基礎知識 利用できる制度やサービス
利用できる制度やサービス
労災保険
概要説明
労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。労災保険は原則として一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。なお労災保険における労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態に関係ありません。
労災年金給付等の算定の基礎となる給付基礎日額については、労災保険法第8条の3等の規定に基づき、毎月勤労統計の平均給与額の変動等に応じて、毎年自動的に変更されています。
※制度の説明のため、詳細は各々で確認をお願いします。
生活保護
概要説明
資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。(支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。)
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
※退院後、申請可能な場合がありますので、各自治体市町村へ確認してみてください。
障害年金
概要説明
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
・国民年金の人は、障害基礎年金(1級、2級)
・会社等に勤務して厚生年金適用の人は障害厚生年金(1級、2級、3級)
なお、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
また、障害年金を受け取るには、年金の納付状況などの条件が設けられています。
障害基礎年金または障害厚生年金(障害等級1級・2級に限る)を受ける方は、国民年金保険料が免除されます。国民年金第1号被保険者の方は、障害基礎(厚生)年金の年金証書が届きましたら、市区役所または町村役場にご相談ください。
高次脳機能障害の場合は、発症1年6ヶ月で申請可能です。
障害基礎年金
概要説明
国民年金に加入している間、または20歳前(年金制度に加入していない期間)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)に、初診日(障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)のある病気やけがで、法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にあるときは障害基礎年金が支給されます。
障害基礎年金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
1.初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
2.初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
障害厚生年金・障害手当金
概要説明
厚生年金に加入している間に初診日のある病気やけがで障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になったときは、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。
また、障害の状態が2級に該当しない軽い程度の障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。
なお、初診日から5年以内に病気やけがが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)が支給されます。
障害厚生年金・障害手当金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。
1.初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
2.初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
障害者手帳
概要説明
障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称した一般的な呼称です。
制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なりますが、いずれの手帳をお持ちの場合でも、障害者総合支援法の対象となり、様々な支援策が講じられています。また、自治体や事業者が独自に提供するサービスを受けられることもあります。
障害者手帳を所持することで、各種税金や公共料金等の控除や減免、公営住宅入居の優遇、障害者法定雇用率適用等のサービスを受けられます。
また、障害福祉サービスを利用することもできます。サービスの対象者や内容は、自治体により異なることがありますので、お住まいの市区町村の福祉担当窓口にお問い合わせ下さい。
なお、身体症状と精神症状を併せ持つ場合には、2種類以上の障害者手帳を申請することができます。
高次脳機能障害の場合は発症6ヶ月で申請可能です。
高次脳機能障害の場合は、精神障害者保健福祉手帳が該当。等級は1級、2級、3級があります。医療機関から高次脳機能障害の診断が必要です(失語症のみの場合は身体障害者手帳3級または4級)
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳 高次脳機能障害によって日常生活や社会生活に制約があると診断されれば「器質性精神障害」として、精神障害者保健福祉手帳の申請対象になります。申請時に必要な診断書を記載するのは、精神科医である必要はなく、リハビリテーション医や神経内科医、脳神経外科医等も可能です。高次脳機能障害の主要症状と日常生活への影響や困っている点について具体的に記載してあることが重要です。
診断書は初診日から6か月以上を経てから作成してもらい、作成日から3か月以内に申請する必要があります。
精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。高次脳機能障害によって日常生活や社会生活に制約があると診断されれば「器質性精神障害」として、精神障害者保健福祉手帳の申請対象になります。
申請時の診断書を作成する医師は、現在は精神科医でなくともよく、リハビリテーション科医や神経内科医、脳神経外科医なども作成可能です。
対象者は「精神障害のため、長期にわたり日常生活または社会生活への支障がある方」で、障害等級は障害年金の等級に準拠します。
優遇措置として(東京都の事例より引用)
1.税金の優遇措置 所得税および住民税について、所得金額から級に応じた額が控除されます。対象者は本人、配偶者、扶養親族です。 預貯金の利子所得の非課税(マル優)を利用できます。 障害者が相続した場合の相続税の障害者控除、贈与税の一部非課税があります。 自動車税、軽自動車税および自動車取得税の減免があります(なお、障害の等級により、受けられないサービスがあります)
2.東京都精神障害者都営交通乗車証の交付(東京都) 都内在住の手帳の所持者を対象に東京都精神障害者都営交通乗車証を発行しています
3.路線バスの運賃半額割引 写真が貼付された手帳をお持ちの方ご本人のみ、割引対象となります。介護人は割引対象外です
4.生活保護の障害者加算(1級及び2級のみ) 既に生活保護を受給している方のうち、障害の原因となった疾病について、初めて医師の診断を受けてから1年6か月を経過している方で、1級または2級の手帳をお持ちの方は、障害者加算がつくことがあります
5.NTT電話番号案内の無料利用 事前の申し込みにより、NTTの電話番号案内(104)が無料で利用できます
6.携帯電話料金の基本使用料、通話料が割引されます
7.駐車禁止規制からの除外措置(1級のみ) 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている1級の方で、自立支援医療(精神通院医療)の支給認定を受けている方が対象になります
8.NHKの受信料免除 条件により、全額免除または半額免除が受けられます
手帳の対象者は精神疾患を有し、精神障害のため長期にわたり日常生活や社会生活に制約のある方です。高次脳機能障害を含め、統合失調症、躁うつ病、非定型精神病、中毒性精神病、器質性精神病、てんかん、神経症およびその他の精神疾患全てが対象となります。
手帳の等級は障害の程度により、重い方から1級、2級、3級があり、「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」(平成7年9月12日厚生省保健医療局長通知)に基づいて決められています。 手帳の等級によって課税対象の控除額が違ったり、利用できる福祉サービスが変わってきます。
程度の目安は下記のとおりですが、障害の状態についての詳細はこちら→精神障害者保健福祉手帳の障害等級判定基準をご確認ください。
1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの (他の人の手を借りなければ生活できない状態の方が該当します)
2級:日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えるこを必要とする程度のもの (常に他の人の手を借りる必要はありませんが、日常生活が困難な状態の方が該当します)
3級:日常生活又は社会生活が制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの (障害は軽度ですが、生活するうえで何らかの制限を受けている方が該当します)
身体障害者手帳
身体障害者手帳 手足の麻痺や音声・言語障害があり、厚生労働省の定めた身体障害者程度等級表に該当する場合に、身体障害者手帳の申請対象となります。手足の麻痺や音声・言語障害があり、厚生労働省が定めた身体障害者程度等級表に該当する場合に、身体障害者手帳の申請対象となります。優遇措置として
1.税金の優遇措置 所得税、住民税、相続税に障害者控除があり、税金が安くなります。 自動車税、自動車取得税免除などの優遇が受けられます。 預貯金の利子所得の非課税(マル優)を利用できます。
2.手当・見舞金 所得にもよりますが、以下のような手当や見舞金が受け取れます。 特別障害者手当 在宅重度重複障害者介護見舞金 心身障害者福祉手当 重度心身障害者手当
3.地域生活支援事業・自立支援給付 車いすなどの補助具や日常生活用具の給付、貸与が受けられます。 公営、公団住宅に優先的に入居できるようになります。
4.公共料金の割引 JR、バスなどの運賃や航空運賃の割引、有料道路の通行料減額、NHK放送受信料の減免、公共施設(美術館、公園、映画館など)の入場料割引などの特典が受けられます。
5.職業指導・雇用促進 身体障害者更生資金(就職資金)の貸付を受けられます。 身体障害者求職登録・職場適応訓練が受けられます。
手帳の対象者は病気や怪我などにより体に「身体障害者福祉法別表」に該当する、永続的な障害が残った方。 原則として感覚器官、消化器官、運動期間の機能の一部に障害があるか、HIV感染による免疫機能障害が対象です。 高次脳機能障害の場合は言語機能障害が該当する場合があります。
障害等級は、身体障害の程度を評価するための基準で、それぞれの障害の種類ごとに身体障害の程度を7段階に区分しています。 最重度の1級から、軽度の6級までが身体障害者手帳の交付対象で、7級の障害は二つ以上に該当している場合のみ交付対象となります。
療育手帳
発症(受傷)が18歳未満で、自治体が指定する機関において知的障害と判定された場合に、療育手帳の申請対象となります。発症(受傷)が18歳未満で、自治体が指定する機関において知的障害と判定された場合に、療育手帳の申請対象となります。優遇措置 精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳とほぼ同様の福祉サービスや年金、手当てを受けることができ、税金や公共料金の減免などの制度を利用できます。ですが身体障害者手帳で利用できる補装具(義肢、車いすなど)の交付を受けられないなどの違いもあります。
対象者 発症(受傷)が18歳未満で、児童相談所または知的障害者更生相談所において知的障害と認定された方です。
補足情報
支援する制度障害者手帳を所持すると、各種税金や公共料金等の免除や減免、公営住宅入居の優遇、障害者法定雇用率適用等のサービスを受けられたり、障害福祉サービスを利用することもできます。 なお、身体症状と精神症状を併せ持つ場合には、複数の障害者手帳を申請することができます。心身障害者医療費助成制度
概要説明
重度心身障がい者の保健の向上と福祉の増進を図るため、障がいのある人が医療機関などで診療を受けた場合、保険診療における医療費の自己負担額を助成します。
助成を受けるには、あらかじめ受給資格の登録が必要です。対象は市内に住所があり、社会保険や国民健康保険などの各種医療保険に加入し、次のいずれかに該当している人です(重度心身障がい者)。
ただし、65歳以上で新たに重度心身障がい者となった人は、対象外です(重度心身障がい者となった年齢が65歳未満の人は65歳以上となっても引き続き対象です)。
1.身体障がい者手帳1級、2級または3級を所持している人2.療育手帳マルA、A、またはBを所持している人
3.精神障がい者保健福祉手帳1級を所持している人
4.65歳以上で、高齢者の医療の確保に関する法律施行令別表各号に掲げる障がいの状態にある旨の埼玉県後期高齢者医療広域連合または市長の認定(障がい認定)を受けている人
5.上記1、2または3に規定する障がいの程度で、特別の理由により手帳を所持していない人
成年後見制度
概要説明
契約等の法律行為や財産管理を行う上で理解能力が十分でない人の権利を守るための制度です。具体的には、知的障害・精神障害・認知症などによってひとりで決めることに不安や心配のある人がいろいろな契約や手続をする際にお手伝いする制度の一つと考えるとわかりやすいです。
認知症、知的障害、精神障害などの理由でひとりで決めることが心配な方々は、財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議などの相続手続など)や身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのがむずかしい場合があります。
また、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれもあります。このようなひとりで決めることに不安のある方々を法的に保護し、支援するのが成年後見制度です。
成年後見制度には大きく分けて「法定後見」と「任意後見」の2つの分類があります。
簡単に言えば
法定後見:過程裁判所に後見人を選任してもらう
任意後見:本人が成年後見人を指名し契約する
というものです。
本人が元気なときであれば、任意後見を選択することになります。
法定後見の場合は、本人の判断能力が低下したときに、成年後見人が必要と感じた方が申立てを行うため、本人の意思を介在させることは難しいでしょう。
どちらも、行う業務にほとんど違いはありませんが、本人があらかじめ信頼できる人に頼みたいという希望があるのであれば、元気なうちに任意後見の手続きをしておきましょう。
日常生活自立支援事業
概要説明
日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。
退院後、日常生活に不安を抱えている当事者が地域で自立した生活ができるよう、お金の管理をお手伝いすサービスをお住まいの地域の社会福祉協議会で実施しています。
実施主体:都道府県・指定都市社会福祉協議会(窓口業務等は市町村の社会福祉協議会等で実施)
日常生活自立支援事業で受けられる支援は、大きく分けて以下の4つになります。
- 1.福祉サービス利用のサポート。高齢者や障害者が「介護保険制度」や「障害者自立支援法」等に基づく福祉サービスを利用する際の情報提供や手続きの支援
- 2.金銭管理。医療費や家賃、公共料金の支払い、預金の引き出しなど日常的な範囲の金銭管理
- 3.重要書類の管理。通帳や銀行印など重要書類等管理の支援
- 4.見守り。生活変化の見守り
誰がやっている事業なのか?
全国的なネットワークを有する、都道府県社会福祉協議会または指定都市社会福祉協議会が実施主体となっています。
ただし、事業の一部を市区町村社会福祉協議会、社会福祉法人などに委託することが認められているので、実際には、相談からサービスの提供まで、市区町村の社会福祉協議会が窓口となっています。
所属する「専門員」や地域から派遣される「生活支援員」が、利用者の生活の援助を行います。
自賠責保険
概要説明
自賠責保険(共済)は、交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としており、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられています。 なお、無保険車による事故、ひき逃げ事故の被害者に対しては、政府保障事業によって、救済が図られています。
交通事故の場合、自動車保険や自賠責保険が適応となります。保険会社または弁護士にご相談ください。介護量についてはNASVA(自動車事故対策機構)にお問い合わせください。
参考文献・引用資料
1.生方克之,高次脳機能障害者に対する社会資源-社会保険制度と障害者福祉制度の活用Monthly Book Medical Rehabilitation No.70, 213-221, 全日本病院出版会 2006,2.中島八十一・寺島 彰 編集,高次脳機能障害ハンドブック-診断・評価から自立支援まで, 医学書院, 2006
3.厚生労働省,障害者福祉, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/index.html
4.白山靖彦,高次脳機能障害を支える法制度(社会的資源),Jpn J Rehabil Med 2017;54:710-716
5.東京都福祉保健局 精神障害者保健福祉手帳
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/nichijo/seishintetyou/seishintetyou.html