「失礼します」と「失礼いたします」は、どちらも相手に配慮を示す丁寧な表現です。
ただし、丁寧さの度合いと向いている場面には違いがあります。
結論から言うと、次のように考えるとわかりやすいです。
| 表現 | 丁寧さ | 向いている場面 | 印象 |
|---|---|---|---|
| 失礼します | 丁寧 | 社内、日常的なやり取り、一般的な入退室 | やわらかく自然 |
| 失礼いたします | より丁寧 | 取引先、面接、改まった場、あらたまったメール | かしこまっていて礼儀正しい |
つまり、意味の大枠はほぼ同じですが、「失礼いたします」のほうが一段丁寧です。
言い換えると、
- 普段のやり取りなら「失礼します」でも十分
- 迷ったら、フォーマルな場では「失礼いたします」が無難
という使い分けになります。
失礼しますと失礼いたしますの違いを一言でいうと
一番大きな違いは、敬語の深さです。
「失礼します」は、広く使える自然な敬語です。
一方の「失礼いたします」は、同じ意味を保ちながら、より改まった響きになります。
そのため、同じ場面でも相手との関係によって印象が変わります。
たとえば、
- 上司の席に行くとき
→「失礼します」 - 大事な来客の前で入室するとき
→「失礼いたします」
このように、相手との距離感や場のかしこまり具合で選ぶのが基本です。
失礼しますと失礼いたしますの意味の違い
意味そのものは、大きくは変わりません。
どちらも、
- 相手の場に入る
- 会話を終える
- 先に退席する
- 少し無作法になるかもしれない行動の前に断る
といった場面で使えます。
つまり、どちらも
「礼を欠くかもしれませんが、失礼します」
という配慮を表す言葉です。
違うのは、意味よりも表現の格です。
「失礼します」は自然で広く使える形、
「失礼いたします」はそこにあらたまった丁重さが加わった形だと考えると、すっきり整理できます。
失礼しますと失礼いたしますは敬語としてどう違う?
ここは、初心者の方がいちばん混乱しやすいポイントです。
できるだけ簡単に整理すると、次のようになります。
- 失礼します
→ 「ます」を使った丁寧な言い方 - 失礼いたします
→ 「いたす」を使った、より改まった丁寧な言い方
難しく考えすぎなくて大丈夫です。
実際に使ううえでは、次の理解で十分です。
「失礼いたします」は、『失礼します』をより丁寧にした表現
これを押さえておけば、日常でも仕事でもほぼ困りません。
なお、だからといって「失礼します」が失礼になるわけではありません。
ここを誤解しないことが大切です。
失礼しますと失礼いたしますの使い分け方
使い分けのコツは、相手・場面・文脈の3つを見ることです。
相手で使い分ける
相手との関係が近いなら、「失礼します」が自然です。
たとえば、
- 社内の上司
- 毎日やり取りする先輩
- 日常的に会う先生
こうした相手には、「失礼します」で十分なことが多いです。
一方で、より丁寧にしたい相手には「失礼いたします」が向いています。
たとえば、
- 取引先
- 初対面の相手
- 面接官
- 役職者
- お客様
このような相手には、最初から丁寧な表現を選ぶほうが安全です。
場面で使い分ける
場面のかしこまり具合でも選び方は変わります。
「失礼します」で自然な場面
- 社内で部屋に入る
- 打ち合わせを終えて席を立つ
- 電話を切る
- 先に退勤するときに挨拶する
「失礼いたします」が向く場面
- 面接の入室・着席・退室
- 来客対応
- かしこまった会議
- フォーマルな電話
- 丁寧さを強めたいメール冒頭
迷ったら、形式ばった場面ほど「失礼いたします」と覚えると使いやすいです。
文脈で使い分ける
同じ相手でも、文脈で選び方が変わることがあります。
たとえば、同じ上司相手でも、
- 普段のちょっとした声かけ
→「失礼します」 - 役員同席の会議室に入る
→「失礼いたします」
というように、その場の空気に合わせることが大切です。
失礼しますと失礼いたしますの例文
ここでは、実際によく使う形を場面別に紹介します。
入室するときの例文
失礼します
- 失礼します。今、お時間よろしいでしょうか。
- 失礼します。資料をお持ちしました。
失礼いたします
- 失礼いたします。本日ご挨拶に伺いました。
- 失礼いたします。面接に参りました、山田と申します。
入室ではどちらも使えますが、初対面・面接・取引先なら「失礼いたします」がより無難です。
退室するときの例文
失礼します
- それでは、失礼します。
- お先に失礼します。
失礼いたします
- それでは、失礼いたします。
- 本日はありがとうございました。失礼いたします。
退室では、「ありがとうございました」を添えると印象がよりよくなります。
電話を切るときの例文
失礼します
- では、失礼します。
- ありがとうございました。失礼します。
失礼いたします
- それでは、失礼いたします。
- お忙しいところありがとうございました。失礼いたします。
電話では、短く自然に言いたいなら「失礼します」、
より丁寧に締めたいなら「失礼いたします」が向いています。
メールで使う例文
メールでは、単独で使うよりも、前後に言葉を足したほうが自然です。
よく使う例
- メールにて失礼いたします。
- 突然のご連絡、失礼いたします。
- 取り急ぎメールにて失礼いたします。
- 夜分に失礼いたします。
- 長文にて失礼いたします。
メールでは、「失礼します」より「失礼いたします」系のほうがなじみやすい傾向があります。
特に、初回連絡や社外メールではその傾向が強いです。
失礼しますと失礼いたしますはどちらが正しい?
答えは、どちらも正しいです。
このテーマでは、「どちらが正解か」を一つに決めたくなります。
しかし実際は、正しい・間違いの問題というより、丁寧さの選び方の問題です。
そのため、
- 「失礼します」は間違いではない
- 「失礼いたします」はより丁寧
- フォーマルな場では後者が好まれやすい
という理解がいちばん実用的です。
「失礼しますだと失礼に見えるのでは」と不安になる方もいますが、通常はそこまで心配しなくて大丈夫です。
ただし、面接・来客対応・社外のあらたまった場では、はじめから「失礼いたします」を使うと安心です。
失礼しますと失礼いたしますで迷いやすい場面
ここでは、特に迷いやすい場面を整理します。
面接ではどちらを使うべき?
面接では、「失礼いたします」がおすすめです。
入室、着席、退室のどれでも使いやすく、丁寧さの面で安心感があります。
例
- 入室時:失礼いたします
- 着席時:失礼いたします
- 退室時:本日はありがとうございました。失礼いたします
もちろん「失礼します」でも即マナー違反とまでは言えません。
ただ、評価される場であえて丁寧さを下げる理由は少ないため、面接では「失礼いたします」を選ぶのが無難です。
社内ではどちらを使うべき?
社内なら、基本は「失礼します」で問題ありません。
ただし、次のような場面では「失礼いたします」でも自然です。
- 重役の部屋に入る
- 正式な会議で発言する
- 来客が同席している
- 社内でもかなり改まった場である
社内では、丁寧すぎると少しかたく見えることもあるため、普段使いは「失礼します」がバランスのよい表現です。
メールではどちらを使うべき?
メールでは、「失礼いたします」のほうがなじみやすいです。
理由は、メールが会話よりやや文面寄りで、丁寧さを少し強めたほうが自然に見えやすいからです。
よくある自然な書き方は次の通りです。
- 突然のメール、失礼いたします。
- 夜分にご連絡し、失礼いたします。
- 取り急ぎメールにて失礼いたします。
一方で、社内の短いやり取りでは、そもそもこの表現自体を省くこともあります。
毎回必ず入れるより、必要な場面だけ使うほうが文章はすっきりします。
失礼しますと失礼いたしますを使うときの注意点
正しく使うには、次の3点を押さえておくと安心です。
1. 丁寧さを上げれば必ず良いわけではない
丁寧な表現は大切ですが、必要以上にかたくすると不自然になることがあります。
たとえば、毎日話している相手に毎回「失礼いたします」と言うと、少しよそよそしく感じられることもあります。
相手との距離感に合った丁寧さを選ぶことが大切です。
2. 一文の中でくどくしない
丁寧にしたいあまり、敬語を重ねすぎると読みづらくなります。
例
- 夜分遅くにご連絡差し上げまして失礼いたします
- 突然のご連絡をいたしまして失礼いたします
意味は伝わりますが、少し重たい印象です。
もっと自然にするなら、
- 夜分に失礼いたします
- 突然のご連絡、失礼いたします
のように整理したほうが読みやすくなります。
3. 定型句として使うだけで終わらせない
「失礼します」「失礼いたします」は便利ですが、気持ちを補う一言があると印象がよくなります。
たとえば、
- お時間をいただき、ありがとうございます。失礼いたします。
- お忙しいところ恐れ入ります。失礼します。
- 本日はありがとうございました。失礼いたします。
このように、感謝や配慮の言葉を添えると、表現がより自然で丁寧になります。
失礼しますと失礼いたしますの違いの覚え方
迷ったときは、次の覚え方がおすすめです。
普段なら「失礼します」、改まった場なら「失礼いたします」
これだけで、かなり使い分けやすくなります。
さらに簡単に言えば、
- 自然さ重視 → 失礼します
- 丁寧さ重視 → 失礼いたします
です。
完璧に文法用語を覚えなくても、
「いたしますのほうが一段かしこまっている」
と理解しておけば、実用上は十分です。
失礼しますと失礼いたしますの違いを理解して自然に使い分けよう
最後に、ポイントを簡潔にまとめます。
失礼しますと失礼いたしますの違いは、意味よりも丁寧さにあります。
- 「失礼します」は自然で広く使いやすい
- 「失礼いたします」はより丁寧で改まった印象
- どちらも正しい
- 面接・取引先・フォーマルなメールでは「失礼いたします」が無難
- 社内や日常的な場面では「失礼します」でも十分
言葉選びで大切なのは、正解を一つに決めることではありません。
相手に合った丁寧さを選ぶことです。
その視点を持てば、「失礼します」と「失礼いたします」はどちらも上手に使いこなせます。
