「存じます」と「思います」は、どちらも自分の考えを伝えるときに使える言葉です。
ただし、敬意の強さと向いている場面が大きく違います。
結論から言うと、日常的で自然なのは「思います」、目上の人や取引先に対して改まって伝えるなら「存じます」です。
この記事では、意味の違いから実際の使い分け、ビジネスでそのまま使える例文まで、初心者にもわかるように整理して解説します。
存じます・思いますの違いを先にまとめる
まずは、使い分けの全体像をひと目で確認しましょう。
| 表現 | 基本の意味 | 丁寧さ | 向いている相手 | 主な場面 |
|---|---|---|---|---|
| 思います | そう考える、そう感じる | ふつう | 同僚、部下、社内、日常会話全般 | 会話、一般的なメール、やわらかい意見表明 |
| 存じます | そう思う、そう考えるをへりくだって言う | 高い | 上司、役員、取引先、顧客 | ビジネスメール、面接、改まった会話 |
つまり、内容が同じでも、言い方の姿勢が違うということです。
「思います」は自然体で伝える表現、
「存じます」は自分を低くして、相手への敬意をにじませる表現です。
「存じます」の意味と使い方
「存じます」は改まった場面で使う表現
「存じます」は、かしこまった場面でよく使われる表現です。
たとえば、次のような言い方があります。
- ご確認いただけますと幸いに存じます
- 必要かと存じます
- 光栄に存じます
- そのように考えておりますが、現時点では難しいかと存じます
このように「存じます」は、単に丁寧なだけではなく、へりくだった印象を与えます。
そのため、上司や取引先など、自分より立場が上の相手に向いています。
「存じます」は「知っています」の意味でも使われる
ここで注意したいのは、「存じます」には『思う』だけでなく『知る』の意味でも使われることです。
たとえば、
- その件は存じております
- その商品名は存じております
のような場合は、「知っています」の丁寧な言い換えです。
一方でこの記事のテーマである
「存じます・思いますの使い分け」では、主に『思う』の意味での存じますを押さえることが大切です。
「思います」の意味と使い方
「思います」は広く使える基本表現
「思います」は、もっとも基本的で使いやすい表現です。
- この案でよいと思います
- 少し時間がかかると思います
- 明日までには終わると思います
このように、日常会話でも仕事でも幅広く使えます。
文末が「ます」なので、それ自体が失礼な表現というわけではありません。
そのため、社内のやり取りや、そこまで格式ばらない場面では「思います」のほうが自然です。
「思います」が向いているのは自然さを大切にしたい場面
「存じます」にすると、丁寧さは増します。
ただし、相手や場面によっては、少し堅く聞こえることもあります。
たとえば同僚に対して、
- この方法がよいかと存じます
と言うと、やや距離のある印象になりがちです。
同じ内容でも、
- この方法がよいと思います
のほうが自然で伝わりやすい場面は多くあります。
存じます・思いますの使い分け方
目上の人や取引先には「存じます」
敬意をはっきり示したい場面では、「思います」より「存じます」が適しています。
特に使いやすいのは、次のような場面です。
- 提案をやわらかく伝えるとき
- 反対意見を角が立たないように述べるとき
- 依頼や希望を丁寧に伝えるとき
- 感謝や謝罪を改まって表すとき
例文を見ると違いがわかりやすいです。
- この案は再検討が必要だと思います
- この案は再検討が必要かと存じます
後者のほうが、断定をやわらげながら相手を立てる印象になります。
同僚や日常的なやり取りでは「思います」
社内の普段の会話、チャット、そこまで堅くないメールでは、「思います」が自然です。
- 先にA案を進めたほうがよいと思います
- 今日は予定どおり進められると思います
- この説明で十分だと思います
何でも「存じます」に置き換えればよいわけではありません。
自然さ・読みやすさ・相手との距離感まで考えることが、上手な使い分けのポイントです。
迷ったら「相手」「場面」「距離感」で決める
使い分けで迷ったら、次の3点で判断すると失敗しにくくなります。
1. 相手は目上か
上司・役員・取引先・顧客なら「存じます」が無難です。
2. 場面は改まっているか
面接、正式なメール、謝罪、依頼などでは「存じます」が向いています。
3. 言い方が堅すぎないか
日常的な会話で不自然に硬くなるなら、「思います」のほうが適切です。
ビジネスで使える例文
「存じます」の例文
目上の人や取引先に向く表現です。
提案するとき
- 現時点では、こちらの案を優先するのがよいかと存じます。
- 納期を考慮すると、来週中の着手が適切かと存じます。
依頼するとき
- お手数ですが、ご確認いただけますと幸いに存じます。
- ご多忙のところ恐縮ですが、ご返信賜れれば幸いに存じます。
希望を伝えるとき
- ぜひ一度ご相談のお時間を頂戴したく存じます。
- 今後も継続してお取引いただければありがたく存じます。
感謝・謝罪を伝えるとき
- このたびはご配慮を賜り、誠にありがたく存じます。
- ご迷惑をおかけしましたこと、深くおわび申し上げたく存じます。
「思います」の例文
自然で使いやすく、社内でも日常でも活躍します。
社内で意見を言うとき
- この進め方で問題ないと思います。
- まずは現状整理から始めたほうがよいと思います。
やわらかく見通しを伝えるとき
- 明日には資料をお送りできると思います。
- この方法なら対応しやすいと思います。
日常会話で使うとき
- 今日は早めに出たほうがよいと思います。
- その説明で十分伝わると思います。
よくある間違いと注意点
相手の考えに「存じます」は使わない
「存じます」は、基本的に自分側の考えや認識をへりくだって述べる言い方です。
そのため、相手の考えについて言うなら、
- 部長はそのようにお考えだと思います
- 社長は前向きにお考えではないでしょうか
のように、相手を立てる表現を使うほうが自然です。
「存じ上げます」との違いも知っておく
「存じます」と似た言葉に「存じ上げます」があります。
使い分けの基本は、次のとおりです。
- その件は存じております
→ 内容・物事を知っている - 田中社長は以前から存じ上げております
→ 人を知っている
「思います」との違いを理解するときは、あわせてこの違いも押さえておくと混同しにくくなります。
「思います」を多用しすぎると弱く聞こえることがある
「思います」は便利ですが、何度も続くと、少し曖昧に聞こえることがあります。
たとえば会議や提案書では、
- 必要だと思います
- 効果があると思います
- 可能だと思います
と並ぶよりも、
- 必要だと考えます
- 効果が見込まれます
- 実施可能と判断します
のように言い換えたほうが、伝わりやすいことがあります。
つまり、
思います ↔ 存じます の二択だけでなく、
考えます・判断します・見込まれます なども使い分けると、文章の質が上がります。
迷ったときに使える簡単な判断基準
最後に、すぐ使える判断基準をまとめます。
「存じます」を選ぶとよい場面
- 取引先に送るメール
- 上司や役員への提案
- 面接やあいさつ
- 謝罪や感謝を丁寧に伝えるとき
「思います」を選ぶとよい場面
- 同僚との会話
- 社内チャット
- 堅すぎないメール
- 自然な口調で意見を伝えたいとき
迷ったら、次の一文を思い出してください。
丁寧さを強めたいなら「存じます」、自然さを優先するなら「思います」。
まとめ
「存じます・思いますの使い分け」で大切なのは、意味そのものよりも、どのくらい敬意を込めたいかを見極めることです。
「思います」は、自然で広く使える基本表現です。
一方「存じます」は、上司や取引先などに対して、自分の考えをへりくだって伝える改まった表現です。
使い分けのコツは、次の3つです。
- 目上の相手には「存じます」
- 日常的なやり取りには「思います」
- 不自然に堅くなるなら無理に「存じます」を使わない
この違いがわかるだけで、メールも会話も一気に上品になります。
まずはよく使う一文から、少しずつ置き換えてみてください。
