新社会人になると、敬語に苦手意識を持つ人は少なくありません。
しかし、最初から完璧を目指す必要はありません。
大切なのは、失礼になりにくい基本を先に覚えることです。
難しい表現をたくさん知るよりも、よく使う言い回しを自然に使えるほうが、仕事ではずっと役に立ちます。
敬語は、ただ堅く話すためのものではありません。
相手や場面に配慮して、気持ちよくやり取りするための言葉です。
この記事では、新社会人がまず押さえたい敬語を、基本・定番フレーズ・電話・メール・NG例にしぼって、わかりやすく整理します。
新社会人の敬語は「全部」ではなく「最低限」からで大丈夫
新社会人が最初に困るのは、難しい敬語そのものではありません。
むしろ、
- 返事をするとき
- 上司に話しかけるとき
- 電話を取るとき
- メールを書くとき
- 謝るときやお願いするとき
このような毎日ある場面で、何と言えばよいかわからないことです。
だからこそ、最初に覚えるべきなのは、辞書のような大量の敬語ではなく、使う頻度が高い定番表現です。
まずは次の考え方を持っておくと安心です。
敬語の基本はこの3つです。
- 相手の動作を高める
- 自分の動作をへりくだる
- 文章全体を丁寧にする
この3つだけ意識するだけでも、言葉選びはかなり安定します。
新社会人が最初に覚えたい敬語の基本
敬語はまず3種類で覚えると実務で使いやすい
学校では敬語を難しく感じた人も多いかもしれません。
ですが、仕事ではまず次の3つで整理すると理解しやすくなります。
| 種類 | どういうときに使うか | 例 |
|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手や相手側の動作を高める | いらっしゃる、おっしゃる、ご覧になる |
| 謙譲語 | 自分や自分側の動作をへりくだって伝える | 伺う、申し上げる、拝見する |
| 丁寧語 | 文全体を丁寧にする | です、ます、ございます |
迷ったら「誰の動作か」で考える
敬語がわからなくなったら、まずはその動作をするのが誰かを考えましょう。
- 相手がすることなら尊敬語
- 自分がすることなら謙譲語
- そこまで変換が難しければ、まずは丁寧語
たとえば、「見る」なら次のように変わります。
- 相手が見る → ご覧になる
- 自分が見る → 拝見する
- 丁寧に言う → 見ます
この考え方だけでも、多くの場面に対応できます。
最初から細かい分類まで覚えなくてもよい
敬語はさらに細かく分けて考えることもできます。
ただ、新社会人の最初の段階では、3種類をしっかり区別できれば十分実用的です。
むしろ、細かい理屈を詰め込みすぎるより、よく使う表現を口に慣らすことのほうが大切です。
新社会人が最低限覚えるべき敬語フレーズ一覧
まずは、以下の表にある言い方をそのまま使えるようにしておくと安心です。
| 場面 | まず避けたい言い方 | 最低限これを使えば安心 |
|---|---|---|
| 返事 | わかりました | 承知しました/かしこまりました |
| お礼 | どうもです | ありがとうございます |
| 謝罪 | すみません/ごめんなさい | 申し訳ございません |
| 依頼 | これお願いします | お願いできますでしょうか |
| 聞き返し | え? | 恐れ入りますが、もう一度お願いいたします |
| 待ってもらう | ちょっと待ってください | 少々お待ちください |
| 不在を伝える | いません | ただいま席を外しております |
| 初対面 | はじめまして | はじめまして、〇〇と申します |
| 退社 | 先に帰ります | お先に失礼いたします |
| 会社の呼び方 | あなたの会社/うちの会社 | 御社・貴社/弊社 |
まずはこの8フレーズを暗記すればかなり安心
新社会人の最低限フレーズとして、特に先に覚えたいのは次の8つです。
- おはようございます
- お疲れさまです
- 承知しました
- かしこまりました
- 恐れ入りますが
- 少々お待ちください
- ありがとうございます
- 申し訳ございません
この8つは、社内でも社外でも使う場面が多く、覚えておいて損がありません。
新社会人が敬語で迷いやすい場面別の言い方
上司や先輩に話しかけるとき
新社会人が最初に多く使うのは、社内で上司や先輩に話す敬語です。
この場面では、難しい言い回しよりも、短く・はっきり・丁寧に話すことが大切です。
例文を見てみましょう。
- ○○の件、確認いたしました。
- 資料を拝見しました。
- 少々お時間よろしいでしょうか。
- こちらでよろしいでしょうか。
- ご確認いただけますと幸いです。
回りくどくしすぎると、かえって伝わりにくくなります。
敬語は「丁寧さ」と「わかりやすさ」の両立が大切です。
社外の人と話すとき
取引先やお客様など、社外の人と話すときは、社内より一段丁寧に考えると安心です。
特に気をつけたいのは、自分側の人を持ち上げすぎないことです。
社外の相手に対しては、自社の人間は身内として扱います。
たとえば、次のように言います。
- 部長の田中は、ただいま外出しております。
- 弊社担当の佐藤が、後ほどご連絡いたします。
- 私から申し伝えます。
社外の相手に対して
「田中部長がいらっしゃいます」
「弊社の山田さんが申しておりました」
のように、自社側を高める言い方は避けたほうが無難です。
出社・退社・日常のあいさつ
日常のあいさつは、敬語の基本を身につける練習にもなります。
よく使う表現は次の通りです。
出社時
- おはようございます
離席するとき
- 少し席を外します
- ただいま戻ります
退社時
- お先に失礼いたします
退社する人への声かけ
- お疲れさまです
- 本日もありがとうございました
こうしたあいさつが自然にできるだけでも、印象はかなり良くなります。
新社会人の電話敬語はこの形で覚える
電話は、敬語が苦手な新社会人にとって特に緊張しやすい場面です。
だからこそ、定型文で覚えるのがいちばん効率的です。
電話を受けるときの基本
まずはこの流れを覚えましょう。
- 名乗る
- 相手を確認する
- 取り次ぐ、または用件を聞く
- 終わりのあいさつをする
基本フレーズは以下です。
- お電話ありがとうございます。〇〇株式会社の△△でございます。
- 恐れ入りますが、御社名とお名前をお願いいたします。
- 少々お待ちください。
- ただいま担当者におつなぎいたします。
- 申し訳ございません。担当の者はただいま席を外しております。
- 戻りましたら、こちらからご連絡するよう申し伝えます。
- かしこまりました。
- 失礼いたします。
電話で特に強い表現
電話では、次の表現を覚えると一気に楽になります。
- 恐れ入りますが
- 少々お待ちください
- 申し訳ございません
- かしこまりました
- 申し伝えます
- 失礼いたします
この6つは、電話対応の土台になります。
電話で焦ったときの対処法
焦ると、早口になったり、言葉が崩れたりしがちです。
そんなときは、次の3点だけ意識してください。
- まず名乗る
- 相手の名前を復唱する
- すぐ答えられないときは保留や確認を挟む
無理に完璧に答えようとしなくて大丈夫です。
確認してから返すほうが、あいまいに答えるよりずっと丁寧です。
新社会人のメール敬語は「短く丁寧」が基本
メールでは、話し言葉よりも少し整った表現が求められます。
ただし、長すぎるメールは逆に読みにくくなります。
メールの基本形
ビジネスメールは、次の順番で書くとまとまりやすくなります。
- 宛名
- あいさつ
- 名乗り
- 用件
- 結び
- 署名
そのまま使える基本例文
初めて連絡する相手への例
株式会社〇〇
△△様突然のご連絡失礼いたします。
株式会社□□の山田と申します。本日は、〇〇の件でご連絡いたしました。
詳細は以下の通りです。お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
やり取りがある相手への例
株式会社〇〇
△△様いつもお世話になっております。
株式会社□□の山田です。〇〇の件につきまして、資料をお送りいたします。
ご確認いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
メールでよく使う敬語
- いつもお世話になっております
- ご連絡いたします
- ご確認をお願いいたします
- ご確認いただけますと幸いです
- 恐れ入りますが
- 何卒よろしくお願いいたします
メールでは、最初に用件がわかることも重要です。
丁寧さだけに気を取られず、相手が読みやすい文章を意識しましょう。
新社会人が間違えやすい敬語と直し方
「わかりました」はそのままだと少し軽く聞こえる
社内のちょっとした会話なら問題にならないこともあります。
ただ、上司や社外の相手に対しては、より丁寧な表現を選ぶほうが安心です。
- わかりました
→ 承知しました - 了解です
→ かしこまりました
「ご苦労さまです」は相手を選ぶ
新社会人が特に気をつけたい表現のひとつです。
目上の人に対しては、基本的に
- お疲れさまです
- ありがとうございました
を使うほうが無難です。
「御社」と「貴社」を混同しない
よくある混同ですが、次のように覚えるとわかりやすいです。
- 会話では「御社」
- メールや文書では「貴社」
一方で、自分の会社を言うときは、弊社を使うと丁寧です。
「自分の会社の上司」を社外で持ち上げない
社内では上司に敬語を使います。
しかし、社外の相手に対して自社の上司を話題にするときは、表現が変わります。
- 誤りやすい例
部長がいらっしゃいます - 言い換え例
部長の〇〇は在席しております
この切り替えは、新社会人がつまずきやすいポイントです。
二重に丁寧にしすぎない
敬語に慣れていないと、丁寧にしようとして言葉を重ねすぎることがあります。
すると、かえって不自然になることがあります。
たとえば、
- おっしゃられる
- お聞きになられる
のような形は避け、シンプルに
- おっしゃる
- お聞きになる
としたほうが自然です。
新社会人が敬語を早く身につけるコツ
毎日使う表現から声に出して覚える
敬語は、頭で理解するだけでは定着しません。
実際に口に出して、言いやすい形にしておくことが大切です。
特におすすめなのは、次のような表現を毎日練習することです。
- 承知しました
- 少々お待ちください
- 申し訳ございません
- 恐れ入りますが
- お先に失礼いたします
短い表現ほど、反復しやすく、実戦で出てきやすくなります。
迷ったら「丁寧語+クッション言葉」で乗り切る
難しい尊敬語や謙譲語がすぐに出てこないときは、
丁寧語にクッション言葉を添えるだけでも印象はかなり良くなります。
たとえば、
- 恐れ入りますが、確認してもよろしいでしょうか
- 申し訳ございません、確認いたします
- お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします
このような言い方なら、無理に難しい敬語を使わなくても、十分丁寧です。
自分用の「定番フレーズ集」を作る
新社会人におすすめなのが、自分専用の敬語メモです。
たとえば、スマホやメモ帳に
- 返事
- 依頼
- 謝罪
- 電話
- メール
の5分類でフレーズをまとめておくと、困ったときにすぐ見返せます。
覚える量を増やすより、使う表現を固定することのほうが、最初は効果的です。
新社会人の敬語で最低限チェックしたいポイント
最後に、これだけは押さえておきたいポイントをまとめます。
- 敬語はまず尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つで考える
- 迷ったら誰の動作かを先に考える
- まず覚えるべきは定番フレーズ
- 上司や社外相手には承知しました・かしこまりましたが安心
- 謝るときは申し訳ございません
- 電話では少々お待ちください・申し伝えますが便利
- メールでは短く、用件が先に伝わる文章を意識する
- 社外では自社の上司を持ち上げすぎない
新社会人の敬語は、最初から完璧である必要はありません。
最低限の表現をしっかり身につければ、仕事でのやり取りはかなり安定します。
まずは、今日からよく使う表現を3つだけでも口に出してみてください。
その積み重ねが、自然で感じのよい敬語につながっていきます。
