面接では、難しい敬語をたくさん使うことよりも、失礼がなく、聞き取りやすく、自然に伝わることが大切です。
とくに見られやすいのは、次の3つです。
- 自分をどう呼ぶか
- 相手や会社をどう呼ぶか
- 入退室や受け答えで、言葉づかいがぶれないか
この記事では、面接で使いやすい敬語を、受付・入室・着席・受け答え・逆質問・退室まで場面別にまとめます。
そのまま使いやすい例文を多めに入れているので、面接前の確認用としても使えます。
面接の敬語で最初に押さえたい基本
自分のことは「わたくし」か「わたし」を使う
面接では、普段の「僕」「俺」「うち」は避けましょう。
もっとも無難で丁寧なのは「わたくし」です。
少し改まった印象になりますが、面接では自然です。
緊張すると普段の一人称が出やすいので、最初の自己紹介だけでも「わたくし」にそろえておくと安定します。
話し言葉では「御社」、書き言葉では「貴社」
面接で話すときは、応募先の会社を「御社」と呼びます。
履歴書やメールなど、書くときは「貴社」です。
面接中に「貴社」と言ってしまっても即不合格になるようなものではありませんが、基本としては会話では御社と覚えておくと安心です。
敬語は「盛る」より「整える」
面接でありがちなのが、丁寧にしようとして不自然になることです。
たとえば、
- 「志望させていただきました」
- 「拝見いたしました」
- 「ご質問させていただいてよろしいでしょうか」
のような言い方は、丁寧そうに見えて重たくなりがちです。
面接では、短く・はっきり・自然に言えたほうが好印象です。
迷ったら、難しい表現よりも、シンプルで失礼のない言い方を選びましょう。
面接でそのまま使える敬語一覧【早見表】
| 場面 | 使える表現 | 避けたい表現 |
|---|---|---|
| 受付 | 「本日○時より面接のお約束をいただいております、○○と申します」 | 「面接に来ました」「○○です」 |
| 入室 | 「失礼いたします」 | 「失礼しますー」 |
| 着席 | 「失礼いたします」 | 何も言わずに座る |
| 自己紹介 | 「○○大学の○○と申します。本日はよろしくお願いいたします」 | 「○○です。よろしくお願いします」 |
| 質問への返答開始 | 「はい、お答えいたします」 | 「えっと」「そうですねー」 |
| 聞き返す | 「恐れ入ります。もう一度お願いいたします」 | 「え?」「もう一回いいですか」 |
| 少し考える | 「少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」 | 「ちょっと待ってください」 |
| 同意する | 「承知いたしました」「かしこまりました」 | 「了解です」「わかりました」 |
| 断定を和らげる | 「〜と考えております」「〜と存じます」 | 「絶対〜です」「完全に〜です」 |
| 逆質問 | 「一点、伺ってもよろしいでしょうか」 | 「質問いいですか」 |
| 退室 | 「本日はありがとうございました。失礼いたします」 | 「ありがとうございましたー」 |
受付で使う敬語
受付で最初に伝えること
受付では、長く話す必要はありません。
用件・名前・約束の時間が伝われば十分です。
使いやすい表現は次のとおりです。
基本の言い方
- 「本日○時より面接のお約束をいただいております、○○と申します」
- 「採用面接で伺いました、○○と申します」
- 「人事部の○○様に面接のお約束をいただいております、○○と申します」
受付で案内されたときの返し方
- 「ありがとうございます」
- 「承知いたしました」
- 「かしこまりました」
受付で避けたい言い方
- 「面接に来ました」
- 「○○です」
- 「すみません、呼んでもらえますか」
- 「ちょっと待ってればいいですか」
受付も面接の一部です。
言葉だけでなく、声量・表情・立ち姿も見られている意識を持っておきましょう。
入室から着席までの敬語と流れ
入室前に覚えておきたい流れ
入室では、言葉と動作がセットです。
流れを先に覚えておくと、敬語も崩れにくくなります。
基本の流れ
- ノックする
- 「どうぞ」と言われてから入室する
- ドアを閉める
- 面接官のほうを向いて「失礼いたします」と言う
- 椅子の横まで進む
- 自己紹介をする
- 「どうぞお掛けください」と言われてから「失礼いたします」と言って座る
入室で使える表現
ドアを開けて入るとき
- 「失礼いたします」
これだけで十分です。
長く言おうとして言葉が詰まるより、短くはっきり言うほうが自然です。
椅子の横でのあいさつ
- 「○○大学の○○と申します。本日はよろしくお願いいたします」
- 「本日面接に参りました、○○と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
学生なら学校名、転職なら現職や職歴を無理に入れなくても大丈夫です。
まずは名前を明確に伝えることを優先しましょう。
着席するとき
- 「失礼いたします」
座る前に一言あるだけで、印象がかなり整います。
面接中の受け答えで使える敬語
質問に答え始めるときの表現
いきなり本題に入っても問題ありませんが、最初の一言があると落ち着いて見えます。
使いやすい出だし
- 「はい、お答えいたします」
- 「はい、志望理由は大きく二点ございます」
- 「はい、○○と考えております」
とくにおすすめなのは、結論を先に短く言うことです。
敬語が多少完璧でなくても、話が整理されているほうが伝わります。
志望動機で使いやすい表現
言いやすくて固すぎない表現
- 「御社を志望した理由は、○○に魅力を感じたためです」
- 「とくに○○の点に魅力を感じ、志望いたしました」
- 「これまでの経験を生かし、御社に貢献したいと考えております」
やわらかく整える表現
- 「〜と感じております」
- 「〜と考えております」
- 「〜したいと考えております」
- 「〜に取り組みたいと考えております」
「思います」でも間違いではありませんが、何度も続くと少し幼く見えます。
「考えております」や「存じます」を適度に混ぜると、文章が整います。
自己PRで使いやすい表現
- 「私の強みは、○○です」
- 「前職では、○○を意識して取り組んでまいりました」
- 「その経験を通して、○○の力を身につけました」
- 「御社でも、この経験を生かせると考えております」
自己PRでは、敬語を難しくするよりも、具体例を一つ入れることのほうが重要です。
聞き取れなかったとき・考えたいときの敬語
質問を聞き返したいとき
聞き返すこと自体は失礼ではありません。
聞こえたふりをしてずれた回答をするほうが、かえって印象を下げます。
使える表現
- 「恐れ入ります。もう一度お願いいたします」
- 「申し訳ございません。もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」
- 「確認させていただいてもよろしいでしょうか。○○というご質問でよろしいでしょうか」
少し考える時間がほしいとき
- 「少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」
- 「整理してお答えしますので、少々お時間をいただけますでしょうか」
沈黙が怖くてすぐ話し始めるより、こうした一言を入れたほうが落ち着いて見えます。
面接でよく使う言い換え一覧
返事・同意の言い換え
| くだけた言い方 | 面接で使いやすい言い方 |
|---|---|
| わかりました | 承知いたしました |
| 了解しました | かしこまりました |
| いいですか | よろしいでしょうか |
| いいと思います | よいと考えております |
| そうです | そのとおりでございます |
時間・順序を表す言い換え
| 普段の言い方 | 面接向きの言い方 |
|---|---|
| さっき | 先ほど |
| ちょっと | 少々 |
| あとで | のちほど |
| 今の会社 | 現職 |
| 前の会社 | 前職 |
感情や評価の言い換え
| くだけた言い方 | 面接で使いやすい言い方 |
|---|---|
| すごく | 非常に / 大変 |
| うれしかったです | うれしく感じました / 光栄に存じました |
| 頑張ります | 努力いたします / 尽力いたします |
| 大丈夫です | 問題ございません / 差し支えありません |
| 知りません | 存じ上げません / 承知しておりません |
面接で間違えやすいNG敬語
「御社」と「貴社」を混同する
面接は話し言葉なので御社です。
書類やメールは貴社です。
この基本は、面接直前に必ず確認しておきましょう。
「了解しました」を使う
「了解しました」は日常ではよく使われますが、面接ではややくだけて聞こえます。
迷ったら次のどちらかで十分です。
- 「承知いたしました」
- 「かしこまりました」
「大丈夫です」を多用する
「大丈夫です」は便利ですが、意味があいまいです。
たとえば、
- 質問に答えて「大丈夫です」
- 断るときに「大丈夫です」
- 確認に対して「大丈夫です」
のように、場面によって意味が変わります。
面接では、次のように言い換えると明確です。
- 「問題ございません」
- 「差し支えありません」
- 「結構でございます」
- 「お気遣いありがとうございます」
「させていただきます」を使いすぎる
「させていただきます」は便利ですが、何度も使うと不自然になります。
たとえば、
- 「志望させていただきました」
- 「担当させていただいておりました」
- 「質問させていただいてもよろしいでしょうか」
のように続くと、くどく見えます。
言い換えは次のとおりです。
- 「志望いたしました」
- 「担当しておりました」
- 「伺ってもよろしいでしょうか」
「なので」「だから」「やっぱり」をそのまま使う
会話のクセで出やすい言葉ですが、面接では少し幼く聞こえます。
言い換えの目安は次のとおりです。
- なので → ですので
- だから → そのため
- やっぱり → やはり
逆質問で使える敬語
逆質問の入り方
逆質問は、内容だけでなく、入り方も大切です。
いきなり話し始めるより、短い前置きを入れると丁寧です。
使いやすい表現
- 「一点、伺ってもよろしいでしょうか」
- 「差し支えなければ、○○について伺いたいです」
- 「最後に一点、ご質問してもよろしいでしょうか」
逆質問の具体例
- 「入社までに身につけておくべきことがございましたら、教えていただけますでしょうか」
- 「配属後、最初に担当する業務のイメージを伺ってもよろしいでしょうか」
- 「活躍されている方に共通する特徴があれば、お聞かせいただけますでしょうか」
逆質問では、難しい敬語よりも、相手が答えやすい聞き方が大切です。
退室で使う敬語
面接終了時の一言
面接の終わりは、意外と印象に残ります。
最後まで丁寧に締めましょう。
基本の表現
- 「本日はありがとうございました」
- 「本日はお忙しい中、ありがとうございました」
退室時の表現
椅子の横でお礼を伝えたあと、ドアの前でもう一度一礼し、次のように言えれば十分です。
- 「失礼いたします」
長く言い足す必要はありません。
最後まで落ち着いて、静かにドアを閉めましょう。
面接で敬語が崩れにくくなるコツ
一文を短くする
敬語が崩れやすい人ほど、一文が長くなりがちです。
長く話そうとすると、語尾や接続が乱れやすくなります。
たとえば、
「御社はすごく雰囲気が良くて、なので自分としてはここで頑張りたいと思っていて…」
よりも、
「御社の社風に魅力を感じました。
とくに、○○の点に共感しております。
そのため、志望いたしました。」
のほうが、ずっと整って聞こえます。
語尾をそろえる
面接では、語尾がぶれると落ち着きがない印象になりやすいです。
基本は次の3つで回せます。
- です
- ます
- しております
- 考えております
これだけでも十分です。
話し出す前に結論を決める
敬語が苦手な人ほど、先に内容を決めてから話したほうがうまくいきます。
おすすめは次の順番です。
- 結論
- 理由
- 具体例
- まとめ
内容が整理されると、言葉づかいも安定します。
面接前日に確認したい敬語チェックリスト
- 一人称は「わたくし」か「わたし」にできている
- 話すときは「御社」になっている
- 「了解しました」を「承知いたしました」に直せる
- 「大丈夫です」を別の表現に言い換えられる
- 「させていただきます」を使いすぎていない
- 受付・入室・着席・退室の一言を口に出して練習した
- 聞き返すときの一言を準備した
- 逆質問の入り方を決めてある
面接敬語の例文まとめ【そのまま練習用】
受付
「本日10時より面接のお約束をいただいております、山田と申します。」
入室
「失礼いたします。」
椅子の横でのあいさつ
「○○大学の山田と申します。本日はよろしくお願いいたします。」
着席
「失礼いたします。」
質問に答えるとき
「はい、志望理由は二点ございます。
一つ目は、○○に魅力を感じたためです。
二つ目は、これまでの経験を生かせると考えているためです。」
聞き返すとき
「恐れ入ります。もう一度お願いいたします。」
逆質問
「一点、伺ってもよろしいでしょうか。
入社までに学んでおくとよいことがございましたら、教えていただけますでしょうか。」
退室
「本日はありがとうございました。失礼いたします。」
まとめ
面接の敬語は、完璧さより安定感が大切です。
押さえるべきポイントは多くありません。
- 自分は「わたくし」
- 話すときの会社名は「御社」
- 入退室の一言を決めておく
- 「了解しました」「大丈夫です」を多用しない
- 長すぎる敬語より、短く自然な表現を選ぶ
敬語に自信がない場合は、まず受付・入室・着席・聞き返し・退室の5か所だけでも練習しておきましょう。
それだけでも、面接全体の印象はかなり整います。
