仕事で電話をかける時、いちばん迷いやすいのが最初の一言です。
「いきなり用件を言っていいのかな」
「“お世話になっております”で合っている?」
「初めての相手には何と言えばいい?」
このあたりで止まってしまうと、電話そのものが苦手になりやすいです。
結論から言うと、電話をかける時の敬語は、次の順番で考えると迷いにくくなります。
あいさつ → 名乗る → 用件の入口を伝える → 相手の都合を確認する
この流れさえ押さえれば、言い方は多少変わっても失礼になりにくくなります。
この記事では、最初の一言を場面別に整理しながら、そのまま使える言い回しまでまとめて解説します。
電話をかける時の敬語は「最初の一言の型」を覚えると楽になる
電話の敬語は、難しい表現をたくさん覚えるより、まず出だしの型を身につけるほうが実用的です。
基本の型は、次の4ステップです。
- 相手へのあいさつをする
- 自分の会社名・所属・氏名を名乗る
- 何の件で電話したかを短く伝える
- 今話せるかどうかを確認する
たとえば、最も基本的な形は次のとおりです。
お世話になっております。 株式会社〇〇の△△と申します。 □□の件でお電話いたしました。 ただ今、お時間よろしいでしょうか。
この形をベースにすると、最初の一言で詰まりにくくなります。
最初の一言で迷わない基本フレーズ
ここでは、よくある場面ごとに、最初の一言を使い分けやすく整理します。
継続的にやり取りしている相手にかける場合
すでに取引や連絡のやり取りがある相手なら、もっとも使いやすいのはこの形です。
お世話になっております。 株式会社〇〇の△△と申します。
このあとに、用件をひと言で続けます。
- 〇〇の件でお電話いたしました
- 先日の件でご連絡いたしました
- 打ち合わせ日程の件でお電話いたしました
迷ったら、この形から入れば大きく外しにくいです。
初めて電話する相手にかける場合
初めての相手に、いきなり「いつもお世話になっております」と言うと、少し不自然に聞こえることがあります。
そんな時は、次の言い方が無難です。
初めてお電話いたします。 株式会社〇〇の△△と申します。
あるいは、少しやわらかくするなら、
お世話になります。 株式会社〇〇の△△と申します。
でも問題ありません。
初回連絡では、あいさつよりも「誰が、何のために電話したのか」が早く伝わることが大切です。
相手が忙しそうな時間帯にかける場合
昼休み前後や夕方など、相手が立て込んでいそうな時間帯なら、最初にひと言添えると丁寧です。
- お忙しいところ恐れ入ります
- お時間をいただき恐れ入ります
- ご多忙のところ失礼いたします
たとえば、次のように言えます。
お忙しいところ恐れ入ります。 株式会社〇〇の△△と申します。 〇〇の件でお電話いたしました。
長くなりすぎないよう、恐縮の言葉は一つで十分です。
就活・転職・学校関係など、個人としてかける場合
会社名がない場合は、所属や立場+氏名を先に伝えるとわかりやすくなります。
- 〇〇大学の△△と申します
- 面接のお時間をいただきました△△と申します
- 応募者の△△と申します
たとえば、
お忙しいところ失礼いたします。 〇〇大学の△△と申します。 面接日程の件でお電話いたしました。
のように始めると自然です。
最初の一言のあとに続ける話し方
最初の一言が言えたら、その後は次の順番で話すとまとまりやすくなります。
1. 取り次いでほしい相手を伝える
相手先の担当者につないでもらいたい時は、先に自分を名乗ってからお願いしましょう。
恐れ入りますが、営業部の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。
用件が担当者名より先のほうが伝わりやすい場合は、こう言っても大丈夫です。
恐れ入りますが、〇〇の件でご担当の方におつなぎいただけますでしょうか。
2. 本人が出たら、もう一度名乗る
取り次いでもらったあと、担当者本人が出たら、もう一度名乗るのが親切です。
お世話になっております。 株式会社〇〇の△△です。
そのうえで、用件に入ります。
先日お送りした資料の件でお電話いたしました。 ただ今、少々お時間よろしいでしょうか。
3. 用件は短く、結論から伝える
電話では、前置きが長いと要点が伝わりにくくなります。
用件は、まず結論を短く言うのが基本です。
たとえば、
- 来週の打ち合わせ日程についてご相談したく、お電話しました
- お見積もりの内容について確認したく、ご連絡しました
- 先日の件のお返事をお伝えしたく、お電話しました
のように、目的を先に出すと話しやすくなります。
4. 相手の都合を確認する
本題に入る前に、ひと言確認すると印象がよくなります。
- ただ今、お時間よろしいでしょうか
- 今、少々お話ししても差し支えないでしょうか
- 2〜3分ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか
時間の目安を添えると、相手も安心しやすくなります。
そのまま使える電話の例文
ここでは、よくある場面ごとに、最初から終わりまでの言い方をまとめます。
取引先の担当者に電話する時の例文
お世話になっております。 株式会社〇〇の△△と申します。 恐れ入りますが、営業部の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。
担当者につながったら、
お世話になっております。株式会社〇〇の△△です。 先日のご提案の件でお電話いたしました。 ただ今、お時間よろしいでしょうか。
初めて問い合わせの電話をする時の例文
初めてお電話いたします。 株式会社〇〇の△△と申します。 サービス内容についてお伺いしたいことがあり、お電話いたしました。 ご担当の方におつなぎいただけますでしょうか。
初めての電話では、「初めてお電話いたします」+「何の件か」が早めに入ると、相手が状況をつかみやすくなります。
面接・応募関係で電話する時の例文
お忙しいところ失礼いたします。 本日〇時より面接予定の△△と申します。 ご連絡したいことがあり、お電話いたしました。 採用ご担当者様はいらっしゃいますでしょうか。
本人につながったら、
お忙しいところ失礼いたします。△△です。 本日の面接についてご相談があり、お電話いたしました。 今、お時間よろしいでしょうか。
担当者が不在だった時の例文
かしこまりました。 恐れ入りますが、〇〇様は何時頃お戻りのご予定でしょうか。
または、戻り時間がわからない時は、
承知いたしました。 それでは、株式会社〇〇の△△より〇〇の件でお電話した旨、お伝えいただけますでしょうか。
急ぎでなければ、
改めてこちらからお電話いたします。 よろしくお伝えいただけますと幸いです。
と締めると丁寧です。
電話をかける時に避けたい敬語・言い方
丁寧に話そうとしても、かえって不自然になってしまう言い方があります。
ここは特に注意したいポイントです。
「もしもし」から始める
仕事の電話では、最初の一言を「もしもし」にしないほうが無難です。
普段の会話では自然でも、ビジネスではややくだけた印象になりやすいためです。
代わりに、次のように始めると整います。
- お世話になっております
- 初めてお電話いたします
- お忙しいところ失礼いたします
名乗る前に用件だけを言う
いきなり
「〇〇様お願いします」
「先日の件なんですが」
と入ると、相手は誰からの電話かわからないまま対応することになります。
まずは短く名乗ってから、本題に入りましょう。
丁寧にしようとして長くしすぎる
敬語は、長ければ長いほどよいわけではありません。
たとえば、
- お電話をさせていただいております
- ご確認をしていただけますでしょうか
- お戻りになられますか
のように、重ねすぎると不自然になりやすいです。
シンプルに、
- お電話いたしました
- ご確認いただけますでしょうか
- お戻りになりますか
くらいのほうが、すっきり伝わります。
あいまいな言い方だけで終わる
「ちょっと確認で」
「一応ご連絡で」
「念のためです」
だけでは、相手は要件をつかみにくいです。
電話では、まず何の件かを具体的に一言で言うことが大切です。
- 納期の件で
- 日程調整の件で
- お見積もりの件で
- 面接の件で
このように、用件のラベルを先に置くと伝わりやすくなります。
電話を切る時の敬語
最後の締め方まで整っていると、全体の印象がよくなります。
本人と話せた時
- お時間をいただき、ありがとうございました
- ご対応いただき、ありがとうございました
- それでは、失礼いたします
たとえば、
お時間をいただき、ありがとうございました。 それでは、失礼いたします。
で十分丁寧です。
不在で取り次いでもらえなかった時
- 承知いたしました。ありがとうございます
- お手数をおかけしました
- よろしくお伝えください
- 失礼いたします
たとえば、
承知いたしました。 お手数をおかけしました。 〇〇の件でお電話した旨、よろしくお伝えください。 失礼いたします。
のように終えると自然です。
電話が苦手な人ほど、かける前の準備で話しやすくなる
電話は敬語力だけでなく、準備の差が出やすいものです。
かける前に、次の3つだけ整えておくと落ち着きやすくなります。
1. 用件を一文で書いておく
まずはメモに一文でまとめます。
例
来週の打ち合わせ候補日を3つお伝えするために電話する
これがあるだけで、前置きが長くなりにくくなります。
2. 相手の名前・部署名を手元に置く
電話中に名前を探すと、それだけで焦りやすくなります。
- 会社名
- 部署名
- 担当者名
- 自分が確認したいこと
は、事前に見える場所に置いておきましょう。
3. 最初の一言だけ先に決めておく
全部を暗記しなくても大丈夫です。
むしろ、最初の一言だけ決めておくほうが実践向きです。
たとえば、次のどれかを先に決めておけば、出だしが安定します。
- お世話になっております。株式会社〇〇の△△と申します
- 初めてお電話いたします。株式会社〇〇の△△と申します
- お忙しいところ失礼いたします。〇〇大学の△△と申します
最初が出れば、その後は意外と自然に続きます。
電話をかける時の敬語で迷った時の結論
電話をかける時の敬語は、難しい言い回しを増やすよりも、最初の一言の型を持っておくことが大切です。
迷った時は、次の形に戻れば大丈夫です。
お世話になっております。 株式会社〇〇の△△と申します。 〇〇の件でお電話いたしました。 ただ今、お時間よろしいでしょうか。
初めての相手なら、「お世話になっております」を
初めてお電話いたします
または
お世話になります
に置き換えれば、より自然になります。
電話の敬語で本当に大切なのは、完璧な言い回しを並べることではありません。
相手が聞き取りやすく、用件がすぐわかり、気持ちよく会話できることです。
まずはこの記事の中から、自分が使いやすい最初の一言を一つ決めて、実際の電話で使ってみてください。
それだけでも、電話のハードルはかなり下がります。
