段のやり取りで「ございます」を連発すると、距離が出すぎることがあります。
たとえば、
- 本日、確認事項がございます。
- 先ほど資料を拝見いたしましたので、問題はございません。
この程度なら自然ですが、短い会話のすべてを「ございます」で統一すると、少し重く感じることがあります。
人には尊敬語が合うことがある
相手や第三者の存在・状態を高めたいときは、「ございます」ではなく いらっしゃいます を使うと自然です。
たとえば、
- 社長はいらっしゃいますか。
- 先生はお元気でいらっしゃいますか。
このような場面では、「ございます」よりも相手への敬意が伝わりやすくなります。
「ございますでしょうか」は避けたほうが無難
丁寧にしようとして、
- ご質問はございますでしょうか
と言いたくなることがあります。
ただ、こうした言い方はくどく感じられやすいため、「ございますか」 としたほうがすっきりします。
- ご質問はございますか
- ご不明な点はございますか
この形のほうが、読み手にも聞き手にも伝わりやすいです。
ビジネスでそのまま使える言い換え例
普段の文を、場面に応じて自然に言い換えるとこうなります。
社内向けなら自然な言い方
- 確認事項があります。
- 修正点があります。
- 来週、打ち合わせがあります。
- 添付資料がありますので、ご確認ください。
社外向けなら丁寧な言い方
- 確認事項がございます。
- 修正点がございます。
- 来週、打ち合わせがございます。
- 添付資料がございますので、ご確認ください。
自己紹介・受付で使いやすい言い方
- 株式会社○○の山田でございます。
- 担当の者がまもなく参ります。
- ご予約のお名前を伺ってもよろしいでしょうか。
- ご不明な点はございますか。
よくある質問
「あります」は失礼ですか?
失礼ではありません。
「あります」は すでに丁寧な表現 です。
ただし、接客や取引先対応など、より改まった場面では「ございます」のほうがふさわしいことがあります。
「ございます」は古い表現ですか?
古いというより、今でも現役のフォーマル表現 です。
特に接客、電話、ビジネス文書では現在も広く使われています。
社内でも全部「ございます」にしたほうがいいですか?
その必要はありません。
むしろ、場面によってはかたくなりすぎます。
社内の通常連絡なら「あります」、正式な案内や謝罪、お客様同席の場面などでは「ございます」と考えると使いやすいです。
使い分けでいちばん大事なことは何ですか?
文法だけでなく、相手との関係と場の空気を見ること です。
「どちらが絶対に正しいか」ではなく、
その場にとって自然で、相手に配慮が伝わるか を基準にすると、失敗しにくくなります。
まとめ
「ございます」と「あります」の使い分けは、難しく見えても本質はシンプルです。
- あります は、普通に丁寧で使いやすい
- ございます は、より丁寧で改まった印象になる
- 意味の違いより、場面・相手・距離感 で選ぶ
- 人に敬意を向ける場面では、いらっしゃいます など別の敬語が自然なこともある
迷ったときは、次の一文を思い出してください。
自然に丁寧なら「あります」、一段改まって丁寧にするなら「ございます」。
この基準で考えるだけでも、言い分けはかなり安定します。
