電話で伝言を預かる場面は、短いやり取りの中で 敬語・確認・メモ を同時にこなす必要があります。
特に迷いやすいのは、
「預かりました」でよいのか、
「承りました」のほうがよいのか、
そして上司や担当者にどう残せばわかりやすいのか、という点です。
この記事では、電話口で使う敬語 と 電話メモに残す表現 を分けて、すぐ使える形でまとめます。
社外の相手に失礼がなく、社内では伝わりやすい書き方がわかるようにしています。
伝言を預かるときの敬語は「承りました」を軸に考える
電話で相手から伝言を受けるときは、まず 「かしこまりました」「承知いたしました」「ご伝言を承りました」 などの表現を軸にすると、丁寧で無難です。あわせて、内容を 復唱して確認する ところまでできると、伝達ミスを防ぎやすくなります。電話応対の解説でも、伝言を受けた後は復唱し、「承りました」と確認する流れが基本として示されています。
「預かりました」が完全に誤りというわけではありません。
ただ、社外の電話 では「承りました」のほうが改まった印象になりやすく、迷ったときの第一候補として使いやすい表現です。
「承りました」と「申し伝えます」の使い分け
役割は次のように考えると整理しやすいです。
| 表現 | 使う場面 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 承りました | 相手から伝言を受けたとき | 確かに受けたことを丁寧に示す |
| 申し伝えます | 担当者・上司へ伝えると相手に伝えるとき | 受けた内容を責任を持って伝える |
| お伝えします | やややわらかめに伝えるとき | 丁寧だが少しかたい印象は弱め |
使い方の例は次の通りです。
- 「かしこまりました。ご伝言を承りました」
- 「その件、担当者に申し伝えます」
- 「戻り次第、お伝えいたします」
避けたい言い方
次のような表現は、社外の電話では少しくだけて聞こえやすいです。
- 「伝えておきます」
- 「聞いておきます」
- 「言っておきます」
- 「たぶん伝わると思います」
軽く聞こえるだけでなく、責任を持って受けた感じが弱くなる のが難点です。
短くても、「承りました」「申し伝えます」 に置き換えるだけで印象はかなり整います。
「伺う」は相手の動作には使わない
電話応対では、つい「担当者に伺ってください」と言いたくなることがありますが、この言い方は避けたほうが安心です。文化庁は「伺う」を謙譲語Iとして説明しており、客の動作に用いる敬語ではない としています。相手の動作には「お聞きください」「お尋ねください」のような言い方が適切です。
たとえば、
- × 担当者に伺ってください
- ○ 担当者にお聞きください
- ○ 担当者にお尋ねください
とすると自然です。
電話で伝言を預かるときの流れ
伝言対応は、流れを決めておくと落ち着いて対応できます。
1. 不在を簡潔に伝える
まずは担当者が出られないことを、短く丁寧に伝えます。
- 「申し訳ございません。〇〇はただいま席を外しております」
- 「あいにく〇〇は外出しておりまして、16時ごろ戻る予定でございます」
不在時の案内では、詳細な休みの理由を話しすぎない ことも大切です。公開されている電話応対の解説でも、休暇理由を細かく伝えないこと、個人連絡先を勝手に伝えないことが案内されています。
2. 伝言か折り返しかを確認する
不在を伝えた後は、相手任せにせず、次の一手をこちらから示すと親切です。
- 「よろしければ、ご伝言を承ります」
- 「戻り次第、折り返しお電話いたしましょうか」
不在時には、伝言を承る か 折り返しを提案する かを示す流れが、電話応対の例文でもよく使われています。
3. 内容・連絡先・希望時間を確認する
伝言を受けるときは、内容だけで終わらせず、必要に応じて次の点も確認します。
- 用件
- 折り返しの要否
- 電話番号
- 希望時間帯
- 期限や急ぎかどうか
特に 折り返し希望の時間帯 があるかは重要です。
せっかく折り返しても行き違いになると、相手にも社内にも負担が増えます。
4. 復唱して締める
最後は、受けた内容を短く復唱します。
- 「念のため復唱いたします」
- 「〇〇の件で、本日17時以降に折り返しをご希望とのことでよろしいでしょうか」
- 「かしこまりました。私、山本が承りました」
復唱+自分の名乗り があると、相手は安心しやすくなります。
また、あとで社内確認が必要になったときも、誰が受けた電話かが明確です。
電話口でそのまま使える表現
ここでは、電話口でそのまま使いやすい表現を場面別にまとめます。
伝言を受けるとき
- 「かしこまりました。ご伝言を承ります」
- 「承知いたしました。私でよろしければ承ります」
- 「かしこまりました。担当者に申し伝えます」
- 「確かに承りました」
内容を確認するとき
- 「念のため、内容を復唱いたします」
- 「〇〇の件でご連絡をいただいた、ということでよろしいでしょうか」
- 「本日中の折り返しをご希望とのことでよろしいでしょうか」
- 「お電話番号は、〇〇でお間違いないでしょうか」
折り返しを提案するとき
- 「戻り次第、折り返しお電話いたしましょうか」
- 「担当者よりお電話を差し上げます」
- 「差し支えなければ、ご都合のよいお時間を伺ってもよろしいでしょうか」
聞き取りにくかったとき
- 「恐れ入りますが、もう一度お願いできますでしょうか」
- 「お会社名をあらためて伺ってもよろしいでしょうか」
- 「念のため、漢字をお伺いしてもよろしいでしょうか」
- 「復唱いたしますので、ご確認をお願いいたします」
電話を終えるとき
- 「承知いたしました。担当者に申し伝えます」
- 「私、〇〇が承りました。お電話ありがとうございました」
- 「失礼いたします」
電話メモでそのまま使える書き方
電話口では丁寧に、メモでは 正確に・短く・見やすく が基本です。
メモに入れるべき項目
電話伝言メモには、最低限次の項目を入れておくと実務で困りにくくなります。
- 受電日時
- 相手の会社名・氏名
- 誰宛ての電話か
- 用件
- 折り返しの要否
- 連絡先
- 希望時間帯
- 受電者名
電話メモの項目としては、いつ・誰から・どんな用件・連絡先・誰が受けたか が基本とされ、テンプレート化しておくと実務が速くなると紹介されています。
すぐ使える電話メモのテンプレート
そのまま使いやすい形にすると、次のようになります。
基本テンプレート
- 日時:
- 相手:
- 会社名:
- 宛先:
- 用件:
- 折り返し:
- 連絡先:
- 希望時間:
- 受電者:
1行でまとめるテンプレート
- 「〇〇株式会社△△様よりTEL。〇〇の件。折り返し希望。連絡先〇〇。本日16時以降ご都合よいとのこと。受電:山本」
このように 1行で読める形 にしておくと、忙しい上司や担当者でも把握しやすくなります。
上司に残すメモは「丁寧すぎる文章」より「伝わる文章」
電話口では敬語が大切ですが、社内の電話メモ は過度にかしこまらなくて構いません。
重要なのは、相手の敬意を保ちながら、担当者がすぐ行動できる形で残すことです。
たとえば、
- 電話口:「かしこまりました。ご伝言を承りました」
- メモ :「〇〇様よりTEL。見積書の件で折り返し希望」
のように、電話口とメモで文体を分ける と実務的です。
電話メモでそのまま使える表現集
ここでは、電話口の言い方 と メモの残し方 をセットで載せます。
折り返しをお願いされたとき
電話口
「かしこまりました。〇〇様より、戻り次第お電話をいただきたいとのご伝言を承りました」
メモ
「〇〇株式会社△△様よりTEL。戻り次第、折り返し希望。連絡先〇〇」
来社予定の連絡を受けたとき
電話口
「承知いたしました。明日14時ごろご来社予定とのこと、担当者に申し伝えます」
メモ
「△△様よりTEL。明日14時ごろ来社予定とのこと」
書類・見積書の確認依頼を受けたとき
電話口
「かしこまりました。見積書をご確認のうえ、ご連絡をいただきたいとのことですね。承りました」
メモ
「〇〇様よりTEL。見積書確認後、折り返し依頼あり」
至急連絡してほしいと言われたとき
電話口
「承知いたしました。至急ご連絡をご希望とのこと、担当者に申し伝えます」
メモ
「〇〇様よりTEL。至急折り返し希望」
※ ただし、本当に急ぎか、いつまでか は必ず確認しておくと実務で助かります。
相手がまたかけ直すと言ったとき
電話口
「かしこまりました。それでは、その旨を担当者に申し伝えます」
メモ
「〇〇様よりTEL。後ほど再度お電話予定とのこと」
自分から一言添えて親切にしたいとき
電話口
「戻り次第、こちらから折り返しのお電話を差し上げることも可能ですが、いかがなさいますか」
メモ
「折り返し可。ご希望あれば対応」
伝言対応でやりがちなNG
「聞いておきます」「言っておきます」で済ませる
くだけた印象が強く、社外対応ではやや軽く聞こえます。
「承りました」「申し伝えます」 に置き換えるだけで、印象は安定します。
不在理由を詳しく話しすぎる
「私用で休みです」「午前中から病院で」など、必要以上に詳しく伝える必要はありません。
不在案内は 簡潔に が基本です。
復唱せずに切る
伝言は、聞き間違い・書き間違い・伝え漏れが起こりやすい場面です。
特に 会社名・氏名・電話番号・期限 は復唱して確認しておきましょう。
メモに主語がない
「折り返しください」だけでは、誰が・誰に・何の件で がわかりません。
悪い例
「折り返しお願いします」
よい例
「〇〇株式会社△△様よりTEL。契約書の件で折り返し希望。連絡先〇〇」
口頭の敬語をそのまま長文でメモにする
メモは会話文ではありません。
長い敬語をそのまま写すより、要点を短く整理したほうが伝わります。
悪い例
「〇〇様が、戻られましたらお電話をいただければとのことでございました」
よい例
「〇〇様よりTEL。戻り次第、折り返し希望」
迷ったときの結論
迷ったら、次の形で覚えておけば十分対応できます。
電話口
「かしこまりました。ご伝言を承りました。担当者に申し伝えます」
メモ
「〇〇様よりTEL。〇〇の件。折り返し希望。連絡先〇〇」
この2本を基準にして、
必要に応じて 期限・希望時間・来社予定 を足していけば、実務ではかなり困りにくくなります。
まとめ
「伝言を預かる」場面で大切なのは、難しい敬語を並べることではありません。
大事なのは、
- 電話口では丁寧に受ける
- 内容を復唱して確認する
- メモでは短く正確に残す
- 担当者が動ける情報まで書く
この4つです。
社外の電話では 「承りました」「申し伝えます」 を軸にし、
社内メモでは 「誰が・何の件で・どうしてほしいか」 を一目でわかる形にする。
それだけで、電話応対の印象も、伝言の伝わりやすさも大きく変わります。
