会議では、正しい敬語を使うことだけが大切なのではありません。
相手への配慮を示しながら、短く・わかりやすく・角が立たない形で伝えることが重要です。
特に会議では、次の3つがそろうと印象がよくなります。
- 発言の前にひと言添える
- 結論を先に述べる
- 相手の意見を受けてから自分の考えを伝える
敬語が丁寧でも、話が長いと伝わりにくくなります。
反対に、短くても言い方が強いと場の空気を悪くしてしまいます。
この記事では、会議で使う敬語を
発言・質問・意見の3場面に分けて、すぐ使える形で整理します。
会議で使う敬語の基本
会議の敬語は、難しい言葉を並べることではありません。
基本は、次の3点です。
相手を立てながら、自分は控えめに話す
会議では、相手の発言や判断には敬意を示し、自分の発言は押しつけにならないように表現します。
たとえば、
- × それは違うと思います
- ○ その点は理解しておりますが、別の見方もできるかと存じます
このように、相手を受け止めてから述べるだけで印象は大きく変わります。
結論から先に話す
会議では、前置きが長いと要点がぼやけます。
敬語であっても、話し方は簡潔にするのが基本です。
おすすめは、次の順番です。
- 結論
- 理由
- 補足や提案
たとえば、
- 「私は賛成です。理由は、現場での運用負担が比較的少ないためです。」
- 「現時点では難しいと考えます。コスト面の課題が大きいためです。」
「丁寧」と「回りくどい」を混同しない
会議では、丁寧に言おうとして
「〜させていただきます」を重ねすぎたり、
「思います」を何度も使ったりすると、かえって弱く聞こえます。
たとえば、
- × ご説明させていただきたいと思っております
- ○ ご説明いたします
- × 私はこの案がよいと思います
- ○ この案が適切だと考えます
短く整えること自体が、聞き手への配慮です。
会議で発言する時の敬語
まずは、会議で口を開くときの基本表現から見ていきましょう。
発言を始める前のひと言
急に話し始めるより、ひと言添えるほうが自然です。
そのまま使いやすい表現
- ひと言よろしいでしょうか。
- この点について、発言してもよろしいでしょうか。
- 1点、補足してもよろしいでしょうか。
- こちらの件について、共有させてください。
- 少し観点を変えて申し上げます。
会議で発言する時は、「今から話します」という合図があると、進行がなめらかになります。
発言の基本形は「結論→理由→提案」
発言がまとまりやすい型は、次の形です。
使いやすい型
- 結論から申し上げますと、〜です。
- 私は〜と考えます。理由は〜です。
- 現時点では〜が適切だと判断しております。
- 課題は〜だと考えます。そのため、〜を提案いたします。
この型を使うと、丁寧さとわかりやすさを両立しやすくなります。
発言をやわらかくするクッション表現
断定が強すぎると、会議では受け入れられにくいことがあります。
そんな時は、やわらかい前置きを使います。
- 私の理解では、〜です。
- 現場の感覚としては、〜という印象です。
- 一案としては、〜が考えられます。
- 可能性の一つとして、〜が挙げられます。
- 補足的に申し上げると、〜です。
言い切りすぎず、曖昧すぎない形が理想です。
会議で質問する時の敬語
質問では、内容そのものよりも、聞き方で印象が変わります。
相手を責めるように聞こえないことが大切です。
質問の前に許可を取る
いきなり質問するより、前置きがあるほうが丁寧です。
- 1点、質問してもよろしいでしょうか。
- 確認したい点があるのですが、よろしいでしょうか。
- この点について、お伺いしてもよろしいでしょうか。
- 念のため確認させてください。
特に会議では、「質問」より「確認」のほうがやわらかく伝わる場面が多くあります。
相手が答えやすい質問にする
質問は、丁寧さだけでなく、具体性も重要です。
悪い例
- ちょっとよくわからないのですが……
- それってどういうことですか?
- 何が言いたいんですか?
良い例
- 確認させていただきたいのですが、こちらは来月開始という理解でよろしいでしょうか。
- 今のご説明について、対象部署をもう少し具体的にお聞きしてもよろしいでしょうか。
- 進め方について、A案とB案の違いを教えていただけますか。
ポイントは、相手が何に答えればよいかを明確にすることです。
聞き返す時は「理解不足」ではなく「確認」に置き換える
会議中、内容がつかみにくい場面はよくあります。
その時に率直すぎる言い方をすると、相手の面目をつぶしてしまうことがあります。
使いやすい言い換え
- 確認させていただきたいのですが、〜という趣旨でしょうか。
- 私の理解が追いついていなければ恐縮ですが、〜という認識でよろしいでしょうか。
- 念のため整理すると、〜ということですね。
- こちらは、〜と読み取って差し支えないでしょうか。
「わからない」と言うより、自分の理解を確認する形にすると場が荒れにくくなります。
会議で意見を伝える時の敬語
会議で難しいのは、意見そのものより、賛成・反対・提案をどう言うかです。
特に反対意見は、言い方を整えるだけで受け入れられやすくなります。
賛成意見を伝える言い方
- 私もその点は賛成です。
- その方向性で問題ないと考えます。
- 今のご意見に補足する形で、私も同様に考えております。
- 現場目線でも、その案は進めやすいと思います。
- その案は実現性が高いと感じます。
賛成だけで終わらず、理由をひと言添えると発言の価値が上がります。
別の意見を出す時の言い方
- 別の観点から申し上げますと、〜です。
- 補足的に申し上げると、〜という見方もできるかと思います。
- もう一つの案として、〜も検討できるのではないでしょうか。
- 現場運用を踏まえると、〜という方法もありそうです。
「反論」ではなく、追加提案として見せると通りやすくなります。
反対意見を角を立てずに伝える言い方
- ご意見はもっともだと思いますが、懸念点もございます。
- おっしゃることは理解しておりますが、現時点では慎重に見たほうがよいと考えます。
- 方向性には賛成ですが、実行時期については再検討の余地があるかと思います。
- その案も有力ですが、コスト面を考えると別案も必要かと存じます。
- 反対というより、条件整理が必要だと感じております。
会議で大切なのは、最初に受け止めることです。
いきなり「でも」「違います」で入ると、必要以上に対立が強まります。
提案として伝える時の言い方
- 提案なのですが、〜としてはいかがでしょうか。
- 対応案として、〜を進めるのがよいと考えます。
- まずは〜から着手する形で進めてはいかがでしょうか。
- 現実的な案として、〜を提案いたします。
- 今回は〜に絞って進める方法もあるかと存じます。
「私はこう思います」だけで終えるより、提案の形にするほうが会議向きです。
会議でそのまま使える敬語フレーズ集
すぐ使えるように、場面別にまとめます。
| 場面 | 使いやすい敬語表現 | ポイント |
|---|---|---|
| 発言を始める | ひと言よろしいでしょうか | 話し出しを自然にする |
| 補足する | 1点、補足いたします | 短く入る |
| 質問する | 1点、お伺いしてもよろしいでしょうか | 丁寧に許可を取る |
| 確認する | 念のため確認させてください | やわらかく聞ける |
| 賛成する | 私もその点は賛成です | まず立場を示す |
| 別案を出す | 別の観点から申し上げますと | 対立感を弱める |
| 反対を伝える | ご意見はもっともですが、懸念もございます | 受け止めてから述べる |
| 提案する | 〜としてはいかがでしょうか | 押しつけになりにくい |
| 話を戻す | 本題に戻しますと、〜です | 脱線を防ぐ |
| 締める | 以上が私の意見です | 発言の終わりを明確にする |
会議で避けたいNG敬語
ここでは、ありがちな言い方を整理します。
強すぎる言い方
- × それは違います
- × いや、そうじゃないです
- × でも、それは無理です
言い換え例
- ○ その点は理解しておりますが、別の懸念がございます
- ○ 現時点では難しい面もあるかと考えます
- ○ 別案も含めて検討したほうがよさそうです
曖昧すぎる言い方
- × なんとなく違う気がします
- × たぶん厳しいと思います
- × ちょっと微妙です
言い換え例
- ○ スケジュール面で課題があると考えます
- ○ コスト面からは慎重に判断すべきだと思います
- ○ 実行条件を整理した上で判断するのが適切です
回りくどい言い方
- × ご説明させていただきたいと思います
- × お伺いさせていただきます
- × ご質問させていただいてもよろしかったでしょうか
言い換え例
- ○ ご説明いたします
- ○ お伺いします
- ○ 質問してもよろしいでしょうか
丁寧にしようとして長くなるより、自然で過不足のない表現のほうが好印象です。
会議で発言しやすくなる伝え方のコツ
敬語だけ整えても、発言しづらさが消えないことはあります。
そこで、実際に使いやすいコツを3つに絞って紹介します。
最初の一文を決めておく
会議で詰まりやすい人は、内容より出だしで迷っています。
次の一文を準備しておくと、かなり話しやすくなります。
- ひと言よろしいでしょうか。
- 結論から申し上げますと、〜です。
- 1点、確認させてください。
- 別の観点から申し上げますと、〜です。
意見は「否定」より「提案」で出す
- × その案はよくないです
- ○ その案も理解できますが、今回はA案のほうが進めやすいと考えます
会議では、勝ち負けではなく、よりよい案に近づける姿勢が大切です。
長く話しすぎない
敬語が丁寧でも、話が長いと要点が埋もれます。
目安は、まず30秒で結論まで言うことです。
そのあと必要に応じて、
- 理由
- 具体例
- 提案
を足していくと、聞き手にやさしい発言になります。
会議で使う敬語の例文
最後に、会議で使いやすい例文をまとめます。
発言の例文
- ひと言よろしいでしょうか。結論から申し上げますと、私はA案が適切だと考えます。
- 補足いたします。現場での運用負担を考えると、現行案のままでは難しい場面が出てきそうです。
- 本題に沿って申し上げますと、優先順位の整理が必要だと思われます。
質問の例文
- 1点、確認させていただきたいのですが、開始時期は来月で確定でしょうか。
- この点について、お伺いしてもよろしいでしょうか。対象部署は営業部のみでしょうか。
- 念のため確認ですが、今回の方針は既存顧客向けを優先するという理解でよろしいでしょうか。
意見の例文
- 私も方向性には賛成です。ただ、予算面の確認は必要かと存じます。
- ご意見はもっともですが、現場の負担を考えると段階的な導入がよいと考えます。
- 提案なのですが、まずは一部部署で試験運用してはいかがでしょうか。
- 別の観点から申し上げますと、顧客対応への影響も見ておく必要があるかと思います。
まとめ
会議で使う敬語は、難しい表現を増やすことよりも、伝わりやすく整えることが大切です。
押さえたいポイントは次の通りです。
- 発言の前にひと言添える
- 結論から話す
- 質問は「確認」の形にするとやわらかい
- 意見は「否定」ではなく「提案」に近づける
- 丁寧すぎて長くならないようにする
迷った時は、次の3つを軸にすると会議で使いやすくなります。
- 発言する時:「結論から申し上げますと」
- 質問する時:「確認させていただきたいのですが」
- 意見を伝える時:「〜という案もあるかと存じます」
この3つを使えるだけでも、会議での話し方はかなり整います。
まずは、自分がよく使う場面から少しずつ置き換えていきましょう。
