電話で相手から担当者を求められたとき、迷いやすいのが不在時の伝え方です。
その中でもよく使うのが、「席を外しております」という表現です。
ただし、この言い方はいつでも使える万能表現ではありません。
短時間の離席に向いている場面もあれば、外出中・会議中・休みなど、別の言い方にしたほうが自然な場面もあります。
この記事では、
- 「席を外しております」の意味
- 「外出しております」などとの違い
- 失礼になりにくい不在対応の言い回し
- そのまま使える例文
- 避けたいNG表現
を、初心者にもわかりやすく整理して解説します。
まず結論から言うと、電話の不在対応は「謝罪 → 状況を簡潔に伝える → 次の対応を示す」の順で話すと、自然で失礼になりにくくなります。
「席を外しております」とは何を意味する言葉か
「席を外しております」は、今その人が自席にいないことを丁寧に伝える言い方です。
ただし、単に“見当たらない”という意味ではなく、ビジネスの電話ではふつう、
- 社内にはいる可能性が高い
- 長時間ではなく、比較的短い離席
- それほど遠くへ行っていない
といったニュアンスで使われます。
つまり、「今日はもう戻りません」「社外に出ています」といった重めの不在よりも、少し席を立っている状態に向いた表現です。
「席を外しております」が使いやすい場面
たとえば、次のような場面では使いやすい表現です。
- ちょっとした社内移動をしている
- トイレや給湯室などで一時的に離席している
- 短い打ち合わせで席にいない
- すぐではないが、比較的近いうちに戻りそう
このように、不在の時間が長すぎないときに使うと自然です。
「席を外しております」が便利な理由
この表現がよく使われるのは、相手に対して角が立ちにくいからです。
「いません」と言い切るよりも柔らかく、
「何をしているか」を細かく言いすぎないので、電話口でも扱いやすい表現です。
また、自社の人を外部の相手に説明するときにも使いやすく、ビジネスの不在対応として定番になっています。
「席を外しております」と他の不在表現の違い
不在対応で大切なのは、実際の状況に合った言い方を選ぶことです。
同じ“不在”でも、状況が違えば伝える言葉も変わります。
使い分けの目安
| 状況 | 自然な言い方 | 補足 |
|---|---|---|
| 少し席を立っている | 席を外しております | 短時間の離席向き |
| 社外に出ている | 外出しております | 戻り時間がある程度読めるなら伝える |
| 会議に入っている | 会議中でございます | 終了予定がわかれば添える |
| 来客対応をしている | 来客中でございます | すぐ出られないことが伝わる |
| 他の電話に出ている | 別の電話に出ております | 電話中であることを明確にする |
| 休みを取っている | 本日休んでおります / 本日不在です | 「席を外しております」でぼかさない |
| 今日は戻らない | 本日は戻らない予定です | 折り返し時期を調整しやすい |
この表からもわかるように、「席を外しております」は短時間の離席向けです。
外出・会議・休みまで全部これで済ませると、相手に誤解を与えやすくなります。
「外出しております」との違い
「外出しております」は、社外に出ていて、その場にはいないことを伝える表現です。
営業先への訪問、銀行、外回り、打ち合わせなど、会社の外にいるならこちらが自然です。
たとえば本当に社外にいるのに「席を外しております」と言うと、相手は「少し待てば戻るのかな」と受け取りやすくなります。
すると、すぐ折り返しが来ると思って待たせてしまうことがあります。
「会議中でございます」との違い
会議中なのに「席を外しております」でも意味は通じますが、会議中とわかっているなら、そのまま伝えたほうが親切です。
会議中であれば、相手も「今は取り次げない」「終わってからの折り返しになる」と判断しやすくなります。
「本日休んでおります」との違い
休みなのに「席を外しております」と言ってしまうと、相手はまたその日にかけ直してくるかもしれません。
不在の理由を必要以上に詳しく言う必要はありませんが、終日つながらない状況なら、それがわかる表現にすることが大切です。
「本日休んでおります」
「本日は終日不在です」
このように言えば、相手も次の行動を決めやすくなります。
不在対応の敬語で押さえたい3つの基本
不在対応は、難しい敬語を重ねるより、わかりやすく・丁寧に・誤解なく伝えることが大切です。
ここでは、まず押さえたい基本を3つに絞って紹介します。
1. 自社の人を高くしすぎない
外部の相手に対して、自社の上司や担当者を必要以上に高く表現しないのが基本です。
たとえば、取引先から自社の部長宛てに電話が来たときに、
- 「部長はいらっしゃいますか」→ 相手の質問としては自然
- 「部長はいらっしゃいません」→ 自社の人を立てすぎた印象になりやすい
という違いがあります。
この場合は、
- 「○○は席を外しております」
- 「○○は外出しております」
- 「○○は会議中でございます」
のように、役職よりも状況を丁寧に伝えるほうが自然です。
2. 理由を言いすぎない
不在理由は、必要以上に細かく説明しなくて大丈夫です。
たとえば、
- 「トイレに行っております」
- 「昼食に出ております」
- 「今ちょっと手が離せなくて」
のように具体的すぎる説明は、かえって不自然です。
相手が知りたいのは細かい事情よりも、今つながるのか、後で連絡できるのかです。
そのため、不在対応では次のような伝え方が基本になります。
- 席を外しております
- 外出しております
- 会議中でございます
- 来客中でございます
3. 次の対応を必ず示す
不在の事実だけ伝えて終わると、相手は困ってしまいます。
たとえば、
- 戻り次第、折り返しご連絡いたしましょうか
- よろしければご用件を承ります
- ○時頃戻る予定でございます
- 私から申し伝えます
のように、次にどうすればよいかを一言添えるだけで、対応の印象はかなり良くなります。
不在対応で相手が本当に知りたいのは、
「で、次はどうなるの?」 だからです。
「席を外しております」を自然に使う基本形
迷ったときは、次の形で組み立てると失敗しにくくなります。
基本の型
申し訳ございません。 ただいま○○は席を外しております。 戻りましたら、こちらからご連絡いたしましょうか。
この形が使いやすいのは、
- 最初にクッションを置ける
- 不在の事実を簡潔に伝えられる
- 次の対応まで示せる
からです。
まず覚えたい一言
短く自然に言うなら、まずはこの2つを覚えると十分です。
- 申し訳ございません。ただいま○○は席を外しております。
- 戻りましたら、折り返しご連絡いたしましょうか。
この2文だけでも、かなり多くの場面で対応できます。
不在対応の敬語|そのまま使える例文
ここからは、状況別にそのまま使いやすい例文を紹介します。
短時間の離席で使う例文
戻りそうなときの基本形
申し訳ございません。
ただいま○○は席を外しております。
戻りましたら、折り返しご連絡いたしましょうか。
伝言も受けられる形
申し訳ございません。
ただいま○○は席を外しております。
よろしければ、ご用件を承ります。
戻り時間がはっきりしないときの例文
戻り時間が読めないのに「すぐ戻ります」と言うのは危険です。
その場合は、言い切らずにまとめます。
無理に時間を断定しない形
申し訳ございません。
ただいま○○は席を外しておりまして、戻り時刻がはっきりしておりません。
戻りましたら、こちらからご連絡いたしましょうか。
相手の意向を優先する形
申し訳ございません。
ただいま○○は席を外しております。
お急ぎでしたら、ご用件を伺って申し伝えますが、いかがいたしましょうか。
外出中の例文
戻り予定がわかっているとき
申し訳ございません。
あいにく○○は外出しております。
○時頃に戻る予定でございます。
戻りましたら、折り返しご連絡いたしましょうか。
本日戻らないとき
申し訳ございません。
○○は本日外出しており、このあと戻らない予定でございます。
私でよろしければ、ご用件を承ります。
会議中の例文
終了予定がわかっているとき
申し訳ございません。
○○はただいま会議中でございます。
会議は○時頃に終了予定ですので、その後ご連絡いたしましょうか。
予定が伸びる可能性もあるとき
申し訳ございません。
○○は会議に入っております。
終了後に確認のうえ、こちらからご連絡いたします。
来客中・他の電話対応中の例文
来客中のとき
申し訳ございません。
○○はただいま来客中でございます。
終わり次第、折り返しご連絡いたしましょうか。
他の電話に出ているとき
申し訳ございません。
○○はただいま別の電話に出ております。
終わりましたら折り返しご連絡いたします。
休みのときの例文
当日休みの場合
申し訳ございません。
○○は本日休んでおります。
よろしければ、ご用件を承ります。
終日不在で伝えたい場合
申し訳ございません。
○○は本日終日不在でございます。
お急ぎでしたら、私から担当へ申し伝えます。
「席を外しております」を使うときの注意点
便利な表現ですが、使い方を誤ると不自然になったり、相手に期待を持たせすぎたりします。
「すぐ戻ります」と言い切らない
本人に確認していないのに、
- すぐ戻ります
- まもなく戻ります
- 10分ほどで戻ります
と断定するのは避けたほうが安全です。
本当に戻らなかった場合、相手に二度手間をかけてしまいます。
戻り時間が確実でないなら、
- 戻りましたらご連絡いたします
- 戻り次第、申し伝えます
- 戻り時刻ははっきりしておりません
のように伝えるほうが丁寧です。
「席を外されております」は基本的に使わない
「席を外されております」は、一見丁寧そうに見えますが、普段の不在対応では不自然になりやすい表現です。
外部の相手に自社の人について伝えるなら、過剰に持ち上げず、
- 席を外しております
- 外出しております
- 会議中でございます
など、落ち着いた言い方で十分です。
不在の理由をぼかしすぎない
反対に、何でもかんでも「席を外しております」で済ませるのも問題です。
特に次のような場面では、実態に合う言い方にしたほうが親切です。
- 社外に出ている → 外出しております
- 今日はいない → 本日休んでおります / 終日不在です
- 会議中 → 会議中でございます
ぼかしすぎると、相手の判断を邪魔してしまいます。
個人情報を伝えすぎない
不在対応では、親切心から情報を言いすぎないことも大切です。
たとえば、
- 個人の携帯番号
- 詳しい行き先
- 私的な不在理由
- 休みの事情
などは、安易に伝えないほうが安全です。
必要なのは、相手が次の行動を決められるだけの情報です。
不在対応でよくあるNG表現
ここでは、ありがちな言い方を自然な表現に直してみます。
NG1 ○○はいらっしゃいません
外部の相手に対して、自社の人を説明する場面ではあまり向きません。
言い換え例
申し訳ございません。○○はただいま席を外しております。
NG2 ○○は席を外されております
丁寧にしようとして不自然になりやすい言い方です。
言い換え例
○○は席を外しております。
NG3 今いません
意味は伝わりますが、ややぶっきらぼうです。
言い換え例
申し訳ございません。○○はただいま不在にしております。
NG4 あとでかけ直してください
相手任せに聞こえやすい言い方です。
言い換え例
戻りましたら、こちらからご連絡いたしましょうか。
NG5 何の用ですか
直接的すぎて強い印象になりやすい表現です。
言い換え例
差し支えなければ、ご用件を伺ってもよろしいでしょうか。
不在対応でメモしておきたい項目
不在対応は、言い方だけでなく伝言の正確さも重要です。
担当者に確実に引き継ぐため、次の項目は必ず押さえておきましょう。
- 相手の会社名
- 相手の氏名
- 連絡先
- 用件
- 折り返しが必要か
- 希望の時間帯
- 受電した日時
- 緊急度
電話中に慌てないよう、手元にメモ欄を用意しておくと安心です。
復唱するときの例
復唱は、短くても必ず入れたほうが安全です。
- ○○会社の△△様でいらっしゃいますね
- ご連絡先は、03-xxxx-xxxxでよろしいでしょうか
- ○○の件で、折り返しのご希望ということで承りました
ここまで確認できると、伝達ミスがかなり減ります。
「席を外しております」に関するよくある疑問
何分くらいの不在なら使ってよい?
厳密な分数の決まりがあるわけではありません。
ただ、感覚としては短時間の離席に向いています。
長めの会議、社外での予定、終日不在まで含めて使うと、相手に誤解を与えやすくなります。
迷ったら、「相手がこの言葉を聞いて、どれくらいで連絡がつくと受け取るか」で考えると判断しやすいです。
社内相手にも「席を外しております」でよい?
社内でも使えますが、外部対応ほど気を張る必要がない場面もあります。
たとえば社内のやり取りなら、
- ○○さん、今席外してます
- ○○は会議中です
のように少し簡潔でも問題ないことがあります。
ただし、社内でも役員対応や正式な電話では、丁寧な言い方に寄せたほうが無難です。
メールやチャットでも使える?
使えます。
ただし、メールやチャットでは電話よりも少し事務的に書くことが多いため、次のような言い方も自然です。
- ○○はただいま離席しております
- ○○は外出中です
- ○時頃に戻る予定です
- 戻り次第、確認のうえご連絡いたします
文章では、戻り予定や次の対応を一緒に書くと親切です。
不在対応の敬語で迷ったときの考え方
最後に、迷ったときの判断基準をひとつだけ覚えておくと便利です。
それは、事実に合った表現を、相手が次に動きやすい形で伝えることです。
不在対応で大事なのは、難しい敬語を並べることではありません。
- 不在の状況を正しく伝える
- 相手を待たせすぎない
- 次の対応を示す
- 自社の人を持ち上げすぎない
- 情報を言いすぎない
この5つを押さえれば、十分に感じのよい応対になります。
まとめ
「席を外しております」は、電話の不在対応でよく使う便利な敬語です。
ただし、向いているのは短時間の離席です。
自然に使うポイントは、次のとおりです。
- 短時間の不在には「席を外しております」
- 社外なら「外出しております」
- 会議なら「会議中でございます」
- 休みなら「本日休んでおります」「終日不在です」
- 不在だけで終わらせず、折り返し・伝言など次の対応を示す
- 戻り時間が不確かなときは断定しない
- 相手に伝えすぎず、必要な情報だけを丁寧に伝える
迷ったときは、まずこの一言から始めれば大きく外しません。
申し訳ございません。 ただいま○○は席を外しております。 戻りましたら、折り返しご連絡いたしましょうか。
この基本形を軸に、状況に応じて「外出」「会議中」「休み」へ言い換えていけば、不在対応の敬語はかなり安定します。
