子どもの発達が心配!

一人で抱え込まず、外に頼ってみましょう

発達障害とは、乳幼児期から青年期にかけての発達の過程において明らかになる障害で、そのほとんどが先天的な要因によるものです。 

子どもが困っている様子に気づいたらすぐに相談をし、支援を得られる状況を作ることが大切です。困っている状況が長く続かないようにサポートを得ましょう。 

最近は、発達が気になるお子さまへの早期療育をおこなう例が増えてきています。早期から介入し療育をおこなうことで、特性自体を治療することは難しいものの、いじめ、不登校、抑うつなど二次的な問題を予防することがきると言われています。

診断について

医師にしか行うことができません

診断をおこなえるのは医師(医療機関)のみですので、発達障害についても診断を受ける場合には、医療機関を受診する必要があります。

小児科・児童精神科・小児神経科や発達外来などで受けることができます。また大学病院や総合病院などで診断できます。ただ、注意すべき点は、診断がなくても利用可能な支援や福祉サービスはある点です。

そのため、現在のお子さまの年齢や困りの内容、現在の支援などから、受診するかどうかについて考えてみる必要はあります。医療機関を受診するかどうかを悩まれる場合には、医療機関以外の専門機関でまずは相談をしてみるという方法もあります。

その上で、実際に医療機関を探す場合、一部の市区町村や都道府県では地域の医療機関リストを作成している場合もあるので、それらを利用しましょう。

その場合、対応が可能な発達障害や、アセスメントや個別心理面談、言語療法・作業療法をおこなっているかといった情報も併せてまとめられていたりしまうので、それらを参考に実際に受診する医療機関を選ばれるとよいかと思います。

また、日本小児神経学会のホームページに、小児神経専門医の登録名簿などがあり、それらのリストも利用可能です。お住まいの地域にそのようなリストが作成されていない場合にも、ネット上で検索することで地域の医療機関は検索が可能です。

ただ、近年診断を受けられる医療機関は増えてきてはいますが、地域によってそのような医療機関の数や規模は大きく異なるため、受診しようと思っても、実際の受診までに長い期間待たなければいけない予約待ちが発生してしまうといった場合もあります。

無料で相談できるところ

意外と近くにあるかも?

お子さまの発達が気がかりな場合や、育児のお悩みを抱えている場合には、まず無料で相談できる地域の専門機関を利用することをおすすめします。相談の上、必要に応じて発達検査や児童発達支援などの支援や、専門の医療機関につなげてくれます。
 

・市町村保健センター
地域保健法に基づき、市区町村に設置される施設。高校生や成人に対する発達障害の相談も受け付けています。必要に応じて医療機関への紹介などおこないます。

・児童相談所
児童福祉法に基づき、都道府県および政令指定都市・中核市に設置されている施設。
業務には「児童に関するさまざまな問題について、家庭や学校などからの相談に応じる。」という項目もあり、育成相談や心身障害相談もおこなっています。
 

・子育て支援センター
厚生労働省の通達「特別保育事業の実施について」に基づく施設で、地域自治体が実施しています。(民間委託含む)
育児不安などについての相談指導もおこなっており、電話相談も可能です。必要に応じて適切な機関の紹介をおこないます。


・発達障害者支援センター
発達障害者支援法に基づく施設で、都道府県・指定都市が実施しています。(民間委託含む)
発達障害児(者)とその家族、関係機関などからの相談を受付、家庭での療育方法についてのアドバイスや、必要に応じて福祉制度や医療機関の紹介などをおこないます。
児童相談所や医療と連携を図り、発達障害に特化した支援をおこなっています


精神保健福祉センター
心の問題や病気で困っている本人や家族及び関係者の方からの相談を受け、心の健康・精神科医療についてのサポートをしてくれる場所です。

などがあります。
それぞれインターネットなどで、お住まいの都道府県や市区町村と併せて検索してみてください。

相談する前に確認しておくこと

子どもの情報を周りに聞いてまとめておきましょう

医療機関の受診時と同様に、専門機関に相談する際も、子どもの過去から現在までの様子を説明する必要が生じる場合もあります。

相談する前に、生まれてからのこと、言葉を話し始めたときのことや、母子手帳に書かれている検診の内容、保育園・幼稚園・学校などからの報告をまとめておきましょう。

病院(医療機関)の探し方・診断の流れ

診断があると支援が受けやすくなる?

考え方は家庭よりさまざまですが、子どもに発達障害の診断があると、一人ひとりに合わせた個別の(教育)支援計画の立案や合理的配慮が可能になります。

また、地域により異なりますが、診断があるとさまざまな行政的サービスを受けやすくなります。障害者手帳の取得とそれによる公共施設利用時の割引、受給者証の取得とそれによる療育の負担費用軽減、障害年金の受給可否、薬の処方などです。

他にも、障害のある子どもの扶養者に支給される特別児童扶養手当など、親向けの経済支援もあります。
 

診断が下りないこともある

検査の結果、発達障害の診断が下りないこともあります。だからといって「発達障害の特性なし」ということではありません。診断は、そのときの子どもの状態や体調にも左右されます。
検査結果の説明で、「○○は得意ですが、○○は少し苦手な傾向があるようです」など、その子の特性の傾向や対処法なども合わせて教えてくれる医療機関もあります。
 

診断を受けるか悩んだら

診断を受けるか悩んだ場合、考え方の一つに「受給者証による支援だけで十分かどうか」があります。

さまざまな福祉サービスを利用するにあたって必要な受給者証ですが、診断がなくとも交付される場合があります。

受給者証による支援で十分であれば診断は必ずしも必要ではないかもしれませんし、より適切な支援が必要と感じた際には診断を受ける理由の一つになるかもしれません。

子どもの特性や傾向を知り、より良い関わりに繋げることが大切です。
 

病院の探し方は?

医療機関は、最終的に発達障害かどうかの診断や判断する際に必要な知能検査などの心理検査を実施する場所です。
必要に応じて専門医による薬の処方も可能となります。まずは発達障害者支援センターなど相談窓口に相談し、病院を紹介してもらうのも一つです。

 

参考文献・引用資料

1.厚生労働省 障害児及び障害児支援の現状
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000036483.pdf