取引先や営業担当者からの提案を断るメールは、断ること自体よりも、どう伝えるかで印象が大きく変わります。
言い方を誤ると、必要以上に冷たく見えたり、今後の関係にひびが入ったりすることもあります。
一方で、感謝と配慮を押さえた文面であれば、断りながらも礼儀を保てます。
この記事では、提案を断るメールの基本の書き方と、そのまま使える例文、関係を悪くしにくいコツをまとめて紹介します。
提案を断るメールで押さえたい基本
提案を断るメールでは、次の5点を意識すると書きやすくなります。
- 最初にお礼を伝える
- 断る意思はあいまいにしない
- 理由は簡潔に伝える
- 必要なときだけ今後の可能性に触れる
- 最後は相手への配慮で締める
この流れを守るだけで、ぶっきらぼうな印象をかなり避けられます。
お礼を先に伝える
提案には、相手の時間や準備の手間がかかっています。
そのため、いきなり断るのではなく、まずは提案してくれたこと自体への感謝を入れるのが基本です。
たとえば、次のような一文が使えます。
- このたびはご提案をいただき、誠にありがとうございます。
- 丁寧なご説明とご提案をいただき、ありがとうございました。
- お忙しい中、弊社向けにご提案くださり、ありがとうございます。
断る意思ははっきり伝える
やさしく伝えたいあまり、表現をぼかしすぎると、相手に「まだ可能性がある」と受け取られることがあります。
そのため、文面はやわらかくても、結論は明確に伝えましょう。
使いやすい表現
- 今回は見送らせていただきます。
- 現時点では導入を控えさせていただきます。
- 誠に恐縮ですが、今回はお受けいたしかねます。
理由は短くて十分
断る理由は必要ですが、長く説明しすぎると、言い訳がましく見えたり、余計なやり取りが増えたりします。
理由は、相手を否定しない形で短く伝えるのがコツです。
よく使いやすい理由の例
- 現在の運用方針と合わないため
- 予算面との兼ね合いがあるため
- すでに類似サービスを利用しているため
- 現時点では優先度が高くないため
- 導入時期が合わないため
「またの機会」は本当に可能性があるときだけ使う
関係を保ちたいからといって、毎回「またの機会にお願いします」と書くのはおすすめできません。
今後の可能性がほとんどないのに入れてしまうと、相手に余計な期待を持たせてしまいます。
本当に再提案の余地がある場合
- 状況が変わりましたら、改めてご相談させていただければ幸いです。
- 今後必要性が生じた際には、ぜひ再度検討させていただきます。
今後の可能性が低い場合
- 現在の方針上、当面は導入予定がございません。
- 誠に恐縮ですが、今回はご意向に沿いかねる結果となりました。
提案を断るメールの基本構成
提案を断るメールは、次の流れにするとまとまりやすいです。
1. 件名
返信の場合は、相手の件名を活かすと流れが自然です。
例
- Re: ○○サービスのご提案について
- Re: ご提案いただいた件につきまして
新規で送る場合は、内容がひと目でわかる件名にします。
例
- ご提案に関するご連絡
- ○○のご提案についてのお返事
2. 宛名・挨拶
一般的なビジネスメールと同じく、宛名と挨拶から始めます。
例
株式会社○○
営業部 ○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△です。
3. 提案へのお礼
いきなり断らず、まずは提案への感謝を置きます。
例
このたびは、弊社向けにご提案をいただき、誠にありがとうございました。
4. 結論
結論は早めに伝えます。
例
社内で検討いたしました結果、誠に恐縮ではございますが、今回は見送らせていただくこととなりました。
5. 理由
必要な範囲で、短く添えます。
例
現状の運用体制を継続する方針のため、現時点での導入は難しい状況です。
6. フォロー
関係を残したい場合だけ、今後に触れます。
例
状況に変化がありました際には、改めてご相談させていただけますと幸いです。
7. 結び
最後は配慮のある一文で締めます。
例
ご期待に添えず申し訳ございませんが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
提案を断るときに使いやすい言い換え表現
断る内容は同じでも、表現を少し変えるだけで印象はかなりやわらぎます。
| 直接的すぎる言い方 | やわらかい言い換え |
|---|---|
| お断りします | 今回は見送らせていただきます |
| できません | 対応いたしかねます |
| 必要ありません | 現時点では導入を予定しておりません |
| 高いです | 予算面との兼ね合いから導入が難しい状況です |
| 他社にします | 現在は既存の体制を継続する方針です |
| 連絡はいりません | 今後のご案内はお控えいただけますと幸いです |
特に便利なのは、次のフレーズです。
- 誠に恐縮ではございますが
- 社内で慎重に検討いたしました結果
- ご期待に添えず申し訳ございません
- 現時点では
- 何卒ご理解賜りますようお願いいたします
提案を断るメール 例文
ここからは、そのまま使いやすい形で例文を紹介します。
必要に応じて、会社名・サービス名・理由の部分を入れ替えて使ってください。
基本の例文
件名:Re: ○○のご提案について
株式会社○○
○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△です。
このたびは、○○に関するご提案をいただき、誠にありがとうございました。
社内で検討いたしました結果、誠に恐縮ではございますが、今回は見送らせていただくこととなりました。
せっかくご提案をいただいたにもかかわらず、ご期待に添えず申し訳ございません。
何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
予算が合わないときの例文
件名:Re: ○○サービスのお見積もりについて
株式会社○○
○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△です。
このたびは、詳細なご提案とお見積もりをお送りいただき、誠にありがとうございました。
社内で検討いたしましたが、現時点では予算面との兼ね合いから、今回は導入を見送らせていただくこととなりました。
魅力的な内容をご提示いただいたにもかかわらず、このようなお返事となり申し訳ございません。
また状況が変わりました際には、改めてご相談させていただければ幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
すでに他社サービスや現行体制を使っているときの例文
件名:Re: ○○のご提案につきまして
株式会社○○
○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△です。
このたびは、○○に関するご提案をいただき、誠にありがとうございます。
慎重に検討いたしましたが、現在は既存のサービス・運用体制を継続する方針のため、今回は見送らせていただきます。
ご提案内容には大変興味を持ちましたが、このような結果となり申し訳ございません。
何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
時期が合わないときの例文
件名:Re: ○○導入のご提案について
株式会社○○
○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△です。
このたびは、弊社にご提案をいただき、誠にありがとうございました。
社内で検討いたしました結果、現時点では導入のタイミングが合わず、今回は見送らせていただくこととなりました。
ご丁寧にご提案いただいたにもかかわらず申し訳ございません。
今後、検討時期になりましたら改めてご相談させていただく可能性がございますので、その際はよろしくお願いいたします。
条件が合えば今後も関係を続けたいときの例文
件名:Re: ○○のご提案ありがとうございます
株式会社○○
○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△です。
このたびは、○○に関するご提案をいただき、誠にありがとうございました。
今回は社内条件との兼ね合いにより見送らせていただく判断となりましたが、貴社のご提案内容そのものは大変参考になりました。
現時点での導入は難しいものの、今後の状況次第では改めて検討させていただきたいと考えております。
その際はぜひご相談させてください。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
今後の営業連絡も控えてほしいときの例文
件名:Re: ご提案の件につきまして
株式会社○○
○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△です。
このたびはご提案をいただき、誠にありがとうございました。
誠に恐縮ではございますが、現在の方針上、新規導入の予定がないため、今回は見送らせていただきます。
また恐れ入りますが、当面同様のご案内はお控えいただけますと幸いです。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
短めに返したいときのコピペ用テンプレート
時間がないときは、次の形でも十分使えます。
件名:Re: ○○のご提案について
株式会社○○
○○様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△です。
このたびはご提案をいただき、誠にありがとうございました。
社内で検討いたしましたが、誠に恐縮ではございますが、今回は見送らせていただきます。
ご期待に添えず申し訳ございません。
何卒よろしくお願い申し上げます。
短文でも、お礼・結論・お詫びの3点が入っていれば、失礼になりにくいです。
提案を断るメールを書くときの注意点
返信を先延ばしにしない
断りにくい内容ほど後回しにしがちですが、返事が遅いと相手は期待を持ち続けてしまいます。
検討結果が出たら、できるだけ早めに返すほうが親切です。
相手の提案を否定しない
断る理由を書くときに、相手の提案内容を細かく批評する必要はありません。
たとえば、
「内容に魅力を感じませんでした」
「他社のほうが優れていました」
のような書き方は避けたほうが無難です。
理由はあくまで、自社の事情として伝えるのが基本です。
嘘の理由を書かない
その場を収めるために無理な理由を書くと、後から話が合わなくなることがあります。
たとえば、実際には検討の余地がないのに「また来月ご連絡ください」と書くと、相手に再連絡の理由を与えてしまいます。
断るときほど、無理のない本当の理由を短く伝えるほうが安全です。
長文にしすぎない
丁寧にしようとして長くなると、かえって読みにくくなります。
断りのメールは、簡潔さも重要です。
目安としては、
2〜4段落程度で要点が伝わる長さを意識すると、読みやすくまとまりやすいです。
提案を断るメールのNG例
NG例1:断るかどうかが伝わらない
「社内で検討しております」
「今は少し難しい状況です」
このような表現だけだと、断りなのか保留なのかが伝わりません。
相手が再度連絡しやすくなるため、かえって関係がこじれることがあります。
NG例2:言葉が強すぎる
「不要です」
「お受けしません」
「興味がありません」
意味は伝わっても、ビジネスメールとしては角が立ちやすい表現です。
やわらかい言い換えに置き換えましょう。
NG例3:可能性がないのに期待を持たせる
「ぜひ今後ともお願いします」
「また近いうちにご相談します」
本気でそう考えていないなら、無理に入れないほうが誠実です。
関係を悪くしないためには、やさしさよりも、誤解させない配慮が大切です。
提案を断るメールに関するよくある質問
電話で断ったほうがよいですか
高額な提案や、すでに何度も打ち合わせをしている相手なら、先に電話で一言伝え、その後メールで記録を残すと丁寧です。
一方で、通常の営業提案や初回提案であれば、メールで十分なことも多いです。
迷ったときは、関係の深さと提案の重さで判断するとよいでしょう。
断る理由はどこまで書けばよいですか
基本は、相手が納得できる程度に簡潔にで十分です。
詳細な社内事情や比較内容まで書く必要はありません。
件名は変えたほうがよいですか
返信で断る場合は、元の件名を活かしたほうが相手に伝わりやすいです。
新規で送る場合だけ、内容がわかる件名に整えれば問題ありません。
まとめ
提案を断るメールで大切なのは、ただ丁寧な言葉を並べることではありません。
相手への敬意を示しつつ、結論を明確に伝えることが大切です。
特に意識したいのは、次の3点です。
- まず感謝を伝える
- 結論はあいまいにしない
- 理由は短く、必要以上に期待を持たせない
断る場面は気が重いものですが、誠実な文面で返せば、関係を悪くしにくくできます。
迷ったときは、この記事の例文を土台にしながら、自社の状況に合わせて調整してみてください。
