「いたします」と「します」は、どちらも失礼な表現ではありません。
ただし、丁寧さの強さと場面への合い方が少し違います。
結論からいうと、普段の連絡や説明では「します」で十分なことが多く、社外向け・改まった案内・おわび・あらたまった依頼では「いたします」が自然です。
大事なのは、いつでも「いたします」にすれば正解ではないということです。
丁寧にしようとして全部を「いたします」にすると、かえって文章が重くなり、読みにくくなることがあります。
この記事では、
- 「いたします」と「します」の違い
- どちらを選ぶべきかの目安
- 丁寧すぎない言い換え方
- メールですぐ使える例文
を、初心者にもわかりやすく整理します。
結論がすぐわかる早見表
| 表現 | 丁寧さ | 向いている場面 | 印象 |
|---|---|---|---|
| します | 標準的な丁寧さ | 社内連絡、日常的なやり取り、説明文 | すっきり・自然 |
| いたします | しますより改まっている | 社外メール、初回連絡、案内、おわび、かしこまった場面 | 丁寧・ややフォーマル |
迷ったときの目安は、次の通りです。
読みやすさを優先したいなら「します」
あらたまった敬意を少し足したいなら「いたします」
この感覚で考えると、使い分けで迷いにくくなります。
「いたします」と「します」の違い
「します」は、基本の丁寧な言い方
「します」は、動詞「する」を丁寧に言った形です。
たとえば、
- 後ほど確認します
- 明日ご連絡します
- この件は私が対応します
のように使います。
やわらかく、素直で、日常の仕事でも使いやすい表現です。
社内連絡、ふだんの会話、説明文では、まず「します」を基準に考えて問題ありません。
「いたします」は、より改まった言い方
「いたします」は、「する」よりも一段改まって聞こえる表現です。
たとえば、
- 後ほど確認いたします
- 明日ご連絡いたします
- この件は私が対応いたします
のように使います。
同じ内容でも、「します」よりへりくだった印象が出やすく、社外・目上・お客様向けの文脈と相性がいい表現です。
違いは「正しさ」より「温度感」
ここで大切なのは、
「いたします」のほうが常に正しいわけではないことです。
実際には、
- 文章を簡潔にしたい
- 説明をわかりやすくしたい
- 何度も同じ語尾が続いて重くなる
という場面では、「します」のほうが自然です。
つまり、違いは誤りかどうかよりも、
どれくらい改まって聞かせたいかにあります。
「いたします」を使ったほうが自然な場面
社外向けのメール
取引先やお客様へのメールでは、「いたします」がしっくりくる場面が多くあります。
たとえば、
- 資料を添付いたします
- 後ほど担当者よりご連絡いたします
- 内容を確認のうえ、改めてご回答いたします
などです。
文全体に適度な礼儀が出るため、初回連絡や少しかしこまった場面では使いやすい表現です。
おわび・お願い・案内
次のような場面でも、「いたします」は自然です。
- ご迷惑をおかけし、深くおわびいたします
- 何卒よろしくお願いいたします
- 下記の通りご案内いたします
こうした表現は、形式的な礼儀が求められやすい場面なので、「します」より「いたします」のほうがなじみます。
自分側の行動を、やや改まって述べたいとき
「いたします」は、自分側が行うことを丁寧に述べるときに使いやすい表現です。
たとえば、
- 私が対応いたします
- こちらで手配いたします
- 担当より説明いたします
のような形です。
「誰がするのか」が自分側にはっきりしていると、自然に使いやすくなります。
「します」で十分な場面
社内のふだんの連絡
社内チャット、日常的なメール、打ち合わせ後の共有などでは、「します」で十分なことが多いです。
たとえば、
- 先に共有します
- 明日確認します
- 資料を修正します
このくらいの軽さのほうが、むしろ読みやすく、仕事も進めやすくなります。
説明文・案内文・読みやすさを優先したい文章
Webサイトの説明文、ヘルプページ、社内マニュアル、案内文などでは、丁寧さよりもわかりやすさが大切です。
そのため、
- お申し込み後、確認メールを送信します
- 受付後、順番に対応します
- 必要事項を入力して送信してください
のように、簡潔な「します」のほうが読みやすくなります。
「いたします」が続いて重くなるとき
次のような文章は、丁寧ではあるものの、少し重く見えます。
本件につきましては、確認いたします。
結果が分かり次第、ご連絡いたします。
必要に応じて、再度ご案内いたします。
不自然ではありませんが、同じ語尾が続くと硬さが強くなります。
そんなときは、次のように少し下げると読みやすくなります。
本件は確認します。
結果が分かり次第、ご連絡いたします。
必要に応じて、あらためてご案内します。
全部を同じ丁寧さにそろえないことが、自然な文章のコツです。
丁寧すぎない言い換え方
コツ1 全部を「いたします」にしない
もっとも簡単なのは、重要な一文だけ「いたします」にすることです。
たとえば、
- 結論やお願いの文だけ「いたします」
- 補足説明は「します」
- 手順説明は「します」
というように、強弱をつけます。
これだけで、かなり自然になります。
コツ2 「ご〜いたします」を連発しすぎない
「ご連絡いたします」「ご案内いたします」「ご説明いたします」は便利ですが、続くと少し重たくなります。
置き換えの例を見てみましょう。
| 言い換え前 | 丁寧すぎない言い換え |
|---|---|
| 後ほどご連絡いたします | 後ほどご連絡します |
| 詳細をご案内いたします | 詳細をご案内します |
| こちらからご説明いたします | こちらから説明します |
| 書類を送付いたします | 書類を送ります |
| 改めてご返答いたします | 改めて返信します |
ポイントは、敬語をゼロにすることではなく、少し軽くすることです。
コツ3 「させていただきます」を減らす
丁寧すぎる文章で特に多いのが、「させていただきます」です。
たとえば、
- ご説明させていただきます
- 確認させていただきます
- 対応させていただきます
は、使える場面もありますが、毎回使うとかなり重く見えます。
多くの場合は、次のように言い換えられます。
- ご説明いたします
- 確認します
- 対応いたします
この言い換えだけで、文章がかなりすっきりします。
よくある表現の使い分け
「お願いいたします」と「お願いします」
どちらも使えます。
ただし、印象は少し違います。
- お願いします:やや軽めで自然
- お願いいたします:より改まって丁寧
メールの結びでは、「何卒よろしくお願いいたします」が安定です。
一方、社内や日常的なやり取りでは、「よろしくお願いします」でも十分です。
「いたします」と「致します」
意味を区別するより先に、実務ではひらがなの「いたします」を基本にしておくと迷いにくいです。
特に、
- お願いいたします
- ご連絡いたします
- よろしくお願いいたします
のような表現は、ひらがなのほうがやわらかく、読みやすい印象になります。
迷ったら、まずは「いたします」で考えておけば大きく外しにくいです。
「お伺いいたします」は変?
この表現はよく使われますが、少し重たく感じる人もいます。
自然にしたいなら、まずは
- 伺います
- お伺いします
を優先すると、すっきりまとまりやすいです。
特にメールでは、
「明日15時ごろ伺います」
くらいでも十分に丁寧です。
「拝見いたします」は使わないほうがいい?
ビジネス文では見かけますが、迷ったときは「拝見します」のほうが簡潔で自然です。
たとえば、
- 資料を拝見します
- 内容を拝見し、後ほどご連絡します
のように書くと、丁寧さを保ちながら重くなりすぎません。
メールでそのまま使える例文
やや丁寧にしたいとき
件名のあとに続けやすい、標準的な文です。
- 本日中に確認いたします。
- 詳細が分かり次第、ご連絡いたします。
- 資料は後ほど送付いたします。
- この件は私が対応いたします。
社外向けでも無理のない丁寧さです。
少し軽く、読みやすくしたいとき
- 本日中に確認します。
- 詳細が分かり次第、ご連絡します。
- 資料は後ほど送ります。
- この件は私が対応します。
社内メールや日常のやり取りでは、こちらのほうが自然なことも多いです。
お願いをやわらかく伝えたいとき
- ご確認をお願いします。
- お手数ですが、ご確認をお願いいたします。
- ご都合のよい時間をご連絡ください。
- 差し支えなければ、ご返信をお願いします。
ここでも、全部を最上級に丁寧にしないことが自然さにつながります。
迷ったときの判断基準
最後に、実際に迷ったときの考え方を3つにしぼっておきます。
1 相手との距離で決める
- 社内・日常的な相手 → します
- 社外・初回・改まった相手 → いたします
まずはこの分け方で十分です。
2 文章の目的で決める
- 説明をわかりやすくしたい → します
- 礼儀を少し強めたい → いたします
「何を伝える文章か」を基準にすると、選びやすくなります。
3 読み返して重ければ下げる
文末に「いたします」が3回以上続いたら、一度見直してみてください。
そのうち1〜2か所を
- します
- 送ります
- 説明します
- 確認します
に変えるだけで、かなり自然になります。
まとめ
「いたします」と「します」の違いは、シンプルに言えば丁寧さの段階です。
- しますは、基本の丁寧語
- いたしますは、より改まった表現
ただし、本当に大切なのは、
丁寧さを上げることではなく、相手にとって読みやすく、自然に伝わることです。
そのため、
- 社外や改まった場面では「いたします」
- 社内や説明文では「します」
- 重くなりすぎたら一部を言い換える
この3つを意識すれば、かなり自然な敬語になります。
迷ったら、まずはこう考えてみてください。
失礼にしないことと、丁寧すぎて読みにくくしないこと。
このバランスが取れていれば、敬語として十分に好印象です。
